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バーチャル実況中継



 第1回を開催してからちょうど30年、節目となる今大会は、過去の集大成ではなくあえて未使用エリアに進出しました。実は足柄周辺は以前から目をつけていました。足柄山ということで金太郎をXクイズに出したりテーマを「金」としたり、地元へのふるさと納税を活かした賞品を用意したり、現地調査でヤビツ峠の近くの青山荘の新しい宿泊棟を貸していただけることになり、ここをゴールとするルート取りに、と一気にプランがまとまり作成に着手しました。さらには30回記念スペシャルとして、チーム名入りの特製ゼッケンをデザイン。

 しかし今回も順調には進めさせてもらえず、大きなハプニングが2つ発生。1つは猛威を奮った台風19号により青山荘への送電が断たれ復旧の見通しが立たない事態。最初は楽観していたものの大会1ヶ月前にはさすがに他会場へ変更、それに伴いルートも修正を余儀なくされ、4CPで打ち切る形でかろうじて大会を成立させました。そしてもう1つは大会当日の私のチョンボ。何と自分用の資料一式を自宅に忘れてきてしまいました! 過去30回で初めての失態で、年のせいではないことを願いたい。

 さて当日は雨上がりの虹が出迎えてくれる中、常連から懐かしい顔ぶれまで多彩な15チームが無事スタート地点である南足柄市丸太の森駐車場へ集合。ここから始まる戦いを、ドキュメンタリー風に以下に再現してみました。作成時の裏話や、各クイズの講評も交えましたので、当日を思い出しながら読んで頂けたら幸いです。

スタート前〜S CP
 まず注目のチームの紹介から。連覇中の「1円70銭」は今年もフルメンバーで3連覇を目指す。対抗馬となるべき「チーム新とも」「迷走元らんなーず」「エクレア1号」は、いずれもベストメンバーが揃わなかったが、はたして成績への影響はいかに。一方、初参加の「熱盛93」はどのような戦いぶりを見せるかも楽しみだ。そして最注目は、なんと24年振りの出場となる「紅蓮の鴨」だ。30回記念大会に相応しいサプライズといっていいだろう。

 最初のクイズはドラミ会場から徒歩で向かう郷土資料館からの出題。ここで大会当日の12/1まで開催されている昭和レトロ展から写真13点をヒントに正解を探して館内を巡り歩く。参加者の予想を上回る規模と込み上げる懐かしさに時を忘れ、どのチームも制限時間40分ぎりぎり。郷土資料館の館長の全面的なご協力のおかげで実現できた出題であり、アンケートでも印象に残った施設の筆頭に挙げられていたのも頷ける。このクイズの解答を提出した各チームは、最初のあるなしクイズ(例年の連想クイズに代わるもの)のヒントを書き留め、それぞれ車両に乗り込んで出発していった。


S CP〜1CP (南足柄市・丸太の森→最乗寺→地蔵堂)
 各車がまず向かったのはスタートから程近い大雄山最乗寺。開山六百年を超える曹洞宗のお寺で、境内は広く起伏が多いことも合わせ一通り見学するのは大変だが、歴史的建造物や紅葉の名所もあり、奥まで立ち入らない範囲で解答可能な出題とした。ただし事前にクイズ出題の許可を得るのは一苦労だった。ここでの出題は2問。おおきな下駄が夫婦和合の象徴として有名なのだが実物は最も奥の高台にある。ここまで行かなくとも入口近くの看板で解答できるよう配慮したのが1問目。しかし実物を見に行って時間と体力を浪費したチームがやっぱりあったようだ。2問目は本堂左奥の斜行ゴンドラで、現地注意書き通りに解答すれば良いのだが、半数のチームが間違えた。このゴンドラ、出発の合図にホラ貝の音が鳴り響き、なかなか趣があるのだが、当日は稼働しておらず少々残念。

 最乗寺の次に向かうのは足柄峠の入口にある地蔵堂。途中の広域農道沿いに登場する路面凹凸あり標識や制限速度標識の数え物クイズが出題されており、気を抜けないのだが、このクイズの出来は差がつく結果になった。減点ゼロで切り抜けたのは
「カーオリバトラーズ」「チームあま」の2チームだけだ。逆に、「チーム新とも」は以前も同類のクイズで大きく減点を受けたが、やはり苦手としているのか、なんと減点7。「COOL&BEAUTY」「ずーっと親友」も大きく減点を受けてしまった。

 台風19号による土砂崩れで足柄峠へ向かう道は通行止めとなっていたが、元々その直前で左折するルートだったため影響を受けずに済んだ。ここ地蔵堂周辺では、Xクイズを含め4題が出題されている。この中では、足柄地蔵尊の説明板のそばにあった金太郎イラストを見逃したチームが多かった。

 さて1CPまでの成績であるが、
「1円70銭」が早くもトップに立ち、これに「カーオリバトラーズ」が僅差で続いている。「チーム新とも」「つれづれ」「チームあま」「中古でGO!」がこれに続く展開だが、予想外にこの中に割り込んだのが初出場の「熱盛93」で、今後の展開が注目される。一方、有力チームながら出鼻を挫かれたのが「迷走元らんなーず」「エクレア1号」で11位、12位。やはりベストメンバーでないことが影響したか。しかしまだ序盤戦、十分に挽回可能だ。

1CP〜2CP (地蔵堂→文命堤→開成町)
 1CPを出発し暫く来た道を戻る形となるが、先ほどの広域農道に復帰し南足柄運動公園の横を通って、文命堤に至る。文命堤は、暴れ川といわれた酒匂川の治水事業が江戸初期から繰り返される中で築かれた堤で、川の流れを変えたことで箱根火山火砕流堆積物を侵食し現在はジオサイトに指定される景観を生み出した。そのため様々な解説板がここに立っているのだが、その中で、よく描いたものだと思わせる説明板から出題。実は金太郎が2ヶ所に描かれているため両方ともX問題にしたが、ここは見逃したチームが多かった。さらに奥へ進むと幹の大半が朽ち落ち、立っているのが不思議な木からもう1問。1CPの足柄菩薩(高さ160.5cm)は、この穴(高さ159.5cm)を通れるかどうかを問う形で出題。メジャーがないチームや、1CPで菩薩の高さをメモし忘れたチームは、ヤマ勘で答えるしかないのだが、「ずーっと親友」を除いた全チームが正解したのは驚いた。

 文命堤には有人CPはなくコースは風光明媚な街道を通り、開成町へ。やや入り組んだ狭い道を通ることになるが、これはあじさい公園発電所を見てもらうためだ。そしてこの直後に2CPが置かれており、あじさい公園発電所に関連したその場クイズが出題される仕掛けとなっていた。このクイズを唯一減点0で切り抜けた
「チーム新とも」だったが、文命堤にあった2問のクイズXを見落としたことが響き、順位を2つ落とし5位へ後退。逆にこのクイズXを両方とも見つけた「迷走元らんなーず」が区間1位を獲得し総合順位も11位から3位へジャンプアップ。同様に順位を上げた「マリモスターズ」と共に同点3位に並んだ。

 1、2位は安定した解答ぶりで順位変動なし。一方ここで大博打に打って出たのが
「チームあま」で、2CPその場クイズの発電量を、何を思ったのか「発電機が故障していた」というオチに賭け0kw/hと解答し大量14点減点。これがなければ単独3位だったがまさに撃沈だ。

 あるなしクイズは2CPで初の正解者が出た。
「迷走元らんなーず」「BBSのゆかいなひとたち」の2チームだ。大半のチームはまだ氏名に含まれる「漢数字」にとらわれたまま、コースは後半戦へ。



2CP〜3CP (開成町→秦野市・桜土手遺跡公園)
 2−3CP間は秦野市に向かい徐々に市街地に入っていく区間となる。246号は避けたものの、前半はあまりドライブラリー向きではない快適な県道、後半は市街地。もともとの計画は最後にヤビツ峠でゴールだったため、秦野市の市街地を通ることは避けられない。従ってCPも文化的な施設となるが、その中で、駐車場に余裕があり、クイズ出題が可能で、イベントに協力いただける、この3条件を満たす施設として「桜土手遺跡公園」をチョイスし3CPを設定したもの。開催2週間前に市民マラソンのコースと重なることが判明し、この遺跡公園の前の道も封鎖されると聞いて大いに焦った。普通は1ヶ月以上前にコース上に告知するものだが、秦野市は少し遅い。幸い正午前後で解除されると分かり事なきを得た。ぎりぎりセーフである。

 こういう区間であるからコース途中に停車して解答するクイズは出題できない。ここぞとばかりに多数決クイズで車中を過ごしてもらうことに。これが意外と点差のつくクイズとなり、これに遺跡番号の空き番の理由を問うクイズの出来が加わり、順位変動が大きい区間となった。

 この区間の減点を抑え順位を上げた主なチームは、
「チーム新とも」(5位→3位)、「エクレア1号」(12位→8位)、逆に順位を下げた主なチームは、「チームあま」(8位→11位)、「中古でGO!」(10位→14位)など。

 ちなみに展示館の中でのもう1題、穴の開いた土器を探すクイズは全員正解だったが、これは記憶力クイズの伏線だったので、全員に見つけてもらう必要があり易しくしてあった。展示の土器の説明を読んだ人は記憶力クイズで正解できるようになっていた。

 あるなしクイズは5チームが新たに正解したが、まだ半数は悩みを抱えたままいよいよ最終区間へ。



3CP〜4CP (秦野市・桜土手遺跡公園→源実朝首塚)
 この区間も市街地であるため、コース途中に停車できない区間用クイズ第2弾、文字並び替え(アナグラム)クイズの出番だ。昨年初めて出題し好評だったので、今回はすべて時事問題でまとめて再出題。昨年は「青山学院大学」が正解のところを「山愛音楽大学」という珍答が飛び出し、実在するのかと採点者を一瞬慌てさせる場面があった。今年はそのような珍答はなかったが、この問題は得手・不得手がはっきりあるようで、「エクレア1号」「Team-BBS」「COOL&BEAUTY」の3チームは昨年も今年も減点0だ。来年は出題方法を工夫する必要がありそうだ。

 4CP(=ゴール)に到着した各車は、まだ気を抜く訳にはいかない。例年だと最終区間でCP間クイズとして出題する記憶力クイズを、4-5CP区間をキャンセルした関係で今回は4CPでのその場クイズとして出題した。時間制限のある中で答えねばならないので、なかなか厳しいものがある。結局全チームが半分以上を誤答したため、余り差がつかなかった。

 ここまで全区間で大きく減点を受け浮上できなかった
「ずーっと親友」であるが、唯一この区間は単独最下位を逃れた。といっても、つまりは同点最下位なのであるが。

結果発表 (松田町公民館)
 4CPから表彰式会場までは各車30分かけて自走してもらう。246号に出て西進すると渋滞に遭い表彰式に間に合わなくなる恐れがあったので、事前に迂回ルートを調べ案内しておいたことが功を奏し、表彰式は予定通り開始することができた。

 実は4CP(ゴール)に帰着時間制限をオーバーしたチームが多くあり、規定に従いペナルティの計算をしたところ、幾つか順位に変動があった。上位陣の中では、
「マリモスターズ」が3-4CP区間で上げた順位をこのペナルティでチャラにしてしまい、惜しいことをした。遺跡公園の駐車場にかなり長い時間とどまっていたのが響いたものと思われる。

 今回は30周年記念大会。そこで最終成績発表の前に、特別賞を発表した。まず最多出場賞は、
「エクレア1号」の田中さん。最近は遠ざかっている出場19回の田畑さん、田中さんとチームメイトで出場15回の小野塚さんは今回不参加なので、参加者の中で最多15回出場の田中さんが受賞となった。2002年に初参加後の18年間のうち実に15回の参加をいただいた。次の受賞者は通算参加 500チーム目の幸運を得た「チームあま」。前回まで延べ 488チームの参加があったので、今回12番目に申し込んだチームということになる。そしてもう1つの特別賞はカムバック賞。24年ぶりの参加となった「紅蓮の鴨」が文句なく受賞だ。この3チームには、ハーゲンダッツ商品券とアイスクリーム専用スプーンがセットで授与された。

 ようやく最終成績の発表。いつも通り、上位5チームのキャプテンが起立し、5位から順に発表、名を呼ばれたら座っていくスタイル。この5チームに予想外に入り歓声を浴びた初参加の
「熱盛93」だったが、最初に名を呼ばれ歓声はため息に。それでも初参加で5位は立派、BBS関連チームでは初の快挙だ。次いで4位は「マリモスターズ」、3位とは僅か1点差!ペナルティが悔やまれる。その3位は「チーム新とも」、やはりブレインを欠いたのが響いたか。それでも3位である。いよいよ準優勝、名を呼ばれたのは「カーオリバトラーズ」、スタートからゴールまでずっと2位をキープし、全区間で安定した強さを発揮した。そして最後まで名を呼ばれず残ったのが「1円70銭」、スタートからゴールまで一度もトップの座を譲らず完全優勝を果たした。しかも2年連続の完全優勝、3年連続の優勝である。3連覇は、過去川口さんと矢木さんのコンビが達成されたのみ。次回は前人未到の4連覇がかかる。

 あとは賞品授与を残すのみ。恒例のカーイラストカレンダー、ドライブレコーダー、地元銘菓、地酒などに加え、今回テーマの「金」にちなんだ賞品が各チームに配られた。上位には本日通過した秦野市の地元企業が製作したチタンコーティングのビアタンブラーやぐい呑み。腐食に強く保温効果の高い逸品で、表面は上品な金色に輝く。販路がないらしく入手困難でもあり、今回の目玉賞品である。下位にはメモ帳、一応金色である。限られた予算の中ではあるが、バリエーション豊かな品揃えができたと自負しているが、皆さんの満足度やいかに。

 今回は直前に表彰式会場を変更したため、ゴールからの移動時間に加えて会場使用時刻の制約が生じ、全体として1時間ほど運営時間を短縮する必要に迫られた。そのせいで参加の皆さんにも慌ただしさを感じさせる運営となってしまったことが残念であり、反省点だ。次回は余裕をもって運営できるようにしたい。なお後日談だが、長期停電に見舞われていた元々の表彰式会場であるヤビツ峠の「青山荘」は、クリスマス直前に通電復旧した。いつか機会があればリベンジしたい。