(韓国ネットニュース・PRESSIAN−社会ニュース 2011年12月15日付 )
http://www.pressian.com/article/article.asp?article_num=60111214180259§ion=03
福島の核災害、4〜5年後には晩発性障害が
チェ・ウンファ記者
[PRESSIANインタビュー]‘熊取六人衆’京都大学熊取原子炉実験所助教・今中哲二氏に聞く
来年3月には、福島第一原発事故が起きて1年となる。しかし、依然として終息していないばかりか、放射能汚染の程度、健康に及ぼす影響も正確に知られていない。ただ、食品から放射性物質が発見されるなどの断片的な消息が伝えられているだけだ。
福島事故以後、日本はどんな状況なのか。14日、<PRESSIAN>は今中哲二氏にインタビューし、現在の日本の状況を聞いた。今中氏は天主教(カトリック)主教会、正義平和委員会・環境小委員会が主催した「未来世代の為の韓日原発政策の道」講演者として韓国を訪問していた。(写真<PRESSIAN>今中哲二 京都大学原子炉実験所助教)
今中哲二氏は、京都大学原子炉実験所の助教として、放射能汚染事故を研究してきた専門家だ。原爆が落とされた広島と長崎、最悪の原発事故が起こったチェルノブイリ、核兵器実験場で深刻な放射能汚染があったセミパラチンスクなどで、放射能の影響調査などをおこなってきた。
彼は、「福島事故以後、予定になかった研究対象としてこの被害地域が追加された」とし、苦々しく笑った。今中哲二氏は、去る3月の福島事故後、近隣の飯館村地域の放射能汚染度を調査し、実態を知り、政府が‘避難地域’に指定するように提言することもした。
京都大学原子炉実験所には、今中哲二氏の他にも小出裕章など、原子力利用の危険性を研究してきた研究者が6人いる。原子炉実験所がある地域の名称である熊取を取り、‘熊取六人衆’と呼ばれる。彼等は先頭に立って、日本の原発政策を批判してきた。今中哲二氏は、今回の事故は“人災”だと批判しながら、日本政府に対しても「事故直後の情報をすべて公開し、すぐに措置を取らなかった」と繰り返し批判した。
今中哲二氏は、「今、放射線被ばくによる急性放射性障害が起こる事はないが、向こう4〜5年後には晩発性障害を懸念しなければならないだろう。既に、放射能を完全に避けることは不可能なので、市民が放射能に対する常識を備え、自ら対処するすべを持たなければならないだろう」と語った。彼は、東北地方の汚染に対しては、「ストロンチウムとプルトニウムが放出されたチェルノブイリと違い、半減期が短いセシウムが主に放出された為、今後10年後には安定的な数値となるだろう」と見通した。
韓国には、原子力専攻者の中で原発の危険性を指摘する専門家は一人もいないが、日本でも今中哲二氏を始めとする‘熊取6人衆’は特異な存在だ。彼は、「原子力学会は、科学を目的とした学会と呼ぶ事は出来ない」と批判しながら、「日本の‘原子力村’(原子力マフィア)を動かしているのは、いつか核兵器を持つことが出来るようにする<核オプション>だ」と指摘した。
福島事故以後、‘危機はチャンス’とし、原子力産業の拡大を推進している韓国政府に対しては、彼は「私は韓国に対し、何をせよと言う立場にない」としながらも、「依然として原子力拡大を推進するのは、日本も同じであり、これはやはり忌まわしい事に違いない」と皮肉ることもした。
福島の事故は‘人災’だ
<PRESSIAN>:福島原発事故が起こった直後の3月末、飯館村で直接、放射能汚染の調査を実施したと聞いた。現場に行ってみて、当時の状況はどうだったか。
<今中哲二>:福島事故以後、半径20q以内の7〜8万名程度が避難をしたが、汚染状況はどうなのかに関する情報は殆んどなかった。調査した飯館村は、福島から30〜40q隔たった所で、汚染がひどい場所だった。実際にびっくりするほど高い数値が出てきた。私が働く原子炉実験所でも、1時間当たり20マイクロシーベルト以上の所は‘高線量地域’として特別な標示があり、私も無闇に入っていかない。飯館村では高い所では、1時間当たり30マイクロシーベルトあった。こんな所を、子供や老人達まで、平常時と全く一緒に生活していた。信じられない光景だった。
<PRESSIAN>:事故直後に、日本政府が汚染度を調査して、対応をしなければならなかったのではないか。
<今中哲二>:我々の調査チームは、飯館村の全体的な汚染度を直ちに発表した。ここは、日本の粗末な防除対策指針に照らしても、直ぐ避難しなければならない水準だった。その後政府側でも問題になり、4月22日に計画的避難区域に指定された。6,000名の村民が避難した。
政府の対応がこれ程までに遅れている事に対して非常に驚いた。明らかに対策本部は、汚染が深刻な事は知っていたのに、なんの情報公開もしなかった。避難をせよ、外出を控えよ、食品に気をつけよというなどの注意もしなかった。その責任をはっきりと明らかにしなければならない。
<PRESSIAN>:普通、原子力推進派は、‘チェルノブイリは人災だが、福島は天災だ’と言う。チェルノブイリ事故など原子力発電所事故問題を研究してきた専門家として、どの様に考えるか。
<今中哲二>:福島事故も明らかに人災だ。無論地震と津波が契機となったが、原発の運営に責任ある人々が想像力をもっと持っていたら、こんな事態を容易く予測する事はできた。東北地方の人々は50年や100年に一度、津波がくる事実を知っていた。しかし、福島に原発を設計した人は、津波に対する対策を何も立てなかった。この事は、深刻な問題だ。当たり前に立てなければならなかった対策も、まともにしなかったと言う点で、人災と言う他はない。
<PRESSIAN>:被害の程度で比較すれば、どうなのか。
<今中哲二>:福島とチェルノブイリ事故の大きな違いは、セシウムとプルトニウムの汚染のあいだの違いだ。福島事故の場合、放出された主たる放射線物質がセシウムであって、ストロンチウムやプルトニウムは少ない。セシウム134とセシウム137は、それぞれ半減期が2年と30年である為に、今後およそ10年経てば安定的な数値になると予想する。チェルノブイリの場合は、半減期が2万4000年であるプルトニウムが拡散された為に差異は大きい。
原子炉自体が爆発したチェルノブイリと、メルトダウンした後に揮発性の放射性物質が出た福島の差だと言う事が出来る。ストロンチウムとプルトニウムは沸点が高く、遠くに飛んでいかなかった。多くは原子炉内に残った。だから、チェルノブイリに比べて、福島は比較的処理し易い汚染だと考える。
晩発性放射性障害を懸念しなければならない
<PRESSIAN>:多数の住民は、飯館村のように深刻に放射性汚染された場所で日常生活をしていたし、一部は今もしている。事故からほぼ1年経つが、住民の健康に放射線関連の症状が現れる事はないのか。
<今中哲二>:事故直後に枝野官房長官が続けて語った様に、放射能汚染は、ただちに体に影響が現れるレベルでない事は明らかだ。後年に現れる白血病や、癌に対する対策を直ぐにしなければならなかったのに、そうしなかったなかったことは問題だ。
被爆に対する健康の影響を考える時、二つに分けて考えなければならない。一度に多くの量を被ばくした時に現れる、急性放射性障害がある。それは一度に500ミリシーベルト程度を受けたときに現れる症状だ。私も、住民がそこまで過酷な被爆を受けたとは考えていない。ただ、後で症状が現れる晩発性放射線障害は憂慮して当然だ。
チェルノブイリの場合、ヨウ素131に被曝し、事件4年後から甲状線癌が多く発生した。ヨウ素131の場合、半減期が8日だから、早く減る分だけ早く対応をしなければならない。今回の福島事故でも、子どもが癌に罹らないように早く措置を取らなければならなかったのに、しなかった。これが憂慮される。
<PRESSIAN>:最近、福島第一原発所長が食道癌に罹った事が発覚し、福島の野菜を試食した放送キャスターが急性白血病に罹るなどの諸事件は、どう見ればよいのか。
<今中哲二>:専門家として意見を申し上げれば、福島事故と発病のあいだに関係はないとみる。チェルノブイリの場合、放射線に対する感受性の高い子どもが、癌に罹り始めたのが4年後だ。事故の影響を見ようとすれば、5年、10年単位で時間を捉えなければならないのだ。そんな事から、二人は関係がないと思う。ただ、吉田所長の場合は、9か月の間厳しいストレスの中で仕事をして、そのストレスが癌を育てた可能性はあると思う。急性白血病に罹ったキャスターの原因はよく分からない。
いま、完全に汚染を避ける事は不可能だ
<PRESSIAN>:最近、日本最大の食品会社である明治で作った粉乳から、放射性セシウムが検出された。食品汚染に対する憂慮が高いので、どう対処しなければならないか。
<今中哲二>:これは大変敏感で深刻な問題なので、容易く答えるのは難しい。日本全国の子どもを持つ母親はみんな心配している。全国で講演に行くたびに、関連質問を多く受ける。私は、その時いつも「すでに汚染されてしまった為に、完全に汚染を避ける事は不可能だ」と答える。東京から福島にまたがる東北地方や太平洋側にはかなりの汚染がある。そして、この様に言う。「いま、仕方ないのでベクレル、シーベルトの言葉に慣れてください。そして晩発性癌や後年に現れる危険に備える様にしましょう。」
問題は、政府の基準値だ。日本政府は、1Kgに500ベクレルを暫定基準値として定め、それ以上の食品には流通を禁止させ、「1kg当たり500ベクレル以下は安全だから、安心して食べなさい」と言う。日本の市民は「それは違う」と感じている。501ベクレルであれば危険で、499ベクレルは安全なのか、そんな事はない。放射能は被ばく量に応じて危険度が高くなる、比例関係を持っている。501ベクレルであれば、501ベクレルの危険性があり、10ベクレルであればそれだけの危険がある。即ち、安全、危険の基準として線を引く事は不可能なのだ。問題は、我々がどれ位の汚染に耐えられるのか、忍耐を強要されているのかという問題だ。私の様な専門家は今まで研究してきたので、この判断に必要な知識を提供することができる。しかし、最後の判断は、それぞれの個人がしなければならない。
無論、一般の人が判断するのは難しいので、私は1年間1ミリシーベルトが最も適切な基準ではないかと考える。年間1ミリシーベルトは、原子炉規制法や放射線障害防止法等で、一般の人々年間限界値として設定されている数値だ。我々が毎日受けている自然の放射線は、場所によって異なるが、平均1年間1ミリシーベルト程度だ。従って、「我々がどれだけ我慢するか?」を考える出発点として、1ミリシーベルトの数値が基準となるだろう。
<PRESSIAN>:放射能に、安全な<しきい値>(生物の感覚に反応を生ませる最少限の刺激の強さ)は無く、危険は放射線被ばくと比例関係を持つ。これは国際的には公認された理論だが、韓国では一部医学者を除いては、認められていない。日本はどうか。
<今中哲二>:日本も殆んど同じ状況だ。特に福島事故以後に、「低線量被爆は健康に危険がない」と言う学者が増えているのに驚いた。極めて不思議だ。しかし癌や急性白血病などについて医学データなどを考えてみたとき、この線形モデルが最も合理的であり、反駁の余地なき理論だと考える。
自然放射線によっても、癌に罹る危険性がある。しかし、これは事実上対策が無いので放棄するとしても、放射能の健康影響を考える場合、被爆線量を見るのが最も合理的だと思う。
<PRESSIAN>:既に東京も、汚染地域となったのではないかとの憂慮がある。東京の汚染はどの程度なのか。
<今中哲二>:3月15日には、東京でも高い放射能値が観測された。政府は、‘マスクを着用せよ’‘外出を控えなさい’という対策はほとんど取らなかった。以後、3月20日と22日に降った雨で、汚染した塵が降って、土地が汚染した。この様に東京でも汚染したが、避難しなければならない水準ではない。
ただ隅々に‘ホットスポット’がある。ここは汚染除去作業をする必要がある。例えば、東京のような都市では、雨が降ればアスファルトの水が排水口にはいるから、排水口で汚染が濃縮される現象があちこちで起こる。汚染が著しい地域が局所的に生まれる事になるわけだ。東京の住民としては、汚染がひどい場所で生きる事は不安なはずだから、家の周辺の何所が汚染されているのかをきちんと測定し、調査する事が重要だと勧めている。東京を訪問する韓国人は、成人であればこの様に心配する必要は無いと言いたい。
<PRESSIAN>:東京電力は、原発内の放射能汚染水を浄化処理した後、海に放出する方法を検討中と言っている。漁民団体や、韓国や中国など隣接国で憂慮している。追加汚染の恐れはないのか。
<今中哲二>:結局、放射能濃度が問題だから、かなりは可能な事だと考える。無論、除染以後の放射能濃度を知ることができないので推測に過ぎない。しかし、除染過程で、お金をかけるだけかけて放射能濃度を下げて、法で定められた排出基準値以下にさか゜っていれば、放出しても大丈夫だろう。基準値以下にすれば、3月に放出した汚染水の放射線量に比べて10万分の1とか、1,000万分の1の水準になる。技術的には可能だ。ただ、社会的には受け入れ難いし、問題となるだろうと考える。
原子力村を動かしているのは<核オプション>
<PRESSIAN>:韓国では、原子力を専攻した学者の中で原子力に批判的なひとは一人もいない。これは原子力学会の閉鎖性を見せているのだが、日本の場合はどうなのか。
<今中哲二>:日本も同じだ。私も原子力学会の一メンバーだが、‘変な人’に過ぎない。私は20年の間、学会の集まりには参加しなかった。原子力学会は原子力を推進する学会で、その意味で科学を目的とした学会ではない。原子力推進は技術開発だけに重きを置く。近頃になって良く知られるようになったように、原子力学会も原子力村、原子力マフィアの一角だ。原子力学会が‘原子力は安全’という神話を作り出した主犯だであることは、間違いない。
<PRESSIAN>:そうであれば、、今中哲二氏は、どういう経過で原子力に批判的な原子力専門家となられたのか。
<今中哲二>:私が大学に入学した時、原子力は原子力学会が言うように、夢の未来エネルギーと言われていた。しかし、大学院に通う頃に、各地に原子力発電所が建設された時、反対運動も到る所で起こった。住民の話はこうだった。「電力会社は、原発がきても、絶対事故はおきないし、働く場所も生まれ、金が入ってくる、など地域に良い事だけが生まれると言う。これはどうも変ではないか。そんなに良い物をどうして田舎に立てるのか。」
そこで調べてみたら、事故がおきた場合には桁外れの被害が出る事を知った。30年前に、政府と電力会社が、金と権力の力で無理やり田舎に押し付けようとする事を知った。そこで、私は‘もしも事故が起これば、どんな被害が出るのか’を正しく研究してみる事にした。これが始まりだった。
<PRESSIAN>:韓国や日本でも、原子力推進派は強い勢力を維持している。原因は何か。
<今中哲二>:日本の原子力開発は、初めから‘核の平和利用’と言う美名の下に推進されてきた。この論理には‘原子力は良いものだ’と言う宣伝が含まれているが、私は‘産業利用’と言う言葉がもっと適合すると考える。
原子力開発過程で、電力会社を中心に、その利権に連結する政治家、予算を取り扱っている官僚、研究予算が必要な学者、支援金を引っ張ってこようとする自治体の長、広告費を期待するマスコミなどが互いに絡み合い、一種の共同体、原子力村を形成してきた。もし、教授でも、マスコミでも、原発の危険性を指摘すれば、批判をうけたり、組織から追われたり、広告費を受ける事が出来ないのだ。
この様に自分たちの食いぶちとして、どうして持ちつもたれずの構造を維持することが出来るのか。この理由は、日本も核兵器を持てるという‘核オプション’だ。1968年、当時の佐藤栄作総理は、‘日本は核武器を持たず、つくらず、搬入も認めない’という「非核3原則」を発表しノーベル平和賞を受けた。後で明らかになった処では、‘今は核武器を持つことは出来ないが、いつか持つことが出来る様に技術を保有する’と言う事だった。
現在、日本が推進する高速増殖炉、再処理、濃縮ウラニウム製造など、この三つの技術は核兵器を作るための技術だ。
‘何時でも可能なように、技術を持っている’という基調は、依然として維持されているのだ。これが原子力村を維持する一つの大きな理由だ。
<PRESSIAN>:閉鎖的な原子力学会のなかで、原発の危険性に対する研究をしながら、難しい点は無かったか。
<今中哲二>:興味のある話を一つすれば、もし私が東京大学にいてこの研究をしたら、批判を受けたり、追い出されただろうと思う。京都大学は、称賛を貰う事もないが、大騒ぎにあう事もなかった。‘その問題はそれなりに重要だから、やって見なさい’と言うやり方だった。職場で、同じ様な問題意識をもって共に研究した同僚が6名いた。(彼等を京都大学の原子炉実験所がある熊取の地名から、‘熊取六人衆’と呼ぶ。)
その間、我々は‘原発は危険だ’という警鐘を鳴らしてきたが、実際に、こんな厳しい事故が生じる事態を考えてこなかった。頭では、‘必ず事故が起きる’との考えはあったが、それでも分らなかった。だから事故後、何月間はまるで夢の中に居るかのようで、現実感がなかった。今は、少し気をしっかり持ったが、2〜3カ月の間、映画の中で暮らす感じだった。私は、一般市民に講演する場合が多いが、福島事故以前と以後、人々の反応が全く異なる。チェルノブイリも、事故以前と以後で時代が変わったと言うが、日本の人々も福島事故以前と以後では異なった時代を生きていると考える。
原発を推進してきた借りを返す事となったのではないですか
<PRESSIAN>:「異なった時代に暮らしている」と言われたが、韓国政府は福島事故以後、‘危機はチャンスだ’と、原子力発電をむしろ拡大しようとする政策を拡大している。これに対しどの様に考えるか。
<今中哲二>:私が韓国に対し、何かと云々する立場にはないが、日本もやはり、原子力を輸出しようとしている事は同じだ。あまりにも忌まわしい。我々は原発の安全性を根本的に再検討しなければならないし、場合によっては、あらゆる原発を廃棄する事も必要だ。しかし、そんな検討は殆んど無く、直ぐ経済だけを考えて‘原発輸出’を押し進めているのはおかしい。
原子力をエネルギー源に使う事は、それくらい社会が危険に会うと言うことだ。、そんな危険性に対し、きちんと説明したあとで、市民たちが推進するのかしないのか、判断しなければならない。また、どの国も廃棄物問題を正しく解決出来なかった。廃棄物も処理できないのに、エネルギー源に使う事などは決して道理にかなった事ではない。日本は4基の原子炉が破壊され、今後40〜50年間は廃棄物問題が極めて深刻になるだろう。
現在日本は、54基の原子炉の中で40余基の原発が停止した状態だ。我々はこの機会に、すべての原発を停止させる事を提案している。本当に我々が原発を必要としているのか、しないのか。このことが明確になる。こうして、すべての市民が‘原子力は必要’と言えば、私も反対しない。
<PRESSIAN>:韓国で原子力の安全性に憂慮する人々は、「今迄、原子力事故は、原子力発電所が多い順序で起こっている。次は韓国だ」と主張している。政府や原子力学界は認めないが。
<今中哲二>:エピソードを紹介すれば、地震が起こった3月11日に、私は関西空港にウクライナから来た客を迎えに行っていた。チェルノブイリ25周年を迎え、キエフの友達を招待し、セミナーを開こうとしたのだ。その友達がきた次の日に事故が起きた。15日に広島に行く電車の中で、NHKはその友達にインタビューをした。彼は記者の質問に対して、「この40年間、多くの原発を建て、原発を推進してきた日本が、今、その借りを償う時となったのではないでしょうか。我々も生き残っているので、日本の人々も生き残るでしょう」と言っていたんだ。涙が出る様だった。
<PRESSIAN>:韓国と日本で、ドイツの事例の様な脱原発は可能か?
<今中哲二>:その様になれば良いだろう。(私は)活動家でも政治家でもないので、専門家の立場からしか言えないが、一個人としては、その方向で取り換えていかなければならないと思う。日本はエネルギーをたくさん消費している。エネルギーを浪費する生活を変えていく事を通して、脱原発を達成できるのではないか、と期待する。(終)
(訳 柴野貞夫 2011年12月19日)
<参考サイト>
☆飯館村のセシウム137のレベルはチェルノブイリ事故での強制退避レベルの6倍以上/3月24日既に今中氏は警告していた(2011年4月7日)
☆福島第一原発事故は原発をめぐる国家と電力会社の御用学者達の詭弁を断罪した
(2011年4月8日)
☆281 福島原発事故/最悪の場合、東京都は‘無人地帯’となる(1)
(韓国・PRESSIAN 2011年4月20日付)
☆282 福島原発事故/最悪の場合、東京都は‘無人地帯’となる(2)
(韓国・PRESSIAN 2011年4月20日付)
☆283 福島原発事故/最悪の場合、東京都は‘無人地帯’となる(3)
(韓国・PRESSIAN 2011年4月20日付)
☆294 福島の悪夢は現在進行形だ
(韓国・PRISSIAN 2011年8月18日付)
☆296 福島の核災難、今後(日本で)100万名以上が死ぬ[インディペンデント](英国)指摘
(韓国・PRISSIAN 2011年8月29日付)
☆304 日本の核武装の欲望と原発
(韓国・ハンギョレ 2011年9月22日付)
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