World Cup 2002 観戦記Ⅱ Nigeria vs England



2002年6月12日長居スタジアム。スタジアム入り口の喫茶店に機材を設置し、BBCのラジオ局が現場リポートのリハーサル中。インタビューされたらどうしようと勝手な不安に駆られるが、どこの馬の骨ともわからない日本人の私がインタビューされるわきゃーなく、やはりその通りとなった。

さて、試合。結果から言えば、グループリーグ最終戦で、敗退が決まって勝ち点だけが欲しいナイジェリアと引き分けでも通過確実なイングランドという状況。後半開始早々スウェーデンがアルゼンチンをリードという思いがけない情報が選手の耳に入ったのか、両者引き分け狙いの0-0の凡戦だった。熱烈なイングランドサポーターは、Com'on Englandと鼓舞するが、百戦錬磨のチーム同士は、そう簡単に踊ってくれない。この試合の後、ポルトガルも同じように1次リーグ突破をもくろみ、引き分けでも同じく1次リーグ突破が確定の韓国に対して、暗黙のパス回しでサインを送るが、相手が勝利のみを使命とするホスト国。結局、読み違えてしまったフィーゴ率いるポルトガルはあえなく敗退。天才ルイ・コスタは最終戦でピッチにすら立てなかった...

さて、ナイジェリア対イングランド。試合は凡戦であったが、献身的に動き、時に爆発的なスピードを見せるマイケル・オーウェン!それに比べ、デヴィッド・ベッカムは、やはり本調子ではない。いっこうに動かないヘスキー。読みも良くかっこいいリオ・ファーディナンド。なんかやっぱ好きになれないシーマン。凄いサイドバックであることを証明したアシュリー・コールなど、イングランドの選手には良くも悪くも華がある。一方、途中で戦意を無くしたオコチャ率いるスーパーイーグルスは、残念ながら最後まで見るべき所がなく、陶酔して応援を繰り返すサポーターが奏でるビートが悲しく響いた。

こんな中、試合前のセレモニーで登場した綾戸智絵が歌ったゴスペル1曲と「上を向いて歩こう」が感動ものだった。隣にいたイングランドサポーターが「彼女は、日本では有名なのか?」と聞いてくる。「当たり前田のクラッカーよ」と応えると、「古いねー君も」とあきれ顔ながら、彼女に対しては熱い拍手をしていた。バーミンガム近郊にすむ彼は、レスターのファンとのこと。レスターは、前シーズンは残念ながらプレミアリーグの最下位で、来期はディヴィジョン1へ降格が決まっている。どことなく元気がない彼も、私がアストン・ヴィラのユニフォームを着ていたので喜んでいた。なお、日本の活躍もあって、会場には日本のユニフォームやTシャツに身を包む外人も目立つ。

帰りに天王寺駅で地下鉄を待っていたときのこと。ビール片手のイングランドサポーター連中が寄ってきて、「おっ、こいつヴィラのユニフォーム着てるぜ!ブルース」「おお、ベイビー!俺もヴィラのファンだぜ!」と、ブルースらしき野郎が握手をしてきた。その時、隣のベンチにおばちゃんが腰掛けていたのだが、『あわわ、つひにフーリガンとやらに襲撃されるんやわ~~~』と顔面硬直。そう、ここ大阪はおばちゃん天国なのだ。

遡って、スタジアムへ向かうときのこと。新大阪で列車を待っていると、ヨーダそっくりのちんちくりんのおばちゃんが話しかけてきた。ワイドショーのおかげか、ワールドカップのスケジュールを良く知っている。「おたくら、幸せもんやわー。こんな平日にサッカー見れるんやから。ほんまやで~」と、説教が始まる。マダムキラーで名を馳せた相棒のサイカちゃんも、さすがに手こずっていた。

で、イングランドか?アルゼンチンか?と盛り上がったF組の1位には、なんとスウェーデンが!アルゼンチンは予選グループ敗退。カニーヒアにいたっては、ベンチで退場。あー、アイマール。4年後は、サビオラと君とで、強いアルゼンチンを復活させてくれよ!