中国城市探訪

 (21) 北京のBRT
中国国旗 
Beijing/ China
 
撮影: 2017/5, 制作: 2017/7

中国の首都、北京の街を走る本格的なBRTを紹介します。
BRTとは、Bus Rapid Transit の略で、都市における路面電車の機能をバスで実現したシステムです。BRTの構成要件としては、①専用レーン、望ましくは優先信号, ②プラットホームやホームドアのあるバス停, ③数分間隔での頻繁な運転, ④中~大量輸送に適した特別な車両、などが挙げられます。路面電車に比べて建設費や維持費が安上がりなので、近年導入する都市が増えています。
 北京BRT2号線、紅廟路口西
北京市, 紅廟路口西 2017/5/30

地図の場所、縮尺は自由に変更できます。

北京には4系統のBRT路線があり、そのうちの3系統でトロリーバスが使われています。 
系統  走行区間  キロ程  開業日  記 事 
BRT1号線 徳茂庄~前門   16km  2005/12/30  トロリーバス 
BRT2号線 楊閘~朝陽門   16  2008/7/31  トロリーバス, 一部ディーゼルバス 
BRT3号線 安定門東~宏福苑小区西   23  2008/7/20  トロリーバス 
BRT4号線  阜成門~龍泉西公交場   26  2012/12/30  ディーゼルバス, 支線系統あり 

北京天安門広場   Tian'an Men

北京で最も有名な天安門前広場です。この奥に故宮博物院があります。最近は警備が厳しくて、この広場に入るだけなのに、荷物と身体の検査を受ける必要があります。まるで空港並みです。
ここから南へ1kmほど歩くと、正陽門(前門)に至ります。

(2017/5/30)
北京BRT1号線、前門   Qianmen

大きな前門のすぐ下に、BRT1号線のターミナルがあります。この一帯はオリンピックを契機に再開発された地区で、昔風の商店街が再現されていて、観光客が必ず訪れる所です。しかしアジア初のBRTが走っていることに気がつく人は、ほとんどいません。
 
北京BRT1号線、珠市口   Zhushi Kou

前門の商店街を抜けて、さらに南へ1kmほど行くと、地下鉄の珠市口駅前に出ます。ここでBRT1号線を撮影しました。
この区間は専用道ではなく、一般道を走っています。また架線もありません。 
北京BRT1号線、珠市口   同じく珠市口の交差点です。
珠市口東大街から中央郵便局の前を左折して、前門東路へ進入していくところです。
車両を良く観察すると、右側通行の中国でありながら、ドアが左側に付いていることに気づきます。北京に4本あるBRTの中で、この1号線だけ専用レーンが道路の中央にあり、バス停が島式のホームになっているため左ドア車を採用しているのです。
北京BRT1号線、BJ6183EVCAT
北京福田汽車(FOTON)製、BJ6180EVCATの左ドア仕様車です。オリジナルモデルはドイツのViseon社が開発したLT20で、青年汽車がこの形のトロリーバスや電気バスをライセンス生産しています。尚、このFOTON製車両はコピー製品です。
全長18mの長尺連接車で、独特の形状から鯰(なまず)電という愛称が付いています。また、型式名から猫電と呼ぶ人もいます。

ところ変わって、ここは朝陽門にあるBRT2号線の始発ターミナルです。地下鉄の出入口の斜め向かいにある細い路地にあるため、この看板を見落とすと、探すのに大変苦労します。

北京BRT2号線、朝陽門
   北京BRT2号線、朝陽門
北京BRT2号線、朝陽門  
Chaoyang Men

同上、朝陽門のターミナルです。ビルの谷間に緑地があって、あまり目立たないちょっと淋しい感じのする場所です。
専用道になっていますが、自転車やバイクは自由に通行できます。尚、出発してしばらくの間、呼家楼西までの区間は、一般道を走ります。

(2017/5/31)
北京BRT2号線、路線図
BRT2号線の路線図です。右端に、朝陽門に到る主線と、東大橋へ到る区間線が描かれています。あたかも区間線が支線のように枝分かれしていますが、実態はその名の通り区間線です。分かりにくいので、下記に地図を用意しました。
北京BRT2号線、東大橋地図 朝陽門を出たBRT2号の主線は、右回りのループを通って東(右)へ向かいます。次に、三角形になった道路の右側を北上して右折、東大橋を経由して呼家楼西へ向かいます。帰りの朝陽門行き主線は、三角形の右側を北上して左折します。東大橋のごく近くを通りますが、東大橋には停まりません。
これに対して、区間線は東大橋が起終点で、四角形のループを通って戻って行くというわけです。
(2017/5/31現在)

北京BRT2号線、東八里庄   Dong Balizhuang

呼家楼西から東側が整備された朝陽路で、BRT専用道のある区間になります。左から順に、歩道、駐車が可能な側道、3レーンの車線、バス停のプラットホーム、BRTの専用道、高速車用のレーンの順に並んでいます。

国の体制が異なるので一概に比較は出来ませんが、都市の道路交通整備に関して、中国は日本よりはるかに進んでいると評価できます。 

北京BRT2号線、東八里庄  

上掲と同じく、東八里庄のバス停にBRTが到着したところです。
バス停へは歩道橋を使って出入りします。入口にカード対応の改札装置があり、駅員もいます。

北京BRT2号線、紅廟路口西   バス停はプラットホームになっていて、ホームドアが付いています。本来はバスのドアに連動して開閉するのですが、故障したままになっているものを多数見かけました。ここではドア自体が傾いています。
せっかく立派な設備を造ったのに、メンテが行き届いてないようです。褒めたり、けなしたり、ですね。
 
北京BRT2号線、車内   連節トロリーバスの車内です。中国のバスでは向かい合わせのシートが普及していますが、後ろ向きの座り心地は良くありません。内装はうす暗い印象を受けました。電光掲示板も故障中です。
北京BRT2号線、楊閘環島西   Yangzha Huandao Xi 

路線図では楊閘が終点ですが、その一つ手前の楊閘環島西で強制的に降ろされました。「楊閘は始点ではあるが、終点ではない」ということです。その理由を説明するために、下記の図を用意しました。
北京BRT2号線、楊閘地図   BRT2号線は朝陽路を東進して、楊閘環島西に至ります(赤色)。その先は緑色で示した経路を走りますが、このルートは入庫のための回送路線です。
始発地の楊閘は、車庫を出たところにあります。楊閘環島西から200mほどの距離で、一周して戻ってくる形になります。
地下鉄管庄駅からBRTへ乗り継ぐにはわずかな距離ですが、その逆は楊閘環島西から倍ほど歩く必要があります。
北京BRT2号線、楊閘環島  
Yangzha Round-about

環島とは、信号のないロータリーを中国語で表現したもので、西洋ではラウンド・アバウトと呼ばれています。楊閘のロータリーは、直径が100mほどある巨大なものです。 
この区間は架線がありますが、ほとんどのトロリーバスはポールを倒して、バッテリーで走行します。
この角度から見ると、なるほど鯰電というイメージがぴったりで、特にヘッドライトの形が鯰の眼に似ています。
北京BRT2号線、楊閘環島   環島では比較的遮るものがないので、バスのドア側の写真をきれいに撮影することが出来ます。
車両はBRT1号線と同じく、北京福田汽車(FOTON)製のBJ6180EVCATですが、ドアは標準仕様で右側に付いています。

北京BRT2号線、楊閘環島   こちらはディーゼルエンジンで動く連節バス、青年汽車製のJNP6180Gです。開業時はすべてこのタイプでしたが、のちにトロリーバスを導入した経緯があります。BRT2号線では、現在も両者が使われています。
 
北京BRT2号線、楊閘車庫   Yangzha BRT Yard 

楊閘のBRT車庫です。奇抜なデザインの鯰電トロリーバスがズラリと並んでいて、実に壮観です。

北京BRT2号線、楊閘車庫  
同じく車庫で、BJ6180EVCATのリアビューを撮影しました。
 
北京BRT2号線、楊閘   Yangzha

始発地の楊閘です。広い朝陽路から一筋南の路地に、ひっそりと乗り場がありました。地下鉄から降りて探したら、分からなかったかも知れません。
昼下がりの時間はトロリーバスが休憩中で、ディーゼルの連節バスが使われていました。
 
日本でもBRTを名乗る交通機関がありますが、そのほとんどがBRTの要件を満たしていません。廃線になったローカル鉄道の路盤を舗装してバスを走らせた事例や、単なる連節バスの導入をもってBRTと称するなど、誤用や誇大宣伝が目立ちます。日本で唯一BRTの名にふさわしいのは、名古屋・大曽根のガイドウェイバスだけと申せましょう。
 
北京BRT2号線、紅廟路口西   余談ですが、BRT2号線の走る朝陽路には普通のトロリーバスも走っています。途中の東大橋と紅廟路口東にはターミナルがあり、[101], [108], [109]路など多くの系統が見られます。
これらについては又の機会に譲ります。
写真は紅廟路口西を走る[118]路です。冒頭の写真もここで撮影しました。
 


References:
https://zh.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E4%BA%AC%E5%BF%
AB%E9%80%9F%E5%85%AC%E4%BA%A4
https://tieba.baidu.com/p/5075585063
http://baike.baidu.com/item/%E5%8C%97%E4%BA%AC%E5%BF%
AB%E9%80%9F%E5%85%AC%E4%BA%A42%E5%8F%B7%E7%BA%BF



Next ContentsTop Page


Copyright© 2014 railbus All Rights Reserved.  
写真及び文章の著作権はrailbusに帰属します。無断転載を禁じます。