中国トロリー散歩

 杭州のトロリーバス (1)
中国国旗 
Hangzhou / China
 
撮影: 2011/11, 制作: 2016/8, 改訂: 2019/12

2011年に浙江省の杭州市を訪問しました。杭州には1961年に開業したトロリーバス路線があります。2005年頃には7系統ものトロリー路線がありましたが、道路状況の悪化と市長の方針によって次々と運行停止になり、訪問時にはわずかに1路線のみが残っているという悲惨な状況でした。しかし幸いなことに、長江フレキシブル(福宝電車)と呼ばれる珍しい車両を撮影することが出来ました。

杭州トロリーバス雄鎮楼 
雄鎮楼, 杭州(Hangzhou)


Google maps の上に、K151 路の路線を書き込みました。
この路線は1961年の開業時から走っていますが、当初は拱宸橋~城站(杭州駅前)でした。
その後、北側の終点が拱北小区に変更、南側が雄鎮楼まで延長されています。また途中の経路も、延安路から解放路を経由して、杭州駅へ北から入るルートでした。

赤色:2011年の経路
緑色:過去の経路

杭州のトロリーバスは、杭州市公共交通集団有限公司傘下の電車公司が運営しています。


 
上海虹橋駅
2010年に開業したばかりの上海虹橋駅です。ここから杭州
までは新幹線でわずか1時間、大変便利になりました。

  杭州西湖
世界遺産、杭州の西湖(せいこ)です。唐代の詩人、白楽天に
因む白堤が雨に煙っています。

杭州臨安城遺蹟杭州は水の豊かな美しい街です。中山南路には、12~13世
紀に南宋が都を置いた、臨安城の遺蹟があります。
 
  杭州運河閘門市内には運河が四通八達しています。これは高低差を乗り
越えるための閘門で、船が従う信号機が付いています。
 
杭州トロリーバス雄鎮楼 Hangzhou Trolleybus
 Xiongzheng Building

K151路の南側の終点、雄鎮楼です。道路の真ん中に小さなロータリーがあり、そこで方向転換します。
お目当ての長江客車製CJWG110K型が健在でした。
多くの車両に広告が描かれていますが、この青一色はオリジナルの塗色です。

杭州トロリーバス雄鎮楼   CJWG110K型の特徴は、正面が独立した大きな2枚窓で、しかも凹んでいることです。また2枚の窓は傾斜角度が異なっています。この独特のスタイルは、米国のFlxible社が開発したもので、中国で見られるのは合弁企業が製造した「長江フレキシブル」です。
日本の古いバスで言えば民生のコンドル号、鉄道車輌なら電気機関車のEH10を彷彿とさせる顔立ちです。

※Flxibleは登録社名で、原義はflexibleです。
杭州トロリーバス雄鎮楼   「長江フレキシブル」は専門用語で、一般的な名前ではありません。地元の利用者は「福宝电车」(Fubao dianche)という、お目出度い愛称で呼んでいます。
その理由はFlxible社が「福萊西宝」と漢字で表記されるためです。


杭州トロリーバス車内   CJWG110Kの車内です。前ドアから後部まで同じ高さの高床式です。ほとんどの窓は大きな固定ガラスで、2枚だけ上部が引き違いの逆T窓になっています。
 
杭州トロリーバス車内   パイプ椅子のようなプラスチック製の座席が、向かい合わせに取り付けられています。この簡素な座席も、Flxible社が提案する特徴的な仕様です。
 
杭州トロリーバス城站南   こちらは1999年製長江CJWG110Kです。前掲の車両が元からの冷房車であったのに対し、非冷房車で登場して、後に空調を付けた「加装空調車」です。
屋根上の空調ユニットの形が薄型になっています。


バンパーの上に社番「6-5514」が書かれています。先頭の6は所属する電車公司を、5500代~5900代は全長12m級の空調電車をそれぞれ表しています。従って登場時は5000代でしたが、のちに改番されています。
少々マニアックな話になってしまいました。
 
杭州トロリーバス城站南   右手の車両は社番「6-5702」です。5700代2001年に増備された空調車です。車体に不釣り合いな大きな空調ユニットが目立ちます。

杭州トロリーバス城站南   Yaoyan Temple Lane

杭州駅の南にある姚園寺巷の交差点です。K151路は駅の構内に入らないので、予備知識がないとトロリーバスの存在に気がつかないかも知れません。


※「巷」(Xiang)は日本語の訓読みでは「ちまた」、路地や横町という意味です。
杭州トロリーバス城站南   Xiangxie Commercial Mansion

K151路は、上掲から少し西にある建国南路の角を曲がります。バス停の正式名称は、香榭商務大廈という建物の名前ですが、分かりにくいので城站火車站南と呼ばれています。
杭州トロリーバス武林小広場 Wulin Small Square

西湖の北にある武林小広場です。このあたり一帯は事務所や商店が建ち並び、賑やかなところです。
この先K151路は、京杭運河に沿って北上します。
杭州トロリーバス武林小広場   さらに北の方角を目指して歩きましたが、雨がひどくなって撮影が困難になりました。残念ながら2011年はここであきらめて、上海へ戻りました。

(2011/11/9)



杭州バス武林小広場   オマケに武林小広場で撮影した、フレキシブル型の杭州市バスを紹介します。
長江フレキシブルのバスは、Flxible社と常州長江客車の合弁企業、中国福莱西宝車輛有限公司で製造されました。これは全長=8m、ホイールベース=4mの小型車です。

※正確に記述すると、本編のトロリーバスは、シャーシとボディーを中国福莱西宝車輛有限公司で製造し、杭州の長江客車でトロリーバスに仕上げています。
このため本編では、長江CJWG110Kとしました。
詳しくは、References(参考文献)をご参照下さい。

ロサンゼルスロングビーチ   【参考】
左に写っているのが、本家本元、米国Flxible Metro 40102型バスです。
1988年にSouthern California Rapid Transit Districtに納入されましたが、1993年の組織再編でロサンゼルス郡都市交通局(MTA)の所属になりました。いわゆるLAのメトロバスです。
2000/2/22、ロングビーチで撮影。

※右の電車は、ロサンゼルス・メトロのブルーラインで走るP865型、日本車輌製です。

杭州のトロリーバス (2) へ続きます。
 

References:
https://zh.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%AD%E5%B7%9E%E5%85%AC%E4%BA%A4
http://www.trolleymotion.eu/www/verwaltung/en/ndetails.php?n_ID=575
http://www.showbus.com/gallery/foreign/usa/rtdgru.htm
http://www.omot.org/roster/flxlist/m40102.html
https://en.wikipedia.org/wiki/Changzhou_Changjiang_Bus



Next ContentsTop Page


Copyright© 2014 railbus All Rights Reserved.  
写真及び文章の著作権はrailbusに帰属します。無断転載を禁じます。