World Cup 2002 観戦記Ⅲ Sweden vs Senegal



6月16日、大分スタジアム。黒川紀章が設計した通称ビッグアイは、今回見た中では最高のスタジアムであった。山と川の自然に囲まれた環境下。緩やかな傾斜のスタンドから、美しい芝がすぐ近くに見える。スタジアム自体のデザインも美しい。天気も良く、最高のサッカー日よりである。

ナイジェリアが1次リーグで敗退したためF組1位のスウェーデンの試合を見ることになった。しかし、まさか1位通過がスウェーデンとは!そんな思いもあって、最初はモチベーションもあまり高くなく、ここは新勢力セネガルを応援するか~程度でいざ出陣。小倉から特急ソニックで大分へ向かったのだが、そのソニックが大パニック!なんつー客の多さ。これまでもソニックには何度か乗ったことがあるが、こんなのは初めてだ。自由席に座れなかった乗客が指定席の車両まで溢れており、それがまた大柄のスウェディッシュときているから、もう大変。不憫なのは、どう見ても別府へ温泉旅行といった風情の老夫婦。

「あわわ、なしてこげんガイジンがおるとやろか、婆さんや?」「これは、あれっちゃろもん。ほれテレビでやっとー、ワールドカップとかいう...ほれ球蹴りの」「おうおう、知っとうばい、ワールドカップ・ブラやな!」「おや、爺さんにしては、珍しいこと知っとっちゃね。」「婆さんや、馬鹿にするやなかとよ!俺は、昔博多ブラブラぶ~らぶらのサトシっち言われとったくさ。今でん、中洲じゃ知らんもんはおらんばい!」「なんね、その博多ブーラブラっちゅーうんは?アブラカタブラと違うんね?」「馬鹿こけ!婆さんや。博多ブラブラぶ~らぶらも知らんとか?小倉の田舎もんは、これやけん困るたい。」「あー、知らん知らん!知らんでん、馬鹿にせんでもええやないね!こんくそじじーが!」「けっ!逆ギレかよ、超ムカつくぅ~」「爺さん、あんたなんで、そげん若い娘みたいな言葉知っとーとね?」「.....」「爺さん、あんたまさか。。。出会い系サイトとかで遊んどるんやないと!」『うぐっ、なんちゅう勘じゃ。腐っても鯛ったぁ、よう言うたもんじゃ』『ふふふ...爺さんも馬鹿もんじゃ。メル友の”網タイツポテト”が、このウメだというこつも知らんと』『今夜も婆さんが温泉入っとる間に、だぶりゅだぶりゅだぶりゅ どっと たいつで きゅっきゅっと行っとくかの』

以上の温泉バトルに負けじ劣らず、試合の方も好ゲーム。昔は足が速いだけの感があったラーションが、格段にうまくなっている。スキンヘッドの方が長髪時代よりも精悍なイメージだが、プレースタイルも大きく変わった。ヘッドを競れば、かなりの確率で見方につなぐし、足技も落ち着きがでて、見事な間合いでセネガルディフェンダーをかわしていく。そうこうしているうちに、前半開始間もなく、コーナーキックをニアで競り勝ったラーションが先制弾!コーナーキックのスピードも速かったが、点で合わせるラーションも見事。

さーて、こうなっては負けていられないセネガリアン達が躍動し始めた。この日は必ず左サイドに大きく開いてからプレッシャーの少ない状態でボールを受ける今やアフリカNo.1プレーヤーのディウフ。そうだこいつだ!半年前の日本との親善試合でも自由自在に我が日本ディフェンダーを抜き去り、直接フリーキックも決めたのだ。しかし、驚くべきは、スウェーデンディフェンダー陣!位置取りと相手への間合い取りがうまく、また読みも鋭いため、ファウルひとつせず、見事に攻撃を跳ね返す。アルゼンチン、イングランド、そして最後に見たトルコもそうであったが、今回世界の守備力を目の当たりにして唸ってしまった。ベスト16に進出したチームの中で最もファウルが多かった我らがニッポン!結局最前線のFWと最後尾のDFは、個人で打開しなくてはならない局面が多いため、組織で機能しやすいMF陣に比べ、世界との差は歴然であった。4年後のドイツ大会までどこまで差を詰めれるのか、非常に不安だ。

で、結局、この日はディウフの出来がよかったため、やや敵のマークが甘くなった感のあるアンリ・カマラが2ゴール!強烈なシュート力は持たないが、踊りがうまい!じゃなかった、若いくせに間の取り方がうまい。劇的なセネガルのゴールデンゴールで幕を閉じたが、私は心底感動したぞ、スウェーデンの守備力に!なお、この試合は、今回ナマで見た中では、間違いなくベスト!