夏の水の半魚人



歌も踊りも好きなのだが、それをがちゃんこにしたミュージカルだけは、どうしても身体(いや能か)が受け付けない。一方で、演劇は嫌いではない。特に好きといったこともなかったのだが、児童館時代の「こぶとり爺さん」、小学2年の時の「雷の嫌いなオオカミとにんじんの嫌いなうさぎ」、そして高校3年生の時の「マッチ売りに吠えろ(だっけ?)」と、なぜか3つの劇で主役をやった。抜擢理由は、声がでかいだけだったと思うが。

ウィキペディアによれば、劇作家、演出家、俳優、小説家、映画監督、脚本家の肩書きを持つ前田司郎。本屋で何気に手にした妙ちくりんなタイトルの小説「夏の水の半魚人」。表紙絵が面白かったので、買ってみることにした。結論から書くと、ものすごーく面白かった。しかし、無茶苦茶な展開やで〜、シローさん!なんでこんな発想が浮かぶんやろ?たまらんなー、もう。

そんなマルチタレントの「前田司郎」の名前を偶然目にした。先日見た映画「横道世之介」のエンドロールでだ。脚本「前田司郎」とあるではないか!そして、長崎の本屋で、これまた偶然見つけた「ふきげんな過去」のシナリオ本。小泉今日子、二階堂ふみ、高良健吾が出ているので是非見てみたいのだが、まだ実現していない。

以前、仕事で知り合ったリケジョの方に聞かれたことがある。「どんな本を読むんですか?」「小説ばっかです。」「へぇー。私は、小説は全く読む気になれないなあ。」「なんでですか?」「だって、あれは全てフィクションでしょ。なんか現実味が無くて醒めちゃうんですよね。」「そうですか?」「面白いですか?小説。」「俺は、逆にフィクションだから面白いですね。」「へぇー。」「作家の自由で奇想天外な想像力が面白くないですか?ほんで、フィクションの背景には、作家のノンフィクションの体験がある所も。」「へー、変なの。」