『小説新潮2008年8月号』は、医療小説最前線というテーマで まとめられている。 その中に、書評家の東えりかさんが「戦後の医療小説30選」 という12頁にわたる長い書評を書いている。
『海と毒薬』(遠藤周作)に始まって、『白い巨塔』(山崎豊子) や『恍惚の人』(有吉佐和子)など、社会に命の問題を提起し てきた名作の数々が並んでいて、興味を持って読んでいった のだが、最後の「医療小説の新潮流」と題する章の中に、『100 万分の1の恋人』が批評されていて、驚いた。
「ヒトゲノムの解析が新たに人間につきつけた命題」を取り扱 った恋愛小説ということで、深く暖かく批評して下さっている。
うれしいと同時に、言葉を紡いでいく覚悟と責任を痛感する。
(2008.7月末 記) |
『小説新潮2008年8月号』
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