上海トロリー散歩

[23]路 (1)
中国国旗
 上海/ 中国
 
撮影: 2008~2011年, 制作: 2015/8, 改訂: 2019/12 

上海トロリーバス[23]路は、黄浦区の中山南路西藏路と静安区の忻康里とを結ぶ9.8kmの系統です。上海解放前の1948年にフランスの企業が始めたバス路線を、1954年にトロリーバスに転換しました。当初は老西門~曹家渡でしたが、後に南側が高雄路まで延長されています。曹家渡は、現在の終点である忻康里から150mほどの至近距離にあります。また、下掲の地図のように現在では上りが武定路、下りが康定路を通っていますが、90年代までは上り下りとも康定路を経由していました。
たくさんの写真がありますので、2回に分けてご紹介します。

上海23路
上海四季酒店の前を走る[23]路のトロリーバス、③地点。2010/7/26撮影。

上海23路地図
上海科学普及出版社発行「上海城区交通図」(部分)の上に、2010年当時の[23]路の経路を記入しました。
前編では、南側から①中山南路/西藏南路、②老西門、③威海路の順にご紹介します。

上海23路地図 
1985年版、中華地図学社出版発行の「上海市区交通図」の拡大図です。「南」は当時の行政区名である南市区、「卢湾」は同じく廬湾区を表しています。両区の区界になっているのが、湾曲する肇周路と制造局路です。
老西門から南の西藏南路が未開通なので、トロリーバス[23]路と[18]路(当時はトロリーバス)は、このルートを走っています。西藏南路全通後の現在も、この道は上りルートとして使われています。
黄浦江のほとりに、当時の終点、高雄路が見えます。その東側に南車站路が通っていますが、ここは1937年まで旧上海南駅があった場所です。駅は戦争で破壊され、のちに移転しましたが、通りの名前は今も使われています。


 上海23路   Shanghai trolleybus route 23
① Zhongshan Nanlu/ Xizang Nanlu

南側の終点、中山南路/西藏南路です。以前は、ここから一筋南にある高雄路が終点でしたが、地下鉄4号線/8号線の西藏南路駅に近いこの場所に移動しました。車両は上海申沃客車製SWB5105KGP-3、ドア側のきれいな写真が撮れました。


(2011/11/8)

 上海23路   ターミナルは交差点の南西側に新しく造られています。左側に中山南路の上を走る内環高架路が見えます。
[23]路はここから高架路に沿って西へ向かい、次の制造局路を北上します。

 上海23路   制造局路にある最初のバス停、市九医院です。瞿溪路の交差点近くに位置します。
道路名になっている制造局は、江南機器製造総局のことです。清朝の1860年代に曾國藩が主導した洋務運動によって、機械、兵器、造船部門などを擁するアジア屈指の軍需工場がこの地に造られました。

 
 上海23路   Shijiu Hospital

同じく市九医院です。後方に[18]路のバスが見えます。[18]路は中山南路西藏南路と魯迅公園を結んでいますが、90年代まではトロリーバスで運行されていました。
 
 上海23路   このあたりは上海旧市街(県城)の南に位置していて、黄浦江にも近い交通の要衝です。このため古くから多くの人々が暮らしていて、にぎやかな所です。 
 上海23路   ② Laoximen

西藏南路の老西門です。旧市街の老西門は、右手の建物のさらに奥にあります。


(2008/7/13)

 
 上海23路   丁度地下鉄10号線の工事中で、道路の両端にあった古い家並みが立ち退きになっています。 

上海23路   老西門から北側の大世界方向を見ています。後方のビル群とは対照的に、撮影当時の西藏南路の沿線は、まだまだ開発が進んでいません。

 
上海23路  
Dashijie

老西門の北、金陵東路との交差点を[23]路が曲がっていきます。ここは大世界と呼ばれ、フランス租界の時代から歓楽街として栄えているところです。


(2010/7/27)

上海23路 ③ Weihai Lu/ Shimen Yilu

上りの[23]路が、威海路から石門一路へ右折していくところです。左が上海四季酒店、冒頭の写真もここで撮影しました。


(2010/7/26)
 上海23路   上海23路
2010年は上海万博が開かれた年です。市民に交通ルールを遵守させるために、指導員が街角に立つ姿が見られました。 
上掲と同じく威海路/石門一路にて撮影しました。
 上海23路   2011年に訪問した時、路線は東側に大きく移動していました。威海路から南京西路に至る区間は大中里と呼ばれる地区で、1925年に開発された住宅地です。地下鉄の13号線を通すに当たって、大規模な再開発をすることになり、わざわざトロリー線を移設しました。 
※大中里は、中国人が開発した街を意味する「中里」に、大英帝国や大日本帝国に対抗して「大」を付けた命名と言われています。

(2011/11/7)

 上海23路   ここが威海路から新しくできた石門一路迂回路への入口です。大中里には煉瓦造りの石庫門住宅が多数あり、写真の建物を含む何棟かが保存される予定です。

上海23路   上海23路
↑石門一路の迂回路は、北側で石門二路に繋がっています。ここは南京西路との交差点で、[23]路は左折します。
←大きくカーブする石門一路の迂回路です。場所は石門二路ですが、ここに石門一路/南京西路のバス停が作られました。

 上海23路   Shimen Yilu/ Nanjing Xilu

石門一路/南京西路を走る[23] 路を真横から流してみました。 



 上海23路地図   「大中里」付近の[23]路ルートを、「腾讯地图」に書き込みました。青いラインが元々の石門一路です。地図上で空白になっている広大な土地が再開発の対象で、完成後は住宅、商業、娯楽の総合施設が誕生する予定です。

※2015年に地下鉄13号線の工事が一段落して、元の石門一路に現状復帰しました。

[23]路 その2に続きます。
 

References:
http://www.shtong.gov.cn/node2/node4/node2249/luwan/node36267/index.html
http://www.shtong.gov.cn/node2/node4/node2249/node4412/index.html
http://baike.baidu.com/view/6145628.htm


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