(16) 八事線 |
撮影: 1965~1969, 制作: 2016/1, 改訂: 2024/8 |
市電八事(やごと)線をご紹介します。八事線は1912(明治45)年4月、尾張電気軌道によって開業しました。区間は、飯田街道に沿った八事~大久手~千早(ちはや)です。千早は国鉄中央線の千種駅(旧駅)の東側、約500m南に位置します。同年5月には大久手~今池の支線が開通して、名古屋電気軌道線に接続しました。一方、大久手~千早は、戦時中の1944年に資材供出のため廃止されています。 |
赤色で示すのが、今回ご紹介する八事線です。名古屋市の東部、昭和区内を南東方向に走ります。 緑色は他の市電路線ですが、今池から東側はすでに廃止されていました。 |
八事にある高野山真言宗の名刹、興正寺です。尾張徳川家二代光友公の時代に創建されました。愛知県下で唯一の木製五重塔は、国指定の重要文化財です。 ※寺院の写真より、もっと市電を撮るべきでした。 |
小生railbusが高校生の時に、たまたま撮影した、八事の終点です。道路から入った崖下で、行き止まりになっていました。当時は市電のネットワークが充実していて、[60]系統は名古屋駅前行きでした。 (1965/5/9) |
1968年1月に新しく造られた八事の終点です。道路上に安全地帯が設けられました。 後方、バスの後ろ姿が写っている左奥が、上掲の崖下になります。 線路は飯田街道の上に敷設されています。豊田市(挙母)方面への名鉄バスが頻繁に走っていました。 (1969/11/12) |
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八事~半僧坊前の北東側には興正寺の広大な森が広がっています。背景の門は東門で、ここから入ると、開山堂や大仏への近道になります。 ※地下鉄が開通してからは、寺域の一角に飲食店が建ち、風景ががらりと変わっています。 |
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興正寺の門前でカメラを構えていたら、突然3000型の連接車が現れました。八事線には元々連接車の運用がありませんので、大変驚きました。 |
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続いて、何と1900型が走ってきました。このタイプも八事線には無縁でしたので、続けてびっくりしました。 中学校の遠足で、団体電車として運行された模様です。よく見ると方向幕が「築地口」になっています。八事から築地口への走行ルートを考えると、途中で方向転換が必要になります。楽しい遠足の様子が目に浮かびます。 |
半僧坊前の電停から、北西側を見ています。北側には丘陵地が続いていて、雑木林になっています。 狭い場所なので安全地帯を設ける余地が無く、白線が電停の印です。 |
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同じく、半僧坊前です。電停の前には食料品を扱う商店がありました。市電があった頃を代表する、懐かしさと趣きのある風景です。 |
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半僧坊前~杁中(いりなか)では、田園風景が広がっていました。とても名古屋の市内とは思えない、のどかな場所です。 |
↑(2枚とも) 杁中にて 杁中には北側にカーブした旧飯田街道があり、市電が走る直線道路との間に商店街がありました。写真の後方にある建物の左側が旧道で、1957 年までは市電が経由していた歴史があります。 |
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杁中~山中町です。ここで道路がカーブしていました。画面奥が山中町方面です。 近くの丘陵地に、野球の名門中京高校(旧中京商業、現中京大中京高)があります。 |
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山中町~宮裏の区間は比較的道幅が広く、両側に舗道が整備されていて、プラタナスの並木がありました。 山中町から北西側の区間、線路は飯田街道をはずれて安田通に敷設されています。 山中町~川原通 |
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川原通の電停です。この辺りから人家や商店が増えて、市街地の様相を呈してきます。 |
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安田車庫前です。車庫を背にして、道路の 北側を見ています。 当時は電停ごとに、このような商店や飲食店があり、現在よりも住みやすい町だったように思います。 ※現在、これらの商店はすっかり姿を消しています。 |
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安田車庫の構内です。安田車庫は尾張電気軌道の時代から当所にあり、1974年3月31 日の市電最終日まで使用されました。 ※現在は、市営の老人ホームが建っています。 (1969/5/10) |
1400型のラストナンバー、1475号です。 |
使われなくなった車両も置いてありました。 |
青柳町の電停です。ここから大久手にかけては、道幅が急に狭くなっていてます。白線の引かれた道路から乗客が乗り込んでいますが、安全面のほかに段差が大きいことも問題でした。 (1969/11/12) |
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青柳町~大久手、 突き当たりが大久手の交差点です。 背景の吉田外科病院は、建物が一回り大きくなって健在です。 左の市バスは平針荒池発栄行きの[45]系統です。懐かしい後部3枚窓の日野RB10です。 |
References: http://bidenn.at.webry.info/201312/article_3.html http://www.irinaka.jp/irinaka.html |