1.序

本「國恩記(こくおんき)」は、江戸時代の、仙台藩黒川郡吉岡町(よしおかまち)(現、宮城県黒川郡大和町(たいわちょう)吉岡)の篤志家、菅原屋篤平治(すがわらやとくへいじ)と穀田屋十三郎(こくたやじゅうざぶろう)が、傳馬使役で疲弊(ひへい)した吉岡の町を何とか再生したいと願い、二人の茶飲み話から話が展開し、藩に千両の金を納付し、その利金にて町民を救済した実話です。

時は明和(めいわ)三年(1766)から安永(あんえい)二年(1773)までの七年間(実際に町民が利金配分の文書(もんじょ)に最終署名したのは安永拾年(1781))で、この間、千両の金を工面する際に篤志家を如何にして増やし最終的に九人にしたかや、その過程での篤志家達の苦労を、龍泉院(りゅうせんいん)榮洲瑞芝(えいしゅうずいし)和尚(おしょう)が後世にその美挙を残すべく記したものです。それが大正時代に、仙台叢書(せんだいそうしょ)第十一巻の一部に「國恩記」として取込まれ、活字出版されました(仙台叢書刊行会、大正十五年(1926)出版)。

「國恩記」の内容は、既に「無私の日本人(むしのにほんじん)」(文芸春秋、磯田道史氏、2012年10月初版)の中の「穀田屋十三郎」と云う題名で出版されておられますので、ご覧になられた方も多数おられることと思います。

本「國恩記」は、その原文です。本ルビ振り資料は、榮洲瑞芝和尚が望んでいたように、小学校高学年の児童でも読めるように、大和町郷土史家吉田清孝(せいこう)様のお力添えを頂きまして、内容を知ることが出来るようにしたものです。

今回、S.I科学情報研究所より「ルビ振り國恩記」として出版致しました。是非ご覧ください。

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