この日.....。

食料は現地調達するはずであったが、二人の暴君。
ゆうまパパと,なおきパパは自らが幼い子供を従える立場であることも忘れ
遊興にふける余り、それを怠ったのである。
さらには、彼らが楽しみにしていた水族館が一月前に潰れてしまっていた事に憤慨し
常軌を逸した二名の暴君どもは、腹立ち紛れに脱兎の如くその場を後にしてしまい
そこに在った食料調達のチャンスをも不意にしてしまったのっだった。

今にして思えば、彼らの計画性の無さは やはり筋金入りだったのだ.....。





 彼らは、私達や女・子供達の持っていた僅かな食料を奪うと、
それを調理し始めたのだった。
返す返すも、卑劣極まりない奴等である。 

恨めしそうに、見つめる女・子供達を蹴散らした彼等は            
私達から奪った食料で、あたかもそれが当然であるかのように宴に興じるのだった。      

左端の男が暴君ゆうまパパ。私の父だ。                   
そして、ほんぽう初公開、                             
中央右でその当時流行りのジャージをまとうのが               
無計画将軍。なおきパパである。                         

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

   どういう訳か                                      
彼だけは光学映像記録装置にその表情を記録させないという        
摩訶不思議な超能力を持っていた。                       
その能力は、まさにこの映像が示すように                    
逆光のときに凄まじいパワーを発揮するのだった。               
この能力の意味に付いては今となっては既に闇の中であるが、        
私は、その意味を確認できぬまま子供心に少なからず恐怖していた。    

ついでと言っては何なのだが、中央のベージュのベストを着た男は     
何故か、そこに居たヒッピーだったと記憶しているが定かではない。     
       






何故だかは分らないが、
私の父。”暴君 ゆうまパパ”は、そのヒッピーと意気投合していたのだった。
ヒッピーの無計画な人生設計や価値観が、
あまりにもアウトローであまりにもイージー過ぎる私の父と、
どこか相通ずるところが有ったのかもしれない。

ちなみに
ここには、もう一人の ”激アウトロー&イージー野郎 なおきパパ” も居るのだが
その、特異な能力でこの闇にすっかり姿を消してしまっているのである。
この闇の中では肉眼ですら、その存在を確認するのは容易ではないであろう。
私達の死守していた食料も獲物も、この能力の前には
冷蔵庫から食べ物を取り出すかのように簡単に奪われてしまったのである。
まったくもって、恐ろしい男である。









これが、幼い日の私 ”ゆうま” である。

翌朝、私は飢えに苦しむ残された母達や姉、そしてまだ幼すぎる友の為に
獲物を求めてさまようのだった。
戦友であり、且つ強力なパートナーである、”なおき”は既に
食料を求め奔走している。
そのころ、
二匹の極悪卑劣なアウトロー野朗達と、一人のヒッピーは
いつもと変わることも無く惰眠を貪っているのだった。
昨夜の酒で、脱水症状に陥りながら.....。

このときに、私達は気づくべきだったのである。
私達二人の父が心底アウトロー野郎で有ることに。



私と、なおき そして不屈の精神でこのサバイバルに絶えた女・子供達によって
何とか、事無きを得た私達を
これから約一ヶ月後、またしてもあの悪夢のような白髪山キャンププロジェクトが
悪魔のように巨大な口をあけて待ち受けているのだった......。


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