World Cup 2002 観戦記Ⅳ Senegal vs Turkey



6月22日、再び大阪長居スタジアム。今回はチケットの席が前回と反対側だったため、御堂筋線の長居で下車。いや~こっちサイドの方が大阪してて、ぜんぜん楽しい。長居での最終戦であり、かつその前の試合では日本がチュニジアを破った場所ということもあって、試合とは関係ない地元のヤンキー、見物のおばちゃん、最後の大もうけと気合いの入る外国商たちなど、ひしめき合っている。夜8時30分からの試合と言うことも、夏祭り然たる盛り上げに一役買っている。行きの地下鉄で、陽気なセネガリアンが相棒のサイカちゃんに2-0で勝つぜ!と合図。ロンドン生活の長かったサイカちゃんも1、2、サンガリアン!と岡田のまねで返すが、通じるわけがない。

さて、日本がトルコに勝っていれば、セネガル対日本という夢の対戦を見ることができていたわけだが、現実は甘くなかった。ただ、マスコミがいっせいに言うところの「日本は攻めきれず勝てる試合を負けてしまった」という論調が気になる。果たしてそうだったのか?私には、残念ないあがら大滝詠一に見えた。もとい、実力通りに見えた。いずれにしても1-0でトルコが勝ったという結果だけが残り、どちらが強かったかという体感は、ピッチに立った選手のみが知っていることだろう。

それにしてもここ数年、トルコのクラブチーム「ガダラサライ」の欧州における活躍はめざましい。そこで活躍したトルコの英雄ハカン・シュキュルは、名門インテル・ミラノへ移籍。が、活躍できないまま現在はパルマ。パルマでも目立った活躍はなく、今回の1次リーグを見ても、調子は上がっていないようだ。普段からそうなのであるが、いつにもまして顔が悲しげだ。こんなハカンとは対照的に、容姿もプレーも精悍なNo.11のハサン・シャシュは絶好調だ。ブラジル戦での左足ダイレクトのボレーは、今回のベストゴールに数えられるであろう。そんなハカンとハサンは、オカンとオバンの関係なのか?という疑問の中、試合は始まった。

試合が始まって、すぐに2つのことに気づく。まずはトルコの守りの凄さ。寄せが速くてうまい!しかも、セネガルの攻撃パターンと選手の特徴を良く研究している。特に、ディウフとカマラへのマークは強烈で、ほとんど仕事をさせない。読みとポジショニングと切れ味で、ほとんどのタックルが正当なものになる。もう1つ気づいたことは、セネガリアン達に、元気がないことだ。明らかに切れがないぞ。試合翌日の新聞にディウフのインタビューが載っていた。「今回は、楽しかったよ。毎晩家族や友達とパーティーさ。ベスト8まで行けたなんて夢のようだね。」...う~む。

この試合も、ハサンは切れまくり、ハカンはミスしまくり。前半に左サイドのゴール前で粘ったハサンから出た何でもないパスをトラップミスしなければ、この試合はつまらないものになっていたであろう。セネガルも、切れはないものの、組織力があって強い!この試合から、チームの中心選手ファディガがチャウに替わって復帰。左足が利き足のナンバー10は、トップ下の左サイドでプレー。この影響で、ディウフが最前線のセンターにポジションをとる。がしかし、この陣容が仇になった。センターでポストプレーをするディウフは、トルコディフェンダーにとってマーキングしやすい。日本戦でほとんど前を向かしてもらえなかった西沢を思いだしてもらえるだろうか。ディウフは、やはりサイドアタッカーではなかったか。ただ、そんなセネガルにも、前半決定的な場面があった。見事なパスワークで、左サイドを切り裂いたファディガが角度のないところから強烈な左足シュート。キーパーも見送るしかなく、我々ゴール裏の観衆もゴールの雄叫び!が、なぜかゴールラインに立っていた味方のアンリ・カマラに当たって、ボールが弾き出されてしまった。そのこぼれ球を再びゴールするが、カマラを経由したため、オフサイドに。アンリまあ~。

お互い決定期を逃すも、試合はトルコペース。結末は、実に呆気なく見事なものだった。延長前半、右サイドで展開するトルコに対して、セネガルの選手がレイトタックル。が、こぼれ球がトルコの選手に渡ったため、主審はファウルをとらず、試合を流す。このとき、セネガルの選手間に明らかにスキが生じた。そのこぼれ球を拾ったのは、日本戦でヘッドを決めたモヒカンヘアーのユミト・ダバラである。ACミラン所属のダバラは一気に左サイドを攻め上がり、相手ディフェンスが来る前に、アーリークロス。それをハカン・シュキュルに代わって入った伊達男イルハンが、難しいショートバウンドを見事なハーフボレー。あっと思ったら、ゴールに入っていた。先日のサッカー番組スーパーサッカーの中で、かのミッシェル・プラティニが今回のベストNo.1ゴールにこのゴールを選んでいた。う~む、それにしても白石美帆ちゃんは、かわいい。

で、結局やっぱりトルコは強かった。しかし、我がジャパンもすばらしかったぞ。今回、試合を見るたびに、あー4年前のチームより明らかに上だな、と感じたものだった。おそらく、4年後も同じように思えるだろう。なお、今回のワールドカップでもっとも絶叫したのは、やはりベルギー戦の稲本のゴール。同じくベルギー戦で1点目をあげた後の鈴木の雄叫びもジ~ンとキタキュウシュウ。最も気に入った選手は、イングランドのリオ・ファーディナンド。ドイツのシュナイダーもよかったなあ。いぶし銀は、なんつってもイングランドのニッキー・バット。肌で体感したワールドカップは、心地よい疲れとともに幕を閉じた、