YUKI



バンド時代は全く興味が無かったのだが、ソロになってからのYUKIは素晴らしい。声が魅力的で、歌も上手く、踊りもイカしていて、性格もストレートな感じがいい。作詞能力も相当なもんである。それに、人間的な魅力も十分にある。最初に惹かれたのは、シングル第2弾の「プリズム」。女性の曲でこれだけのヘヴィーローテーションは、advantage Lucyの「風にあずけて」、UAの「ミルクティー」以来。

女性の歌詞はピンとこないものが多いんだけど、彼女の歌詞はぐっとくる。媚びずに無理をせず、自分が今やりたいことを人に言われるのではなく、自分自身の意志として伝わってくる。もちろん、曲がよいからこそ、音楽として成り立っているんだけど。「花咲く丘まで口笛吹いてこう いじわるな人がとやかく言うけれど」まるで成長したハイジのようなすばらしい歌詞じゃないか!「私は どこかで まちがえたかしら?」とか言われると、ペーターでなくとも、「まちがえてなんかないぞ!」と声をかけたくなる。シングル盤のジャケットも、POPで最高である。よく写真に、その人の人柄が出るということを聞くことがあるが、おそらくそれは被写体の方にもそれなりのパワーが備わっている場合だけだと思う。彼女の視線は、温もりのあるレーザービームのようだ。

先日、そんな彼女のライブツアードキュメントを見た。遠藤久美子とのやりとりを交えながら進行するドキュメンタリーで、「呪い」に関するリハーサル・シーンが特に面白かった。やはり、彼女は自分で音楽を作っていた。もうそれがわかっただけでよかった。しかし、彼女はかっこいいなあ。現代で最もかっこいいロッカーのひとりであるYUKIは、ハイジがかわいがっていた子ヤギの生まれ変わりだろうか。