市電のある風景・京 都

 (14) 北大路線
日本国旗
 
撮影: 1977~1978, 制作: 2017/11 

北大路を走る京都市電をご紹介します。この路線は京都の市街地を囲む外郭線を形成する北側部分に当たります。賀茂川と高野川を渡る区間や船岡山の丘陵地を通るため、起伏の多い路線でした。線路の両脇に大きな建物はなく、沿線のどこからでも比叡山や北山の峰々を眺めることができました。

京都市電北大路線高野橋
Kyoto City Tram at Takano Bridge,  Jan-1978.

京都市電北大路線路線図
分類上、北大路線は高野から千本北大路に到る4.2kmの区間になります。1923(大正12)年、植物園への輸送のために烏丸線の延伸と同時に烏丸車庫前~植物園が開通したのが始まりです。植物園は賀茂川の東にありますが、電停は北大路橋西詰でした。続いて1930(昭和5)年に千本北大路~大徳寺前、翌1931年に大徳寺前~烏丸車庫前が開業しています。この区間は、1929年に北大路まで到達していた千本線の延長という形になります。
植物園~高野は1934(昭和9)年に開通しましたが、当時は河原町線、東山線とも繋がっていませんでした。

京都市電北大路線高野橋   Takano Bridge ~
 Shimogamo-Takagicho

高野橋を渡る市電の姿です。橋の上は見晴らしが良く、修学院から宝ヶ池方面に連なる山々が見えます。


(1978/7/15)
京都市電北大路線高野橋   上掲と同じ場所で市電をアップしてみました。撮影時期が新しいので、すべての車両がワンマンカーになっています。
[6]番は、七条通、東大路を経由して京都駅と烏丸車庫を結ぶ系統です。

京都市電北大路線高野橋   高野橋の上で市電がすれ違うところを、短めの望遠レンズで撮影しました。背景の山並みが迫って見えます。
右の建物は、電電公社の中継局で、現存しています。
京都市電北大路線高野橋   同じ場所で北西の方角を見ています。左の建物に船越病院の看板が見えます。※現在の名前は京都下鴨病院です。


(1977/10/16)
京都市電北大路線下鴨高木町   Shimogamo-takagicho

上掲から少し西、下鴨高木町から南東を見ています。
背景は、北白川から田の谷峠方面の山々です。ドライブウェイが見えます。


(1978/7/15)

京都市電北大路線下鴨高木町   [6]系統のすれ違いです。車両全体を入れるのではなく、このような構図にも積極的にチャレンジすれば良かったと思いますが、後の祭りです。
京都市電北大路線下鴨高木町   下鴨高木町の電停です。外郭線を一周する[22]番の外回り系統が走っています。
北大路通は地形的な制約で一直線には造られず、途中の3箇所に大きなカーブがありました。冒頭の地図をご参照下さい。

(1978/7/23)

京都市電北大路線高野橋
Snowscape at Takano Bridge  場所が前後しますが、高野橋で撮影した雪の朝です。冒頭の写真も同じ場所です。
北大路は市内でも標高が高く、年に数回は雪が降ります。もっとたくさんの雪景色を撮りたかったのですが、サラリーマン写真家の都合上、うまく休日にチャンスが巡ってきませんでした。しかも寝坊すると、昼には雪が溶けてしまいます。今頃になって反省ばかりしています。  (1978/1/22)

 

京都市電北大路線植物園前   Kyoto Botanical Garden

植物園前の電停は、賀茂川に架かる北大路橋のたもとにあります。ここも広々とした場所で、比叡山の秀峰を仰ぎ見ることができます。
 


(1977/10/16)




I try to catch not only vehicles but also scenery everytime. Adding people is more important, I think.
(My favorite photo)  ↓ 
京都市電北大路線植物園前   上掲と同じ場所です。車両よりも風景を写し込むことに心掛けてきましたが、さらに人物を入れると写真が生き活きとしてきます。小生の好きな一枚です。
 
京都市電北大路線烏丸車庫   Kyoto Botanical Garden ~
 Karasuma Yard

上掲から少し西側で振り返って、烏丸車庫の方角を見ています。北大路橋から西へは、緩やかな坂道になっています。
遠くに幾重にも重なった北山の峰が見えます。
京都市電北大路線北大路堀川   Kitaoji-Horikawa

北大路堀川の交差点でも線路がカーブしていました。電車の背後、北東方向に比叡山が眺める、絶好の場所です。
京都市電北大路線北大路堀川   同じく北大路堀川ですが、上掲より少し東側を見ています。背景のチャペルは幼稚園です。
「臨」の系統板を付けたさまざまな区間系統が走っていました。これは午後の通学時間に合わせた増便と思われます。


(1978/7/15)
 
京都市電北大路線船岡公園前   Funaoka Park

船岡公園前です。大徳寺から千本北大路にかけては急坂が続きます。過去には電車が落ち葉でスリップして、線路から逸脱した事故がありました。
背景左端の山肌に「大」の字が見えます。東から見ているので「ヒ」のように見えますが、左大文字です。


 
京都市電北大路線船岡公園前   平日の朝7:00~9:00は、急行運転がおこなわれていました。13箇所ある電停のうち、5箇所が通過扱いになります。船岡公園前も急行通過でした。
写真は9:00になったので、運転士が急行の表示版を取り込んでいるところです。この時刻から各停になります。
 
  京都市電北大路線船岡公園前
The work to my satisfaction  船岡公園前で、人物を入れた会心の作品を撮ることができました。

References:
京都市交通局「さよなら京都市電」毎日写真ニューサービス, 1978.9.30
鉄道ピクトリアル増刊356「京都市電訣別号」1978.12.10
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%AC%E9%83%BD%E5%B8%82%
E9%9B%BB%E5%8C%97%E5%A4%A7%E8%B7%AF%E7%B7%9A



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