声劇用台本/流れる季節の中で

 


西沢 和真♂  無気力系の男の子。根暗じゃない。
           やる気がないだけとも積極性が無いだけとも


津久井 祐次♂ 能天気で明るい男の子。良い奴だけど、どこか抜けてる。





麻田 梢♀   明るい子。優しくて他人を気遣うのが好き。








第九話 『どう応えればいいんだろう』






1 祐次 「明後日からゴールデンウイークだよな。なんかすんの?」
2 和真 「いや、別になんもないな……」
3 祐次 「つまんねえなー。中国にでも一人旅してこいよ」
4 和真 「そんな金ないって」
5 祐次 「ああ、ほらそこは……ヒッチハイクで」
6 和真 「恥ずかしいなそれ。……って海越えるのは無理だろ」
7 祐次 「じゃあ、ハイジャックだっけ? それでいけるだろ」
8 和真 「……お前がやれって」
9 祐次 「そうだな、守も誘って行ってくるか」
10 和真 「絶対に断られるだろうなぁ」
11 祐次 「そうか? 絶対来てくれると思ってんだけどなー」
12 「まーた、 馬鹿話してるのね」
13 祐次 「麻田ひどいな。西沢って結構頭良いんだぞ」
14 和真 「別に良くないから」
15 「西沢君も突っ込むとこが変よ?」
16 和真 「あ、ああ……やっぱり?」
17 「うん、でさ、ちょっと話あるんだけどいい?」
18 祐次 「誰に?」
19 「えと、西沢君になんだけど……津久井君も聞いていく?」
20 祐次 「あー……まあ、暇だったし聞いとくよ」
21 「きっと津久井君には楽しい話じゃないかな。西沢君はいいのかしら?」
22 和真 「俺も暇だったし、いいよ」
23 「あなたたち本当に仲いいわよねー……」
24 和真 「そうかぁ?」
25 祐次 「そうだろ?」
26 「仲良いの。……で、西沢君、唯に何したのよ」
27 和真 「は? なんもしてないよ」
28 「あー、言い方が悪かったよね。唯と最近何かあった?」
29 和真 「特にないけど……」
30 祐次 「そういやぁよ、昨日二人で教室出てったじゃん」
31 和真 「ああ、それは図書館行っただけ」
32 「へえ、わざわざ二人きりで?」
33 和真 「あ、ああ……」
34 「それ、どっちから誘ったの?」
35 和真 「え? それは笹山が……って、あ……俺になるのか?」
36 「ぶつぶつ言ってても、分かんないわよ」
37 和真 「あ、悪い。俺だよ、誘ったの」
38 「ふうん、西沢君って結構押すタイプだったのね」
39 和真 「は? いや、勘違いするなって……」
40 「でね、唯に相談されたの。落ち着いて勉強できる場所ないかって」
41 和真 「流すなって。まあ、図書館は……怒られたからなあ。


にしても、なんでそんな相談してるんだ? 笹山は」
42 「なんでって次の時のためでしょ」
43 和真 「次って……そんな話してないしなぁ」
44 祐次 「にーしーざーわー、そりゃぁちょっと冷たいんじゃねぇのかー?」
45 和真 「な、なんだよ。唐突に」
46 祐次 「約束がなきゃ付き合ってやる気ないって態度じゃんか、それ」
47 和真 「別に、そういうわけじゃないけど……」
48 「……え、ちょっと、次の約束してないって、じゃあなんで唯が場所探してるのよ?」
49 和真 「いや、なんでだろ?」
50 「……じゃあ西沢君が唯に探させてたんじゃないの?」
51 和真 「ああ、そうだけど? どうしたの?」
52 「あーもー、今日は勘違いばっかりだわ……」
53 和真 「勘違い?」
54 「あたし、てっきり西沢君がやらせてるんじゃないかって思ってたのよ」
55 和真 「はあ、そんなことしないって……」
56 「あはは……ごめんね?」
57 祐次 「で、どうするんだよ?」
58 和真 「んー、ちゃんと言っておくよ」
59 祐次 「ちゃんとって、いまさら断るのも悪くないか?」
60 「そうね、唯のことだから落ち込まないか心配ね……」
61 和真 「そう言われてもなぁ」
62 「あのね、唯さ……自分の家に呼ぶつもりよ」
63 祐次 「おー、すげーじゃん」
64 和真 「……笹山が?」
65 「あー、うん……私のせいかもしれないけど、そんな流れになっちゃって」
66 和真 「まいったなぁ」
67 祐次 「なーにがまずいんだよ?」
68 和真 「なんていうかさ……迷惑かけてるなって」
69 「そんなことないわよ。さっきは困ってたけど、楽しそうだったし」
70 和真 「んー、そうなのかなぁ?」
71 祐次 「何悩んでんだよ? 西沢は嫌なんか?」
72 和真 「いや、別にそういうわけじゃないけど。部屋にはいけないだろ……」
73 「ま、まあそうよね。唯のご両親はかなり可愛がってるみたいだし……」
74 祐次 「誰も居ないときにいけばいいじゃん」
75 「津久井くん、その方が西沢君絶対行かないわよ」
76 祐次 「ん? そうなのか?」
77 和真 「いや、まあ、どっちも困る」
78 祐次 「友達なんだから、もっと仲良くすりゃいいのに。んで、結局どーすんの?」
79 和真 「明日、俺からちゃんと断るよ」
80 「たぶん、それじゃ遅いと思う。唯、今日ご両親に話すって言ってたから」
81 和真 「じゃ、じゃあ今から言ってくる」
82 「ごめん、先に帰しちゃった……」
83 和真 「え、まじ?」
84 祐次 「携帯にかければ?」
85 「あの子、携帯持ってないのよ」
86 和真 「んー、家にかけるしかないか」
87 「うん、そうね。かけにくいと思うけど」
88 祐次 「んじゃ、帰ろうぜ。早い方がいいだろ」
89 和真 「ああ。麻田さん。ありがとうね。笹山の家に電話しとくよ」
90 「頑張ってね。あ、あたしから電話してもいいのよ? ……あたしのせいでもあるし」
91 和真 「いや、自分でなんとかするよ」
92 「そうね……明日どうなったか教えてね」
93 祐次 「おう、ちゃんと報告するぞ」
94 和真 「なんでお前が……ああ、ちゃんと結果伝えるよ」
95 「うん、楽しみにしてるね」

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