[8]路 |
上海/ 中国 |
撮影: 2010~2011年, 制作: 2015/8, 改訂: 2019/12 |
上海トロリーバス[8]路は、楊浦区の松潘路/楊樹浦路と三門路/市光路とを結ぶ7.0kmの系統です。1953年に開通した[60]路のバスを、1983年12月にトロリーバスに転換したものです。 当初は、楊樹浦路から黄興路を通って五角場に至る5.7kmの路線でした。この五角場は、古い歴史のある郷鎮ですが、1920年代の中華民国政府による「大上海計画」によって、経済の中心地として開発が着手されたことで知られています。放射状に延びた五本の道路と、それを幾重にも囲む環状道路で構成される街並は、西欧的で斬新なものでした。戦争によって開発は頓挫しましたが、近年副都心としての整備が進められています。 トロリーバス[8]路が現在の終点である三門路/市光路まで延長されたのは、1998年です。また2004年からは、五角場の五叉路交差点を通らずに、環状道路の一部である国和東路を経由するようになっています。 |
上海科学普及出版社発行、「上海城区交通図」(部分)の上に、2011年当時の[8]路の経路を記入しました。 [8]路は楊浦大橋のたもとにある松潘路から、ほぼまっすぐに北西方向へ向かいます。以前の終点である五角場の交差点を避けるように国和東路を経由して、政立路から国京路のループを回り、終点の三門路市光路に至ります。 途中の寧国路、黄興路では都市高速の内環高架路が頭上を走ってますので、撮影にはあまり適してません。このため、ご紹介する場所は、地図の①, ②で示す両端の各ターミナル付近です。 ※余談ですが、図中の邯鄲路には、1964年から72年まで、五角場と魯迅公園を結ぶ路面電車が走っていました。のちのトロリーバス[9]路ですが、90年代後半に廃止されています。 |
Shanghai trolleybus route 8 ① Songpan Lu/ Yangshupu Lu [8]路の起点、松潘路です。前作でご紹介した[28]路に乗って、提籃橋から楊樹浦路を東へ向かうと楊浦大橋が見えてきます。その橋のたもとに渡船の乗り場と商店街があって、[8]路がここから出発します。上掲地図をご参照下さい。 (2010/7/25) |
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松潘路はごちゃごちゃした感じがする狭い通りです。お茶を売る店がたくさんあり、そのほかに日用品を売る店、食堂などが軒を連ねています。 |
表通りの楊樹浦路には近代的なビルが見られるようになりましたが、松潘路は昔のままの姿を留めています。トロリーバスに興味が無ければ、見過ごしてしまうような街です。 |
背景に黄浦江に架かる巨大な楊浦大橋が見えます。この橋は1993年に竣工した斜張橋で、内環高架道路が通っています。全長1,088m、主塔間スパンが602mあり、完成当時は斜張橋として世界最長を誇っていました。自転車や歩行者は通行禁止なので、渡船も併用されています。 トロリーバスの[8]路は、この橋のたもとにある商店街から出発します。 |
ターミナルで発車を待つ[8]路です。車両は杭州長江客車製のHZGWG100Kが主力でした。 |
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ターミナルを出発する[8]路です。松潘路は右回りの小さなループになっています。このあといったん楊樹浦路へ出てから、さらに右折して寧国路へ進みます。 |
楊樹浦路の南東側からT字に交差する松潘路を見ています。 |
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この地図は、中華地図学社出版が1985年8月に発行した「上海市区交通図」です。松潘路付近を拡大してみました。 楊浦大橋が建設される前で、都市高速はありません。寧国路も全通しておらず、渡船乗り場への道路は宁国南路と表示されています。[8]路のトロリーバスは、長陽路→臨青路→楊樹浦路→松潘路→寧国路の順に、右回りのループを走っていました。松潘路では現在と走る向きが逆でした。 |
② Zhengli Lu ところ変わって、ここは五角場の古鎮、政立路/市光路です。珍しく申沃客車製の車両がやって来ました。 右奥は江湾体育場で、戦前に造られた競技場や体育館が現役で使われています。 (2011/1/15) |
Guojing Lu 国京路を走る[8]路です。終点に近いこの区間は、国京路~三門路~市光路の一方循環ループになっています。 新旧の建物が混在する落ち着いた雰囲気の街並を、トロリーバスが悠然と走っています。 |
国京路/三門路の角に食品と衣料の公設市場があります。旧五角場鎮の中でも人が多く集まる場所のようです。地下鉄10号線の三門路站も、すぐ近くにあります。 |
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Sanmen Lu/ Shiguang Lu (Terminal) 終点の三門路/市光路のターミナルです。比較的広い三門路の南側に、2レーンの乗り場が造られています。乗務員の詰め所はアパートの1階にあります。 |
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周辺の集合住宅は、少々古い感じがします。五角場は古い町なので、トロリーバスがここまで延長された90年代頃に、再開発されたものと思われます。 |
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同じくターミナルを西側から見ています。 この道路の先に上海体育学院があり、その構内に蒋介石が夢見た大上海計画の象徴である上海市政府弁公楼(新市庁舎)が保存されています。 |
1985年版「上海市区交通図」の五角場付近の拡大図です。 五角場の五叉路の交差点には大きなロータリーがあって、[8]路のトロリーバスがここで転回していました。 戦前の都市計画による同心円状の街路が見えますが、現在[8]路が走っている国和東路はまだ造られていません。巨大な江湾体育場の北に、現在の終点である三門路が見えます。右上、「上海体院」の文字がある場所に、上海市政府弁公楼があります。 ※冒頭の地図でご説明したトロリーバス[9]路も示されています。 |
References: |
https://zh.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%A8%E6%B5%A6%E5%A4%A7%E6%A1%A5 |
https://zh.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8A%E6%B5%B7%E5%85%AC%E4%BA%A48%E8%B7%AF |
http://baike.baidu.com/view/60536.htm |
http://www.shtong.gov.cn/node2/node4/node2249/yangpu/index.html |