愛しのロリー



基本的にリズム・ギターが好きだ。キース・リチャーズの影響だと思うが、ルー・リードや大江慎也もかっこいい。もちろん下手よりもうまい方がよいに決まっているのだが、私にとっては、うまいということよりもかっこいいかどうかが大事である(と、こう書くこと自体はあまりかっこよくないなあ)。まあとにかく、この3人は永遠のマイ・フェイバリッツなのだ。彼らの勇姿が見られる映像でお勧めなのは、「One Plus One」「A Night with Lou Reed」「Roosters Early Live 1981」だ。ということで、好きなギタリストは?と聞かれると、この3名の名がまず挙がる。ただ、いずれもソロはとるものの、基本的にはリード・ギタリストという性格ではない。回りくどくなったが、私はてろてろとソロを弾くギタリストというのが大嫌いである。特に、ソロのパートになると、前にしゃしゃり出て、スポットライトを浴びながら恍惚の表情で弾く奴なんか、ゲロゲロゲロッパである。

さて、ギタリストと言えば、やはりヤードバーズ出身の3大ギタリストについて触れたくなる。まずは、エリック・クラプトン。彼はもうなんのこっちゃというくらい旨渋(うましぶ)であり、決して出しゃばりすぎない。その点が、今でも万人に好かれる理由であろう。アルバムの統一感において、「461 Ocean Boulevard」が、私にとっての愛聴盤。次いで、ジェフ・ベック。こいつはまたニヒルな男で、エキセントリックなフレーズがすばらしい。これまた愛聴盤は"Led Boots"と"Come Dancin'"が聞ける「Wired」。ナラダ・マイケル・ヴォルデンのドラミングと、ヤン・ハマーのキーボードもすばらしい。最後に、ジミー・ペイジ。彼は、基本的にコンポーザーで、てろてろと時に訳のわからんソロを弾くものの、音楽としてのダイナミズムを具現化することにかけては、天性の才能があるため、よし!愛聴盤は。。。うーん、やっぱゼップは全部よいのだ。

ようやく本題だが、私が敬愛するリード・ギタリストというのは、彼ら3大ギタリストではなく、なんつってもアイリッシュ・ロリーである!会ったこともないが、絶対いい男に間違いない。歌声とギターフレーズだけで、そう確信できる。愛しの突貫小僧である。肝心の演奏や楽曲については、トリオ時代、つまりキーボードが入っていない時代の演奏が好きである。イチ押しのアルバムは、1972年の「Live in Europe」。Tasteを解散して、ソロになって間もない頃の音源で、1曲目の"Messin' with The Kid"から、もう男らしいフレーズのオンパレード(死語か?)。ただし、近年、アナログ盤時代の曲に、ボーナストラックを追加したCDが出ているが、こいつはひどい!絶対、買わない方がよい。ボーナストラックの曲は、おそらく違うライブ音源であろう。音質も、客の乗りも違いすぎるのだ。そもそもボーナストラックというのは、レコード会社が自社の営利目的のみで(リスナーに媚びって)、ミュージシャンの意向を全く無視した商魂魂の代物である。まったくもってよけいなお世話であり、ミュージシャンの立場としては、断固許せない(であろうと、思う)。ミュージシャンが、アルバムに込めた統一性をぶち壊すだけである。最近紙ジャケットで再発された村八分の京大西部講堂での「Live」も然りである。なんじゃ、あのボーナストラックは!

話が逸れてしまった。ロリーの突貫ぶりは、痛快そのもので、手癖任せにミスピッキングも気にせず、弾き倒す姿勢は、ロックそのものを感じる。ポール・ウェラーや大江慎也が、どうしようもなく激しいカッティングで弦を切ってしまう姿と同質に感じる。ロリーの潔いプレイぶりが好きなのだ。俺は、こう腹を決めた!という姿勢が音に現れている。今となっては、天国のロニーに確かめようもないが、君はそう言う人間だろ?他のアルバムでは、Taste時代の「Live Taste」がすばらしい(ただし、このアルバムはメンバーたちの意向を無視して勝手にリリースされたと言われている)。無駄なアレンジをそぎ落としたトリオは、やっぱかっこよい。

最後に、挙げたらきりがないけど、ロバート・ジョンソン、サン・ハウス、ロバート・ナイトホーク、Tボーン・ウォーカー、ジョン・リー・フッカー、マジック・サム、ボ・ディドリィ、ウィルコ・ジョンソンなんかも、私にとっては飛びっ切りかっこいいギタリストだ。で、ジミ・ヘンドリクスはというと、彼はもう化け物である。ロックそのものであり、ギタリストといった枠にはめるのは無理かつ意味がないように感じる。ジム・モリソン同様、それはもう別格なのだ。