3年A組の保護者の皆さんへ 6
地区総体前期・後期がともに終わりました。天候に恵まれた前期に比べ、後期の陸上・相撲大会は、どしゃぶりの中での試合となりました。試合の結果生まれたのは、わずかな勝者と多くの敗者です。嬉しかったり、悲しかったり、試合後の選手に沸き立つものというと、様々な感情でしょう。一人一人が、試合までに歩んできた歴史によって、たとえ同じ試合であっても、生まれ出る感情は違うものです。嬉しかったり、悲しかったり、辛かったり、この様々な感情がこころに生まれ出る時こそ、その子にとって大切な人生経験となるのですね。ただ、そのためには、その試合に向けて本気でがんばってきたという、事実が必要です。本当に本気でがんばってきたからこそ、勝ったり、負けたりした瞬間、こころに本物の喜びや悔しさが芽生えてくるのです。周りが泣いているから、もらい泣きすることとは違います。嬉しくても泣くし、悔しくても泣けないという、不釣り合いな感情こそ、人間そのものなのです。
バーニングアウトシンドローム
先の学級宣言では、3年A組は“毎日、英単語を1つ入れた日記を全員が提出する”という目標を、2週間見事に達成し、表彰されました。全校で3年B組と2つしか、自分達が決めた目標を達成できませんでしたので、なかなか重みのある賞状です。
あれ以来、毎日日記を出す人は減ったものの、中身を読むと地区総体のことがびっしりです。
野球部の諸君は、県大会行きを決めた様子を、みんな生き生きと書いています。試合を見ていないわたしも、ほとんど手にとるようにわかりました。
バレー部のC・Aさんの日記を読みました。
「最後、わたしのミスで負けてしまった。本当に悲しい。」
バレー部を最後までまとめようとがんばってきた生徒です。とっても辛かったでしょう。スポーツは時に残酷です。なんてコメントするか、迷いましたがストレートに書くことにしました。
今回の通信は、やはり地区総体のことを書かなければならないでしょう。
中学3年生にとっては、一生の思い出に残る試合が終わりました。そして、以前、わたしが言った、1つ目の山が遂にきたのです。
山というのは、地区総体の試合ではありません。試合の結果が出たとき、その時にどんなことばがけをするのかという山です。
勝って結果を残したのなら、それはあまり難しいことではなかったかもしれません。でも考えてみると、勝って県大会に進出するチームは、1つ目の山が延長されたと考えた方がいいのでしょう。日本の中学生で、最後まで笑っているのは、たった1校だけなのですから・・・。
バーニングアウトシンドロームという言葉があります。
あまりに熱心にとりくんでしまったので、それが終わってしまったら、何の気力も失ってしまうという心理状態です。燃え尽き症候群っていったりもします。
地区総体を終えた3年生に怖いのは、この心理状態に陥ることです。情熱を注いできただけに、その目標を失ってしまうと、無気力になったり、横道にそれたりしてしまうのです。悪いことに、すぐ夏休み・・・。
一つ目の山は、これを防ぐために、本気で子どもが出した結果と向き合って、「なにくそ、次はこれでがんばるぞ」と子どもに思わせないといけないのです。そんな、愛情を注ぐ時期が今やってきているのでしょう。
C・Aさんの日記にはこう書きました。
「あなたが最後でよかった。あなただから、みんな納得したと思うよ」って。
ちょっと、ストレートすぎるかもしれません。逆に、落ち込むかなあと心配でした。
次の日、
「先生ありがとう。涙がでるほど嬉しかったです。」との返信。
悔しさから逃げずにちゃんとまっすぐにわたしのコメントと向き合ってくれた、あなたにこそ、ありがとう・・。
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