| ハマった頃の熱狂度 | ★★ |
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| 今聴いてもかっちょいいか度 | ★★ |
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ある年のクリスマス・イヴ。行くところなんて別になくて、なぜか海を見ようと
いうことになって。
で、横浜とか近場にしときゃいいものを、なぜか鎌倉辺りまで足を伸ばしたわけです。 電車に乗って。 随分夜も更けていて、クリスマスだし賑やかなのかなという予想はまったく外れ、 静かな街の向こうに静かな海がありました。 しばらくじっと海を見ていましたが鯨が出て来るわけでもなく、 さりとて行く当てもなく、 電車も既になく、なんとなく歩き出したわけです。江ノ島に向かって。 鎌倉から江ノ島、江ノ電に乗れば 30 分かからないぐらいでしょうか。 歩くには少々遠い距離です。 何が悲しくて、わざわざクリスマス・イブの夜に、寒い中、 僕らは江ノ島を目指したんでしょう。 それでも、なんだか歩きつづけました。すごく喋ったり、すごく黙ったり、 すごく海を見たり、すごく寄り道をしたりしながら歩きつづけました。 ひょっとすると、別に悲しくなかったのかもしれません。 空も海も暗くて、そして冷たい風が吹いていて、星も出ていなくて、 身体を温めるものは通りすがりの自販機で買った缶コーヒーと、 つないだ相手の掌ぐらいでした。お腹が空いたら、鎌倉で買った ビスケットを分けて食べました。 時々、車が横を通りすぎました。鯨は出ませんでした。 江ノ島が見える頃にはくたくたでした。相手も多分くたくただったと思うけれど、 くたくたですとは言いませんでした。こんな妙なイブの夜を過ごしておいて、 くたくたじゃないなんて、かなり変わった人だと思います。 片瀬江ノ島駅から小田急線に乗って、二人は並んで座って目をつぶりました。 途中の駅で彼女はバイバイと降りていきました。 くたくただった私は持っていたウォークマンのスイッチを入れて もう一度目をつぶりました。 その時流れてきたのが、Roxy Music の Avalon という曲でした。 Now the party is over, I'm so tired ... なんとなく、ちょうど良い曲でした。
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