カネコアヤノ



日曜の夜、印西にある中華料理屋に向かう途中、車で吉岡里帆のFMを聴いていた。その日のゲストは、あまりはしゃがない感じで、淡々として大人しそうな話方をする女性だった。で、「よし、頑張るぞー」とか言っていきなりアコギ1本でスタジオライブ。歌った曲が「ぼくら花束みたいに寄り添って」。いやー、もう本当にぶっ飛んだ!なんじゃ、こりゃ!

家に帰ってYouTubeで見て、驚きは確信に変わり、居ても立っても居られないとはこのことじゃとばかりに、次の日からCDを買い集めた。最初に聴いたときに浮かんだのは、なんかSyd Barrettみたいだなー、という印象。アルバム「来世はアイドル」「さよーならあなた」「群れたち」「祝祭」「祝祭 ひとりでに」「燦々」「燦々 ひとりでに」と立て続けに聴いて、やはりSydの名盤「Madcap Laughs」を思い浮かべた。ポップで予測不能な展開に素朴でチャーミングな歌声がなんとなく重なる。加えて、類い稀なメロディーセンスに痺れる。

ピストルズを脱退したJohnny Rottenが「ロックは死んだ」と吐き捨てたのは1978年。確かに、1980年代からのMTVからの商業主義台頭の音楽界は、個人的にもうんざりだった。だが、大好きな「ロック」がすでに死んだと言われた時は、当時の中学生には結構堪えた。しかし、こんな所に生きていたではないか!カネコアヤノを聴くと、これをロックと言わずしてなんと言うのか、と思ってしまう。

さて、カネコアヤノ。好きな曲は数え切れないが、特に「スイミング」「はっぴぃえんどを聴かせておくれよ(仮)」「家族について」「さよーならあなた」「ポップなおんな」「布と皮膚」「セゾン」「光の方へ」「アーケード」「恋しい日々」、そして冒頭の「ぼくら花束みたいに寄り添って」が好きだ。どの曲も歌詞、メロディーが魅力的で、映像で見るギターの弾き方と歌い方もかっこいい。

「スイミーン スイミーン すすーむ すすむー あなたとクロール泳ぎたいー」なんて愉快で素敵な曲だろう。海もプールも嫌いだが、この曲をかけてくれたら、うまく泳げる気がする。25mくらいなら。