西沢 和真♂ 無気力系の男の子。根暗じゃない。やる気がないだけとも積極性が無いだけとも 台詞数:102 | ||
津久井 祐次♂ 能天気で明るい男の子。良い奴だけど、どこか抜けてる。 台詞数:65 | ||
日野 守♂♀ 一見おとなしくて優しそうな雰囲気。だけど、言う事はきつい。自分は頭良いと思っている節がある。 台詞数:66 | ||
笹山 唯♀ おとなしい子。感情がすぐ表に出る。慌てやすい。 台詞数:56 | ||
麻田 梢♀ 明るい子。優しくて他人を気遣うのが好き。 台詞数:89 | ||
鈴木 美希♀ 明るくて元気のいい女の子。声が大きめ。一人称は自分の名前。 台詞数:90 | ||
第十三話『どうすればいいか分からないけど』 | ||
1 | 和真 | 「はい。もしもし?」 |
2 | 守 | 「もしもし、今、いい?」 |
3 | 和真 | 「ああ、いいよ」 |
4 | 守 | 「その前に、あの後どうなったの?」 |
5 | 和真 | 「別に……普通に帰っただけ。んで、さっき夕飯食べた」 |
6 | 守 | 「僕はこれから。まあ、そんなのどうでもいいけど」 |
7 | 和真 | 「……で、用事って?」 |
8 | 守 | 「あのままで良いの?」 |
9 | 和真 | 「そう言われてもな」 |
10 | 守 | 「気持ちは分からないけどね、あまり良い気持ちじゃないでしょ」 |
11 | 和真 | 「そりゃあな……で、どうしろっていうんだよ」 |
12 | 守 | 「明日、空いてるなら駅前に9時集合」 |
13 | 和真 | 「は?」 |
14 | 守 | 「って麻田さんと相談して決めたの。何もしないより良いと思うけど?」 |
15 | 和真 | 「それって、やっぱり……」 |
16 | 守 | 「もちろん笹山さんも来るよ」 |
17 | 和真 | 「はぁ……おせっかいだよな、お前ら」 |
18 | 守 | 「僕はただもったいないと思うだけだよ」 |
19 | 和真 | 「分かった。行くよ。っても何すればいいんだ?」 |
20 | 守 | 「普通に遊ぶだけだよ」 |
21 | 祐次 | 「おぉい、西沢ぁ。遅いぞぉ」 |
22 | 和真 | 「まだ20分前だって……って、元気ないのか?」 |
23 | 守 | 「珍しく元気がないね。津久井くん」 |
24 | 祐次 | 「まぁなぁ。いや、しかし鈴木はすげーぞ」 |
25 | 美希 | 「あははー、そかなー?」 |
26 | 和真 | 「なんだ?」 |
27 | 美希 | 「あのねー、美希1時間早く来てたんだー。んでねー……」 |
28 | 祐次 | 「そこで、鈴木と会ったんだけどよー」 |
29 | 和真 | 「津久井も1時間前に来たの?」 |
30 | 祐次 | 「いや、二時間前」 |
31 | 守 | 「はぁ……? なんでそんなに早く来てるの?」 |
32 | 祐次 | 「ああ、そりゃあ……待ち合わせの時間忘れたからな」 |
33 | 美希 | 「祐次くん面白いよねー」 |
34 | 守 | 「面白いっていうか……呆れるというか」 |
35 | 祐次 | 「んで、暇だったからそこのファミレス入ったんだよ。朝メシも食ってなかったし」 |
36 | 美希 | 「うんうん、そこで美希と会ったんだよねー」 |
37 | 和真 | 「ん? なんで鈴木さんが居たんだよ?」 |
38 | 美希 | 「お出かけだから、朝ご飯外でとろうと思ったんだよー。えへへー」 |
39 | 祐次 | 「そしたらよー、鈴木ってすっげえ食うのな……」 |
40 | 美希 | 「えー? でもー、祐次くんも食べてたよねー」 |
41 | 祐次 | 「普段はあんなに食わねーって俺……」 |
42 | 美希 | 「そなのー? 美希は普通だけどなー」 |
43 | 守 | 「津久井君ってかなり食べるけど……そんなに?」 |
44 | 祐次 | 「ああ……何食べてたかは思い出せないけど、10個以上頼んでたな」 |
45 | 美希 | 「んとねー、13個かな」 |
46 | 和真 | 「……なんでそんなに……」 |
47 | 守 | 「っていうかさ、なんで津久井君苦しんでるの?」 |
48 | 祐次 | 「いや……なんつーか、張り合ってな」 |
49 | 守 | 「ほんっとうに下らない事で頑張るねえ……」 |
50 | 祐次 | 「目の前で平気そうな顔で食われると、俺もいけるんじゃねーのかなーってな……」 |
51 | 守 | 「軽い頭だねえ」 |
52 | 祐次 | 「でも、あれだ。次は負けねーぞ」 |
53 | 守 | 「はあ……そういうの意味無いと思うよ」 |
54 | 美希 | 「う〜ん、美希は楽しいから良いと思うんだけどなぁ」 |
55 | 守 | 「……まあ、そうかもね。楽しければ、だけど。どう? 津久井君」 |
56 | 祐次 | 「きつかったけど楽しかったぞ」 |
57 | 守 | 「ふーん……」 |
58 | 和真 | 「いいんじゃないか? まあ、いくらかかったか気になるけどな……」 |
59 | 美希 | 「んとねー、これくらいっ」 |
60 | 守 | 「え……なにこのレシート……」 |
61 | 和真 | 「昼飯一ヶ月分ってとこか……やっぱやめた方がいいな」 |
62 | 美希 | 「あ、美希ちゃんと唯ちゃん来たよ。おーい!」 |
63 | 梢 | 「おはよ、早いね。みんな」 |
64 | 守 | 「麻田さんも早いでしょ。まだ15分前だし」 |
65 | 唯 | 「うん、そう思うよ」 |
66 | 美希 | 「美希と祐次くんは二時間前から居たんだよ」 |
67 | 梢 | 「あー……もしかして津久井くん美希に付き合ったの?」 |
68 | 祐次 | 「ああ、まあな」 |
69 | 梢 | 「大変だったでしょ……」 |
70 | 祐次 | 「ま、ちょっとだけな」 |
71 | 美希 | 「あははー。あ、唯ちゃん、おはよ。元気ないねー」 |
72 | 唯 | 「え? そう?」 |
73 | 美希 | 「具合悪いのかな?」 |
74 | 唯 | 「う、ううん。全然そんな事無いよ」 |
75 | 和真 | 「無理はしない方が、いいよ」 |
76 | 唯 | 「あ、はい。ありがとう、ございます」 |
77 | 梢 | 「だいじょーぶよ。ちゃんと熱も測ってきたし」 |
78 | 和真 | 「まあ、ならいいけど」 |
79 | 美希 | 「じゃあじゃあ、もう出発しようよ」 |
80 | 和真 | 「って、どこ行くんだ?」 |
81 | 祐次 | 「あ、守から聞いてないのか?」 |
82 | 和真 | 「ああ、とりあえず来てみなって言われたから」 |
83 | 唯 | 「あの、美希ちゃん。私も知らないんだけど」 |
84 | 美希 | 「んとね、ネズミーランドにゴーゴー!」 |
85 | 梢 | 「そうしたかったんだけどね……高くて無理でしょ」 |
86 | 美希 | 「ええっ!? 美希聞いてないよっ!」 |
87 | 梢 | 「ああ、やっぱ聞いてなかったの? すぐに高くて無理だねーって言ったの」 |
88 | 美希 | 「んー、そっかー……残念……」 |
89 | 守 | 「というわけで、その近くの臨海公園に行くことに決まったんだよね」 |
90 | 美希 | 「そっかそっか。それじゃあそっちに出発ーっ!」 |
91 | 梢 | 「……あんた結局どこでもいいんじゃないの?」 |
92 | 守 | 「近くにあるだけに、お預けされてるみたいにも感じるね……」 |
93 | 祐次 | 「なんなら泳いでいけばタダで行けるだろ?」 |
94 | 守 | 「無理だよ」 |
95 | 美希 | 「着いたよーっ!」 |
96 | 梢 | 「言わなくても分かるわよ……」 |
97 | 和真 | 「けっこう混んでるな」 |
98 | 梢 | 「連休だしねー。家族連れ多いよね」 |
99 | 唯 | 「うん。いいなあ」 |
100 | 梢 | 「もしかして、家族旅行の予定とかあったの?」 |
101 | 唯 | 「ううん、ないよ。だから羨ましいなあって」 |
102 | 梢 | 「そっか、唯の家って連休って滅多に取らないんだっけ」 |
103 | 祐次 | 「はい。帰りの切符」 |
104 | 唯 | 「え、あ、ありがとうございます」 |
105 | 梢 | 「意外と気が効くわねぇ。でも、まとめて持ってた方がいいんじゃない?」 |
106 | 祐次 | 「ああ、そりゃそうだな。じゃ、西沢よろしく」 |
107 | 和真 | 「い、いいけど……自分で持てばいいだろ」 |
108 | 祐次 | 「西沢の方が、俺よりしっかりしてるだろ?」 |
109 | 和真 | 「そうか? お前の方が気が回るみたいだしさ」 |
110 | 祐次 | 「これは、ただの癖っていうか習慣っていうか……まあ頼んだぞ」 |
111 | 和真 | 「あ、ああ分かったよ」 |
112 | 梢 | 「それで、どこ行こっか? 観覧車もあるみたいだけど」 |
113 | 美希 | 「いいねいいねっ。美希高いところだーい好きだよ!」 |
114 | 守 | 「悪いけど、僕はやめとくよ……」 |
115 | 祐次 | 「そーそー、守は高いとこ苦手なんだよ」 |
116 | 守 | 「まあね……」 |
117 | 美希 | 「そっかぁ。じゃ、仕方ないね」 |
118 | 梢 | 「唯は? どこかある?」 |
119 | 唯 | 「んと、分かんないけど観覧車行きたかったな……」 |
120 | 守 | 「ごめんね」 |
121 | 唯 | 「あ! ううん、大丈夫です。他に知らなかっただけだし」 |
122 | 梢 | 「まあ、ここに居ても仕方ないし、あっちの方行こうよ」 |
123 | 祐次 | 「しかし、来たのはいーけどよ。なんもないぜ」 |
124 | 和真 | 「まあ、そんなもんだろ」 |
125 | 梢 | 「そーよ。それに海が見えるだけで十分じゃない?」 |
126 | 美希 | 「それに芝生もキレイだよーっ。気持ち良いね」 |
127 | 祐次 | 「そーゆーもんか?」 |
128 | 和真 | 「いや、分かんないけどな」 |
129 | 守 | 「まあ、どっちでもいいけど、ずっと立ってるのは疲れるね」 |
130 | 美希 | 「守くん年寄りくさいよっ」 |
131 | 唯 | 「……でも、私もずっとはちょっと疲れるかな」 |
132 | 祐次 | 「俺もー」 |
133 | 梢 | 「はいはい、大丈夫。レジャーシート持って来たから」 |
134 | 美希 | 「おおお! 梢ちゃん素晴らしいっ」 |
135 | 守 | 「……鈴木さんは座らなくていいんじゃないの?」 |
136 | 美希 | 「有るに越したことはないんだよっ。ね、ね、お弁当は?」 |
137 | 梢 | 「そこまで手回んなかったの。昨日、突然決めたし……」 |
138 | 美希 | 「梢ちゃん朝弱いもんねぇ?」 |
139 | 梢 | 「うるさいわねー」 |
140 | 唯 | 「あ、あの私も持ってきたんだけど……いらないかな?」 |
141 | 梢 | 「え? そんなことないよ。広げよ。ほら、西沢君手伝いなさい」 |
142 | 和真 | 「ああ……笹山、やるよ。」 |
143 | 唯 | 「はい、あ! すみません」 |
144 | 和真 | 「はぁ……いいよ」 |
145 | 梢 | 「もう……手触ったくらいで騒がないの。唯?」 |
146 | 唯 | 「あ、あの、別に、嫌とかじゃなくて、驚いちゃっただけで」 |
147 | 和真 | 「だからいいって……よし、こんなもんでいいか?」 |
148 | 祐次 | 「いいんじゃん?」 |
149 | 守 | 「ふう、疲れたー」 |
150 | 祐次 | 「お前、ほんと年寄りくさいのな」 |
151 | 守 | 「前から知ってるでしょ。……笹山さん座んないの?」 |
152 | 唯 | 「……あ、はい。あの……どこ座ればいいですか?」 |
153 | 梢 | 「どこもなにも好きなとこ座ればいいの」 |
154 | 唯 | 「んっと……」 |
155 | 和真 | 「……」 |
156 | 祐次 | 「ここでいいじゃん。西沢詰めろよ」 |
157 | 和真 | 「んな……ああ」 |
158 | 唯 | 「すみません」 |
159 | 和真 | 「だからさ……謝んなくていいんだって」 |
160 | 唯 | 「はい……」 |
161 | 祐次 | 「で、これから何すんの?」 |
162 | 梢 | 「そうねえ、まだ10時だからご飯も早いし」 |
163 | 美希 | 「美希お菓子食べたいなーっ」 |
164 | 和真 | 「え……さっき食べたばっかりじゃないの?」 |
165 | 美希 | 「甘いものは別腹なんだよ」 |
166 | 和真 | 「本当にもう一つ胃がありそうだよな……」 |
167 | 美希 | 「ん? あははー、そうかもねーっ」 |
168 | 梢 | 「あんたって、牛なんじゃないの?」 |
169 | 美希 | 「んー? なんでー?」 |
170 | 梢 | 「牛は胃が四つあるのよ……」 |
171 | 美希 | 「へぇー、確かに最近体重増えたかなーっ? って思ってたんだよねー」 |
172 | 唯 | 「え? 美希ちゃん凄く細いのに……」 |
173 | 美希 | 「そんなことないよーっ」 |
174 | 梢 | 「それ、すっごくイヤミに聞こえるんだけど……」 |
175 | 和真 | 「な、なあ……津久井」 |
176 | 祐次 | 「あん?」 |
177 | 和真 | 「どうすればいいんだ?」 |
178 | 祐次 | 「ん、俺もわかんね」 |
179 | 守 | 「まあ、こんなもんじゃない?」 |
180 | 美希 | 「ねえねえ和真くん! お菓子買いにいこっ!」 |
181 | 和真 | 「え? あ? ああ、うん」 |
182 | 美希 | 「やったーっ! じゃあ唯ちゃん和真くん借りてくからねー」 |
183 | 唯 | 「え? えと……う、うん。いいよ」 |
184 | 和真 | 「い、いいよって……笹山?」 |
185 | 梢 | 「ゆ、唯? 大丈夫?」 |
186 | 唯 | 「え? あ! あ、あの……借りちゃだめですっ」 |
187 | 和真 | 「だめって言われても……」 |
188 | 美希 | 「えー? だめー?」 |
189 | 梢 | 「いい加減にしなさい! ほら、唯も落ち着いて」 |
190 | 唯 | 「うん……あ、あの……西沢くんごめんなさい」 |
191 | 和真 | 「いいよいいよ……」 |
192 | 美希 | 「大丈夫だよー、ちゃんと返すからねっ」 |
193 | 和真 | 「俺は物じゃないって……まあ、すぐ戻ってくるよ」 |
194 | 唯 | 「……いってらっしゃい」 |
195 | 和真 | 「ん? ああ、行ってくるよ」 |
196 | 唯 | 「美希ちゃんまだ戻ってこないね」 |
197 | 梢 | 「30分か……微妙なとこねぇ」 |
198 | 唯 | 「……」 |
199 | 梢 | 「唯?」 |
200 | 唯 | 「あ、ううん。なんでもないよ」 |
201 | 梢 | 「そう? ならいいんだけど」 |
202 | 唯 | 「うん……遅いなぁ(ぼそ)」 |
203 | 祐次 | 「……よし!」 |
204 | 唯 | 「はい?」 |
205 | 梢 | 「どしたの?」 |
206 | 祐次 | 「守、一緒に行かないか?」 |
207 | 守 | 「やめとくよ」 |
208 | 祐次 | 「おまっ! ちょっとは聞いてくれよ」 |
209 | 守 | 「ちょっとは内容話してね」 |
210 | 祐次 | 「まあまあ、いいだろ? ちょっと付き合ってくれよ」 |
211 | 守 | 「だから、やめとく」 |
212 | 祐次 | 「そっか。仕方ねえな……」 |
213 | 梢 | 「だから、なんなのよ」 |
214 | 祐次 | 「いや、あいつら探しに行こうと思ったんだけどな」 |
215 | 梢 | 「そうねぇ……じゃあ、あたしも行こうか?」 |
216 | 祐次 | 「お、さんきゅー。笹山さんは?」 |
217 | 唯 | 「え? 私ですか?」 |
218 | 祐次 | 「ああ。まずいかな」 |
219 | 唯 | 「えと……いいですけど」 |
220 | 守 | 「それじゃあ僕は待ってるよ」 |
221 | 祐次 | 「おう、一人にして悪いな」 |
222 | 唯 | 「でも、一人で残ってもらうの悪いから私は――」 |
223 | 守 | 「いいよ」 |
224 | 唯 | 「でも……」 |
225 | 梢 | 「……あー、いいわよ。私が残るからさ。行ってきなさいよ」 |
226 | 唯 | 「わ、悪いよ」 |
227 | 梢 | 「どっちが残ったって一緒でしょ。気にしないの」 |
228 | 唯 | 「う、うん……」 |
229 | 祐次 | 「まあ、すぐ戻るからよ。悪いな」 |
230 | 守 | 「はいはい。いってらっしゃい」 |
231 | 梢 | 「……津久井くんどうしたのかしら」 |
232 | 守 | 「いつも通り……だろうね」 |
233 | 梢 | 「遊んでるってこと?」 |
234 | 守 | 「たぶん」 |
235 | 梢 | 「もしかして、最初から残るつもりだった?」 |
236 | 守 | 「どうかな? ま、なんにしろ席取りはいなきゃならないしね」 |
237 | 梢 | 「あー……なるほど……」 |
238 | 守 | 「別に気を使ったわけじゃないんだけどね」 |
239 | 梢 | 「あはは、一人にしようとしてごめんね」 |
240 | 守 | 「別に一人でもいいんだけどねえ」 |
241 | 梢 | 「もー、そういうこと言わないのー。こっちが寂しくなるでしょー?」 |
242 | 美希 | 「ただいまーっ」 |
243 | 梢 | 「美希ー! 遅いわよ!」 |
244 | 和真 | 「いやぁ、悪いね。遅くなっちゃって……」 |
245 | 梢 | 「何やってたの? うわ……また、随分と買い込んだわねぇ……」 |
246 | 和真 | 「はあ……重かった……」 |
247 | 美希 | 「あははー、ありがと和真くん。助かったよっ」 |
248 | 梢 | 「もう1時間もどこ行ってたのよ」 |
249 | 美希 | 「んとねー、お菓子買ってたんだよ」 |
250 | 和真 | 「結構遠くて……まあ、それだけじゃないんだけど」 |
251 | 梢 | 「ん?」 |
252 | 美希 | 「じゃーんっ! ほら、遊べるように買ってきたんだよ」 |
253 | 梢 | 「ラケット? それと、これはネット……?」 |
254 | 美希 | 「うん。バドミントンなら誰でもできるよねっ」 |
255 | 梢 | 「……あたし、スカートなんだけど」 |
256 | 美希 | 「美希もだよ」 |
257 | 梢 | 「そんなに長くないんだけど」 |
258 | 美希 | 「美希はもっと短いよー」 |
259 | 梢 | 「じゃあ、できないでしょっ」 |
260 | 美希 | 「大丈夫だよーっ。あははーっ」 |
261 | 梢 | 「大丈夫じゃないっ! もー……」 |
262 | 和真 | 「……ごめん。気が付かなかったよ」 |
263 | 梢 | 「あ、いいのよ。それに、美希が言い出したんでしょ?」 |
264 | 和真 | 「ん、そうだけど」 |
265 | 守 | 「西沢君、振り回されっぱなしだった?」 |
266 | 和真 | 「ああ、そんな感じだったと思う」 |
267 | 美希 | 「手伝ってくれてありがとねっ」 |
268 | 和真 | 「いや……いいよ」 |
269 | 美希 | 「あれーっ? ……唯ちゃんと祐次くんは?」 |
270 | 梢 | 「あんた達を探しに行ったの」 |
271 | 和真 | 「ん……そうか」 |
272 | 梢 | 「ま、そんなに気にすることないでしょ」 |
273 | 守 | 「ミイラ取りがミイラ……だね」 |
274 | 和真 | 「笹山、大丈夫かな……」 |
275 | 美希 | 「じゃあ、探しに行こうよ! 和真くん」 |
276 | 和真 | 「え、ここで待ってれば……」 |
277 | 美希 | 「探しに行ってあげれば、きっと唯ちゃんも喜ぶよっ」 |
278 | 和真 | 「んー?」 |
279 | 守 | 「連れ出したのは鈴木さんだよねぇ……」 |
280 | 美希 | 「細かいことは気にしちゃダメだよっ。いこーいこー」 |
281 | 和真 | 「ああ、分かったよ。行くって……日野はどうする?」 |
282 | 美希 | 「それじゃあ、二人ともよろしくねー」 |
283 | 和真 | 「え? お、おい……ちょっ、引っ張るなって」 |
284 | 梢 | 「で……また留守番なのね」 |
285 | 守 | 「そうだねー」 |
286 | 梢 | 「しかし、どーすんのよ。このお菓子の山は」 |
287 | 守 | 「二人でこれだけ食べるって思われてそうだね」 |
288 | 梢 | 「なんか嫌だなあ……なんか周りから見られてない?」 |
289 | 守 | 「うん。ジロジロ見られてるねえ……」 |
290 | 美希 | 「ねえねえ! あれ、唯ちゃん達だよね?」 |
291 | 和真 | 「ん? ……ああ、そうだね」 |
292 | 美希 | 「いこいこっ」 |
293 | 和真 | 「ん、ああ……うん」 |
294 | 美希 | 「どしたの?」 |
295 | 和真 | 「いや、ちょっと」 |
296 | 美希 | 「んー? 何ー?」 |
297 | 和真 | 「って、あんまりくっつかないで……くれる?」 |
298 | 美希 | 「えー、なんでー?」 |
299 | 和真 | 「いや、なんでって、言われてもなぁ」 |
300 | 美希 | 「あははっ、ごめんね」 |
301 | 和真 | 「ふう」 |
302 | 美希 | 「あ……」 |
303 | 和真 | 「ん?」 |
304 | 美希 | 「唯ちゃん……」 |
305 | 和真 | 「笹山……」 |
306 | 唯 | 「んと……」 |
307 | 美希 | 「えとねっ。唯ちゃんのこと探しに来たんだよ」 |
308 | 唯 | 「う、うん……」 |
309 | 美希 | 「あ、祐次くんも探したんだよ。どこ行ってたのー?」 |
310 | 祐次 | 「お前ら探してて、色々回ったんだよ。はぁ……しかし、西沢」 |
311 | 和真 | 「遅くなってごめんな」 |
312 | 祐次 | 「いや、そうじゃなくてな」 |
313 | 和真 | 「ん?」 |
314 | 祐次 | 「んー、まあ仕方ねーか」 |
315 | 美希 | 「ま、とにかく戻ろうよ。お菓子たくさん買ってきたんだよーっ」 |
316 | 唯 | 「うん、でも先に戻ってて。あ、後からちゃんと戻りますから」 |
317 | 美希 | 「えー?」 |
318 | 唯 | 「ごめんね」 |
319 | 祐次 | 「大丈夫なの?」 |
320 | 唯 | 「ありがとうございます。大丈夫ですよ」 |
321 | 和真 | 「……気をつけてな」 |
322 | 唯 | 「はい……あ、あの行きたい所があるんです」 |
323 | 和真 | 「そっか」 |
324 | 唯 | 「はい……そ、それじゃあまた」 |
325 | 和真 | 「あ、ああ」 |
326 | 祐次 | 「はあ……」 |
327 | 美希 | 「ねっ、唯ちゃん。美希も行っていいかな」 |
328 | 唯 | 「え? うん、いいよ」 |
329 | 美希 | 「うんうん」 |
330 | 祐次 | 「おい、西沢……俺達は戻ろうぜ」 |
331 | 和真 | 「あ、ああ、じゃあな……笹山」 |
332 | 梢 | 「おかえりぃ」 |
333 | 守 | 「……二人は?」 |
334 | 祐次 | 「ちょっと寄り道するってよ」 |
335 | 梢 | 「なっかなか集まらないわね……」 |
336 | 祐次 | 「すぐ戻ると思うぜ。それまで遊ばねーか。せっかくこれもあることだし」 |
337 | 梢 | 「これね……あたしはちょっと……遠慮するわ」 |
338 | 祐次 | 「んじゃ、西沢、やろうぜ?」 |
339 | 和真 | 「おまえ……本気出すなよ?」 |
340 | 祐次 | 「おいおい、本気だから楽しいんだろ?」 |
341 | 和真 | 「そりゃそうだけど……歯が立たないっていうかな」 |
342 | 祐次 | 「あー……よし、守! 二対一で西沢と組めよ」 |
343 | 守 | 「やだよ……って言いたいとこだけど西沢君次第だね」 |
344 | 和真 | 「いや、俺は……」 |
345 | 梢 | 「せっかくだし、やりなよ」 |
346 | 和真 | 「ん、じゃやるか。日野、いいか?」 |
347 | 守 | 「いいよ。ま、あんまり役に立たないと思うけどね」 |
348 | 唯 | 「ただいまぁ。ごめん、遅くなっちゃって」 |
349 | 梢 | 「おかえり。いいのいいの。こっちも楽しんでたし」 |
350 | 美希 | 「たっだいまー! あ! 先にバドミントンやってるー!?」 |
351 | 梢 | 「いいじゃない。そのために買ったんでしょ?」 |
352 | 美希 | 「あはは、それもそだねー。でもたのしそーだなー」 |
353 | 梢 | 「日野くーん、腰が引けてるよー」 |
354 | 守 | 「慣れてないんだよーっ」 |
355 | 梢 | 「ほらー、西沢君応援しなよ。頑張ってるんだから」 |
356 | 唯 | 「え、えっと……」 |
357 | 美希 | 「かーずまくーん! 祐次くんをやっつけろー」 |
358 | 梢 | 「唯も、ほらほら」 |
359 | 唯 | 「が、頑張ってー」 |
360 | 祐次 | 「って、おまえらー! みんな敵かよっ」 |
361 | 梢 | 「上手いんだから仕方ないでしょーっ。3連勝してるんだから」 |
362 | 祐次 | 「勝ってるのに全然うれしくねーなー……くそ! 届かねぇ」 |
363 | 和真 | 「よし! いいぞ、日野」 |
364 | 祐次 | 「守ー! きたねーぞー! ぎりぎりに落とすなんて」 |
365 | 守 | 「余所見してるのが悪いんだよ。それに、偶然だしね」 |
366 | 美希 | 「はいはーい! 美希もやるー!」 |
367 | 祐次 | 「いや、まだ終わってねーからな」 |
368 | 美希 | 「いいのいいの! 唯ちゃん、やろ!」 |
369 | 唯 | 「え! わ、わたし? 無理だよ!」 |
370 | 梢 | 「お疲れさまー。ご飯にしよ。ってもお菓子ばっかりだけど」 |
371 | 美希 | 「だいじょーぶ。ちゃんとやきそばもおにぎりもあるよーっ」 |
372 | 和真 | 「はぁ……疲れた……」 |
373 | 守 | 「結局、津久井君と鈴木さんが組んだね……」 |
374 | 和真 | 「無理。絶対勝てないぞあれは……」 |
375 | 梢 | 「あはは、お疲れ様。頑張ってたわよ」 |
376 | 和真 | 「頑張りすぎてもう動きたくないよ……」 |
377 | 守 | 「当分歩きたくない……」 |
378 | 唯 | 「大丈夫ですか? ……二人とも」 |
379 | 梢 | 「んー、ご飯食べられる?」 |
380 | 和真 | 「ああ、大丈夫。やきそばある?」 |
381 | 守 | 「おにぎり一つだけもらうよ……」 |
382 | 祐次 | 「お前ら体弱いなあ」 |
383 | 和真 | 「そんな事言われてもな。そっちが遠くまでバンバン飛ばすから……」 |
384 | 祐次 | 「お前らも飛ばせば良かっただろ」 |
385 | 和真 | 「拾うので精一杯だって」 |
386 | 守 | 「っていうか……飛ばしたからって楽になるわけじゃないし」 |
387 | 美希 | 「でも、楽しかったねー」 |
388 | 唯 | 「うん、見てて面白かったです。」 |
389 | 美希 | 「唯ちゃんもやれば良かったのに」 |
390 | 唯 | 「えぇ!? む、無理だよぉ!」 |
391 | 梢 | 「平然とやるあんたがおかしいの」 |
392 | 美希 | 「そなのかなー? じゃあさ、この後どうするの? 梢ちゃんも唯ちゃんもつまんないでしょ」 |
393 | 唯 | 「わ、私は大丈夫だよ」 |
394 | 梢 | 「ごめん、唯。あたしはちょっと暇かも」 |
395 | 唯 | 「そっか……どうしよう」 |
396 | 梢 | 「水族館があるみたいなの。いかない?」 |
397 | 唯 | 「うん、いいよ。私も行きたい」 |
398 | 梢 | 「みんなは……ていうか、西沢君と日野君は平気?」 |
399 | 和真 | 「ああ、俺は大丈夫だよ」 |
400 | 守 | 「僕もいいよ。ただし、ちょっと休憩させてね……」 |
401 | 梢 | 「あはは、分かってるわよ」 |
402 | 祐次 | 「久しぶりだよなー。水族館なんて」 |
403 | 梢 | 「中学の遠足で行かなかったの?」 |
404 | 守 | 「よく遠足さぼったからね。津久井くんは」 |
405 | 梢 | 「へえ、わざわざ遠足さぼったの?」 |
406 | 守 | 「正確に言うと、授業もだけどね」 |
407 | 梢 | 「よく卒業できたわねえ」 |
408 | 祐次 | 「いや、それは守が『義務教育なんて一度も登校しなくても卒業できるよ』って教えてくれたからな」 |
409 | 守 | 「悪い事を教えちゃったよねぇ……はあ」 |
410 | 祐次 | 「そんなことないぞ。感謝してるんだぜ」 |
411 | 梢 | 「はあ……あ、唯、あれ、ペンギンじゃない? 行こ」 |
412 | 唯 | 「あ、ほんとだね。可愛いなぁ……」 |
413 | 和真 | 「……」 |
414 | 美希 | 「あれ? どしたの?」 |
415 | 和真 | 「いや、別に……」 |
416 | 美希 | 「唯ちゃんの事?」 |
417 | 和真 | 「え?」 |
418 | 美希 | 「美希さー、なんで悩んでるのか分かんないけど、悩んでるのは分かるよ」 |
419 | 和真 | 「え、と……いや……まあ、そうだけど。分かる?」 |
420 | 美希 | 「うんうん。っていうかねー。ここにいるみんな分かってるよー?」 |
421 | 和真 | 「え、日野と麻田さんだけじゃ?」 |
422 | 美希 | 「聞いたわけじゃないけど、分かるよ。祐次くんもそうだと思うよ」 |
423 | 和真 | 「そっかぁ」 |
424 | 美希 | 「えへへー」 |
425 | 和真 | 「な、なに?」 |
426 | 美希 | 「良い事教えてあげよーかー?」 |
427 | 和真 | 「ん?」 |
428 | 美希 | 「あのね、ちょっと耳貸してくれる?」 |
429 | 和真 | 「あ、ああ」 |
430 | 美希 | 「唯ちゃんもね、分かってるよ(ぼそ)」 |
431 | 和真 | 「……」 |
432 | 美希 | 「さっき、唯ちゃんがね『西沢君と乗りたいな』って言ってたよ(ぼそ)」 |
433 | 和真 | 「……笹山が? 何に?(ぼそ)」 |
434 | 美希 | 「さっき言ってたのだよ。忘れちゃったの?(ぼそ)」 |
435 | 唯 | 「あ、あの、西沢く――」 |
436 | 和真 | 「え?」 |
437 | 美希 | 「あ……」 |
438 | 唯 | 「あ……ごめんなさい。なんでもないです」 |
439 | 梢 | 「唯ー? 大丈夫?」 |
440 | 唯 | 「え、あ、あはは、大丈夫だよ。でも、ちょっと具合悪いから先出てるね」 |
441 | 和真 | 「ちょっと、笹山?」 |
442 | 美希 | 「あ、あははー、ふられちゃったねー」 |
443 | 和真 | 「……」 |
444 | 梢 | 「あたし、ちょっと様子見てくるね……西沢君は来る?」 |
445 | 和真 | 「いや、俺は」 |
446 | 梢 | 「唯の事……嫌い?」 |
447 | 和真 | 「そうじゃないけど」 |
448 | 梢 | 「そ、なら良かった。じゃあ、行ってくるね」 |
449 | 祐次 | 「で、外に出たらどこにも居なかったと……」 |
450 | 梢 | 「ごめん……てっきりトイレかと思って油断してた……」 |
451 | 守 | 「スタッフにも訊いてみようか?」 |
452 | 梢 | 「んー、そうねえ……」 |
453 | 美希 | 「なんだか、迷子みたいだねー」 |
454 | 梢 | 「あんたねー……って実際そうかもしんないのよね……」 |
455 | 和真 | 「……笹山って方向音痴だっけ?」 |
456 | 梢 | 「いや、聞いたことないわね」 |
457 | 美希 | 「うん、そうだねー」 |
458 | 和真 | 「……」 |
459 | 祐次 | 「お、どうした?」 |
460 | 和真 | 「ちょっと行ってくる」 |
461 | 梢 | 「どこに?」 |
462 | 和真 | 「笹山のとこ。あっ、遅くなったら先帰ってて!」 |
463 | 美希 | 「いってらっしゃーい」 |
464 | 祐次 | 「いってこーい」 |
465 | 守 | 「……ま、いいんだけどさ」 |
466 | 祐次 | 「あ?」 |
467 | 守 | 「帰りの切符ってさ……」 |
468 | 梢 | 「あ、西沢くんに渡したんだっけ……」 |
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