中国トロリー散歩

武漢のトロリーバス
中国国旗 
Wuhan/ China
 
撮影: 2013/3, 制作: 2016/11, 改訂: 2019/12

2013年3月に湖北省の武漢市を訪問しました。武漢は長江(揚子江)の中流にある、人口1,080 万人の大都市です。長江と漢江を挟んで向かい合う、武昌、漢口、漢陽の三市が合併して誕生しました。1911年、辛亥革命の時に、建国の父・孫文(孫中山先生)が蜂起した街としても知られています。
武漢には8系統のトロリーバスがありましたが、訪問時は3系統が休止中で、5つの系統に乗車しました。

武漢のトロリーバス, 津水路起義門 
津水路起義門, 武漢市(Wuhan), 2013/3/16

武漢, 黄鶴楼   武漢で最も有名な観光地、黄鶴楼です。三国時代に呉の陣地であった蛇山の上に建っています。手前が武昌で、右奥に長江大橋が見えます。全長1,670 m、道路と鉄道の併用橋で、1957年に竣工しました。 新幹線車両もこの橋を通ります。

黄鶴楼は昔から多くの漢詩に詠まれています。中でも高校時代に習った李白の詩は、いつまでも記憶の中に残っています。
※題名にある広陵は江蘇省揚州のことです。

武漢のトロリーバス, 路線図
Google Mapsの上に、2013年12月訪問時の武漢トロリーバス路線図を書き込みました。現在とは若干系統番号
や経路が異なります。トロリーバスは武漢市公共交通集団が運営しています。
 [電1]路, (青色), 三民路~(長江大橋)~水果湖路水果湖
 [電2]路, (紫色), 硚口码头~(中山大道)~勝利大道二七路
 [電3]路, (緑色), 硚口码头~(勝利大道)~勝利大道二七路
 [電4]路, (赤色), 硚口码头~(長江大橋)~中山路武昌火車站 
 [電7]路, (水色), 動物園路電車停車場~勝利街一元路


以前は、[電5], [電6], [電8]路の各系統がありましたが、訪問時は運行を停止していました。
 (旧)[電5]路, 動物園路電車停車場~宗関~動物園路電車停車場(循環系統)
 (旧)[電6]路, 梅家山~水果湖路水果湖
 (旧)[電8]路, 津水路~中北路車家嶺
※のちに[電5]路が復活、[電8]路も武昌火車站~梨園広場に変更(延長)して復活しています。
冒頭の写真、起義門は旧[電8]路のターミナルがあった津水路です。

武漢のトロリーバス, 黄鶴楼南路   武漢のトロリーバス, 黄鶴楼
↑黄鶴楼の上から望遠レンズで撮影した[電1]路です。

Huanghe Lou Nanlu
←黄鶴楼をバックに走る[電4]路です。黄鶴楼の南側は上下線が別
々の道路を走っています。(前掲地図参照)

前面窓の下に見える青いラベルは長江大橋の通行許可証で、トロリ
ーバスでは[電1] と[電4]の車両のみに付いています。

(2013/3/15)
武漢のトロリーバス, 黄鶴楼  
Huanghe Lou

黄鶴楼の下、辛亥革命記念館の近くを走る[電1]路です。こちらは西行きの一方通行区間です。
車両は揚子江客車製WGD68UKの空調車です。このタイプが主力ですが、製造年と空調の有無で多少のバリエーションがあります。以前のメーカー名、武漢市公用客車廠時代の車両も残っていました。

 
武漢のトロリーバス, 黄鶴楼南路
黄鶴楼南路の角を曲がるWGD68Uのサイドビューです。
この車両は非冷房車です。
  武漢のトロリーバス, 水果湖路水果湖
[電1]路の終点、水果湖路水果湖です。帰りの便は、一筋北
の東湖路を通ります。

武漢のトロリーバス, 小東門  
Minzhu Lu Xiaodong Men

国鉄武昌駅の北側にある民主路小東門の交差点です。かつて武昌の街には周囲10kmに及ぶ城壁があり、ここはその東の出入口でした。城壁の入口には市が立つのが通例で、今も大変にぎやかなところです。
城壁は1920年代に撤去されましたが、近年になって部分的に復元されています。冒頭の写真の起義門もその一例です。

武漢のトロリーバス, 三民路   Sanmin Lu

[電1]路の漢口側終点、三民路です。中山大道から少し南へ入ったところに広場があり、孫中山先生の銅像が建っています。トロリーバスは、この広場を一周して方向転換します。

武漢のトロリーバスは1958年に開業しています。前年に竣工した長江大橋を渡って、ここ三民路と武昌側の大東門を結びました。長江に沿って南北に延びる中山大道一帯が、古くからの漢口側の中心地です。



↓広場で青空麻雀。ギャラリーが囲んでいます。
武漢のトロリーバス, 中山大道
  武漢, 三民広場

←中山大道から三民路へ入る交差点で、トロリーポー
ルが架線から外れてしまいました。手作業で修復して
いるところです。
 
武漢のトロリーバス, 橋口路   Qiaokou Matou

漢口の東、硚口码头 のターミナルです。ここには[電2], [電3], [電4]路の各路線が集まっています。
写真の車両は、揚子江客車製WG6120DHAです。以前の型式より一回り長尺の12m車で、車体コーナーが丸みを帯びたデザインになっています。
窓下にある7桁の数字は社番で、第2位と第3位が製造年を示しています。これは2010年製です。

※码头(碼頭)とは埠頭のことです。以前、硚口码头は渡船乗り場でしたが、現在は橋が架かっています。写真の上部がその月湖橋の取付道路です。
武漢のトロリーバス, 解放大道二七路
Jiefang St. Erqi Lu
硚口码头から[電3]路に乗車して、解放大道経由で終点の
解放大道二七路に到着しました。

  武漢のトロリーバス, 解放大道二七路
解放大道二七路に停車中の[電2]路です。たたきつけるよう
な雨が降り、最悪の撮影コンディションでした。
(2013/3/16)

武漢のトロリーバス, 中山大道南京路  
Zhongshan St./ Nanjing Lu

[電2]路は漢口の中山大道を経由します。南京路交差点の北側付近では、極端に道路が狭くなっているため、北行きのみが中山大道を通ります。


(2013/3/17)

 
武漢のトロリーバス, 宝華街南京路   Baohua St./Nanjing Lu

こちらが南行きの道路です。上掲とほとんど同じ場所ですが、停留所名は保華街南京路になります。上下線が分かれているのは、わずか100mほどの区間です。

1858年の天津条約によって、漢口には欧米列強の租界が設けられました。この付近には当時の様子を伝える歴史的な建築物が多数残されています。
 
武漢のトロリーバス, 勝利街一元路   Shengli St. Yiyuan Lu

[電7]路の漢口側終点、勝利街一元路です。中山大道と勝利街が合流する場所が少し広くなっていて、道路上でUターンして方向転換します。
背景は「美最時洋行大楼」、1908年に建てられました。ドイツの商社、C.Melchers GmbHの旧址です。一元路付近はドイツ租界があったところで、近くには旧独領事館などの建物があります。


武漢のトロリーバス, 武昌火車站   Wuchang Railway Station

ところ変わって、ここは武昌の国鉄駅前、武昌火車站です。駅の西側に留置線のあるターミナルがあります。冒頭の写真、起義門はこのすぐ近くです。

(2016/3/16)
武漢のトロリーバス, 武昌火車站   雨がどんどんひどくなり、とても撮影を続ける状態ではありません。残念ながらこの日は撤収しました。
 
武漢のトロリーバス, 長江大橋   Wuhan Yangtze Bridge

長江大橋を渡る[電1]路です。背景に見えるのは亀山電視塔で、1986年に竣工しました。高さは221mですが、山の上に建っているのでさらに高く感じます。2005年から観光用に一般解放されています。
ここからの眺めを期待していましたが、あいにくの天候で昇るのを断念しました。


(2016/3/17)
 
武漢のトロリーバス, 長江大橋   同じく長江大橋の上から武昌方面を見ています。残念ながら雨にかすんで、遠方の景色は何も見えません。歩哨が立っている建物の下に、歩行者用のエレベーターがあります。
 
 武漢のトロリーバス, 動物園路電車站   Zoo Lu Terminal

最後にご紹介するのは、漢陽地区にある[電7]の終点、動物園路電車停車場です。 ここには車庫があり、乗り場が構内に造られています。
揚子江客車の新車、WG6120DHAの出発を見送りました。

ご覧のように天候が悪く、きれいな写真が撮れませんでした。武漢では最近新路線も開通していますので、ぜひ再訪したいと考えています。



References:
http://www.iobtg.com/Cc.Wuchang.htm#3
http://big5.huaxia.com/hb-tw/hbsy/hbzt/xhbn/xgwz/2011/08/2542569.html
http://www.busaustralia.com/forum/viewtopic.php?f=26&t=52054
https://zh.wikipedia.org/wiki/%E6%B1%89%E5%8F%A3%E5%BE
%B7%E7%A7%9F%E7%95%8C
相互リンクしている黄河鉄路網様のサイトです。筆者訪問後の新路線や、新車両の紹介があります。



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