データから読み解く-CTでわかる犬猫の健康管理の重要性-

CT検査実績公開にあたって
当院で2022年度に実施したCT検査をまとめ、その内容を公開いたします。

当院では地域の中核病院として近隣施設からも数多くCT検査のご依頼を承っており、多くの検査を実施させていただいおります。その結果をまとめ、公開することでより多くの動物・ご家族様のお役にたてるのではないかと考えております。

臓器別では消化器疾患が、疾病別では腫瘍が最多
 一言で消化器といっても、肝臓、胆嚢、胃、小腸、大腸、膵臓と多様です。中でも犬では肝外胆管閉塞といって胆道がなんらかの要因で閉塞してしまい黄疸を引き起こす病気が非常に多いです。また、鼻炎や歯槽骨が溶けてしまうほど進行した歯周病も非常に多くなっています。これらは日々注意して生活することで発症リスクを軽減することができます。肝外胆管閉塞では脂肪分の多い食事を控えること、歯周病では毎日のオーラルケアを心がけることが予防につながります。
 また、犬・猫の高齢化に伴い腫瘍疾患が多くなっています。乳腺腫瘍などの雌性ホルモンに関連する腫瘍では早期の避妊手術をおこなうことで発症リスクを軽減することができますが、全ての腫瘍でその発症を抑制する方法があるわけではありません。そのため、定期的な健康診断が重要となります。

7,8歳を過ぎたシニア期になると症例数が顕著に増加
 1歳前後の若齢期では先天性疾患や異物誤食などで検査となるケースが多いです。2022年では犬は14歳が、猫は11,12歳が最多となっています。
 一般的にシニア期になる7歳を過ぎるとさまざまな疾患が増えてきます。病気は早期発見、早期治療が重要です。早期であれば治せる可能性が高く、治療においても早期であればあるほど身体面での負担や経済的な負担が軽いと考えられます。また、適切な対処によって予防にもつながります。

7歳までは年に2回、7歳以降は年に3回の検診を受けることが大切です
 獣医療では一般的にCT検査をおこなう場合には全身麻酔が必要となりますが、極力体への負担の少ない麻酔法を選択しています。また、当院のCT検査装置は撮影時間が非常に短く(300mmの範囲を0.5mmスライスで最短3秒)、動物の検査環境の向上や、画質向上による診断業務への貢献など、より質の高い検査が可能です。また、動物の状態によりますが無麻酔でのCT検査も可能となっています。健康診断やドックでのCT検査も受け付けております。穏やかで幸せな毎日を送ることができるよう大切な家族の健康管理に努め、一緒の楽しい時間が長く続くとうれしいですね。

2023年05月27日