3年C組の保護者の皆さんへ 19
昨日で、全員の三者面談を終了しました。最終的に、受検校を決定した人、もう1回の実力テストを受けてみてから考える人、様々です。テストの結果をみて、驚きのあまり表情が固まる保護者の方もいらしました。テストの結果は、心配させないように教えていなかったのでしょうか?でも、人生を決めることは、誤魔化しはできません。それからもうひとつ、人生を決めるときは、出来る限り、自分の考えの理解者を作ることです。「俺(あたし)にまかせろ!」と威勢のいい言葉を出す人間こそが、土壇場になって、自信を失い、「どうしてあの時・・・」と、慌てふためくのです。
『My TIME』
私たちが普段感じている“時間”とは、いつも永遠なような感じがします。でも、いまや戦争で命の危険にさらされている国の人たち、食料が無くて、明日の自分の命の保障さえできない国の人たち、そんな人たちにとっては、時間の流れるスピードは、私たちとは違う速度になるのでしょう。
この世で一番大切なもののひとつに、時間があると、誰かがいっていました。平和ぼけしている私たちは、今生きている時間の尊さに気づくべきなのでしょう。
時に、優しい人と言う人は、自分の時間をプレゼントしてあげることができる人なんだと思っています。
♪高価なニットをあげるより、へたでも手で編んだ方が美しい
やる気アップCDの中に、こんな歌あったでしょう。へたくそでも、一生懸命相手を思いながら作ってあげた、その時間が美しいということです。
時間は、それだけ人にとって貴重なものなのです。
アメリカの大リーグで起きた小さな事件でした。
アメリカのとある地方に野球観戦が大好きな、少年がいました。少年の目は、両目とも視力はありません。その少年は、大リーグ屈指のスラッガーである選手に憧れていました。目の見えない彼は、母親に頼んで、自分のいった言葉を、手紙に書いてもらい、憧れの選手に送ったのです。
「僕は、目が見えません。でも、毎日あなたのホームランを楽しみにしています。しゅじゅつをすれば見えるようになるのですが、こわくてたまりません。あなたのような、つよい心がほしいです。ぼくのヒーローへ。」
この、少年の手紙がマスコミの目にとまり、二人の対面が実現することになりました。
カメラのフラッシュの中、ヒーローと少年は、こう約束します。今度の試合でホームランを打てば、少年は勇気を持って、手術にのぞむと。
そして、その約束した試合が行なわれたのです。ただし、その日のヒーローは、大不調でした。3打席バッターボックスに入って、ノーヒット。いよいよ最後の打席を迎えるのです。
最後の打席も、2ストライク3ボールと追い込まれました。まるで、映画みたいです。
二人の約束を、テレビや新聞で知っている大観衆は、スタジアムで固唾をのんで見守ります。少年自信も、テレビ中継を祈る思いで聴いていました。
そして、
ピッチャーが投げたボールは、ヒーローの大きな空振りとともに、キャッチャーミットに突き刺さります。
現実は、なかなか映画みたいに行きません。
でも、実は映画よりも、現実の方が、すごかったのは、ここから先なんです。
アメリカ中から、大きなため息が漏れようとしたその時!
スタジアムの実況が、こう伝えたのです。
「ホームラン!月にまで届きそうな、大きな大きなホームランです!」
試合は一時中断。しばらくなりやまない拍手が続きました。
人間には、人それぞれ、顔や性格が違うように、それぞれ生きる時間の速さが違うのだと思います。運悪く、短く生涯を終えてしまう人は、人よりも、ものすごい速さのスピードで、たっぷり濃い時間を過ごしていくのでしょう。だから、長生きだから短命だからで、その人の幸せの価値を計ることは決して出来ないのだと思います。生きていても、生きていない人だっているのですから。
5教科受験は当然だと思っていますか?仲間の中には、3教科に絞り込んでの受験に挑戦する人もいるし、面接と作文だけの受験に賭ける人もいます。たった1回の受験を選んだ人もいれば、3回の受験を選んだ人もいます。受験まで、もう1ヶ月を切った人もいるし、まだまだ、本命の受験までじっくり2ヶ月以上ある人もいます。同じクラスメイトの中にも、今が勝負の時だ!って言う人もいるし、自分の勝負の時はもうちょい先だ!っていう人もいる。自分の人生を生きるということは、人と同じようにしようなんて決して無理なことだということです。生きていくということは、最後は、自分ひとりぼっちで、決めた道を歩んでいく、孤独な歩みなのです。
だからこそ、自分の人生の時間のスピードをしっかり掴んで、歩んで欲しいのです。今、あなたは、どのくらい精一杯にやる時ですか?あなたの時間は、まだまだ、のんびりムードで大丈夫ですか。それとも、馬車馬のように、がんばる時は、今ですか?「全然、勉強しなくて困った。」と言う保護者のなげき。でもね、自分の人生の時間を決めるのは、結局のところ自分しかいません。
嘘のホームランとホームランでベースを一周する時間のプレゼント。
時に、大切な時間だからこそ、人にあげたくなるときがあります。そして、スタジアムにいる大観衆全員の時間が、少年にプレゼントされました。
次は、自分の時間を、少年が勇気を出して、治療に費やそうと決断する番です。
今日で、2学期も終了しました。あと残るは、わずか48日間の3学期です。
あ、たったひとつ、クラス全員の歩みのスピードが重なるものがありました。
それは、卒業までのカウントダウンです。
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