我々が前の時代から受け継ぎ、後の時代に伝えていくべきものの一つに、木造建築がある。
その木造建造物は、火災(兵火、雷火、盗火等)・気候風土(暴風、雨、雪害、腐朽等)に極めて脆弱であろう。
日本の気候風土の中で、あるいは幾多の戦乱、仏教の腐敗・形骸化、近くは神仏分離などなどの災害を乗り越え、
千年前後もしくは数百年を経て、今日に伝わっている木造建造物(特に寺院建築群)は、
まさに今日存在していること自体が奇跡的というべきであろう。
また近年の経済合理主義が有形無形の後世に伝えるべきものの破壊に拍車をかけている時代背景もある。
以上の意味で、今日伝えられている
木造寺院建築物(勿論そこに同居している仏教美術そのものを含め)は民族の宝というべきであろう。
民族の宝とは民族の営みそのものであると云う意味であり、その意味で後世に伝えなければならないものであろう。
当サイトでは、木造寺院建築物の代表として「塔婆」を取上げることとする。
日本の塔婆建築の美しさ(木造寺院建築全般を含む)は、
その歴史的かつ気候風土的な脆さ・儚なさを生き抜いてきた力強さと
構造(設計・木組等)が醸し出す気品との奇妙なバランスにあるのだと解釈できる。
お断り:特に私に信仰心があるわけではありません。
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収録基準
現存塔婆:現存する木造及び木造に凖ずる仏塔(五重塔・三重塔・大塔・多宝塔・宝塔・篋塔・瑜祇塔・二重塔・二層塔など)
日本の塔跡:現存木造塔跡・現存木造塔心礎・現存木造塔遺物・文献絵図などで確認できる木造塔婆
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