ミラノ (2) |
Milan / Italy |
撮影: 1995/7, 制作: 2015/2, 改訂: 2019/11 |
ミラノの続きをお楽しみ下さい。市内には古くからの名所旧跡が随所にあり、そのすぐ脇をトラムが走っています。洗練されたデザインの車両が走るのにふさわしい、絵になる場所がたくさんあります。 |
Colonne di San Lorenzo ミラノで一番古い教会、サン・ロレンツォ大聖堂の前にある列柱の横をトラムが走っています。 ※現在は画面の左側にある列柱の左脇を走っていますが、95年当時は列柱を避けるように右側の広場へ迂回していました。 |
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教会の前には、ローマ皇帝コンスタンティヌス1世の銅像があります。紀元313年、信教の自由を保障する「ミラノの勅令」を出したと伝えられています。世界史の勉強で「再三(313)迫害ミラノの勅令」と暗記したことを思い出します。 車両は1976年に登場したフィアット(FIAT)の3連接車、4900型です。全長は29m、定員が270人の大きなトラムです。 |
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Porta Ticinese Medievale 12世紀に造られた中世のティチネーゼ門を[3]系統のトラムがくぐっています。上掲の列柱の広場からすぐ南の地点です。 前回ご紹介したヌオーヴァ門を含めて、旧市街の入口には6ヶ所に門が造られています。 |
遺蹟の中にトラムの線路が敷かれています。感動して何枚も写真を撮りました。 車両は4800型の3連接車です。旧型車の車体をつなぎ合わせて、1970年代に造られました。全長は28m、定員が280人という大きさから、「ジャンボトラム」の愛称があります。 |
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同じ場所で北側から逆光で撮影しています。線路をよく見ると、ガントレットになっていることが分かります。単線分の用地幅に上下線が分離された4本のレールが敷設されています。 |
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Porta Ticinese (19 secolo) Piazza XXIV Maggio 上掲からさらに南へ下ったところが、「5月24日広場」です。5月24日は、1915年に第1次大戦でイタリアが連合国側に立って参戦した記念日です。1814年、ナポレオンの時代に造られた新しいティチネーゼ門が、この広場にあります。 冒頭の写真もここで撮影しました。 |
「5月24日広場」の線路配置図を制作してみました。南北の線路は、門を避けるように膨らんでいるので、一見すると直進車が曲がって来るように見えます(上掲写真)。 複雑な配置をメモするのに苦労しましたが、要するに4つの方向すべてに短絡線がある、ダイヤモンドクロスの交差点になっています。緑色の四角形は電停です。 |
巨大なティチネーゼ門の前を東西に走る[9]系統の1500型です。車両は端面が斜めになっているので、このように真横から撮影してみて、初めて前後に扉があることが分かります。 背景にサンテウストルジョ聖堂の鐘楼が見えます。時計台としてもミラノ最古の建物です。 |
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右の車両は東(右)から来て、南方向へ左折しています。当時はこの交差点で曲がる営業路線は設定されてなく、すべての短絡線は回送車が使用していました。 乗客の姿がなく、方向幕には、"FUORI
SERVIZIO" (Out of service)と書かれています。 |
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Santa Maria delle Grazie 次は、[24]系統に乗りました。 ここは、マジェンタ通りにあるサンタマリア・デッレ・グラッツィエ教会です。レオナルド・ダ・ヴィンチの傑作、「最後の晩餐」が飾られています。 |
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同じ場所で西方向を振り向いて、もう1枚撮影しました。道幅がやや狭い通りを大きな連接車が進んで行くのは、なかなか良い雰囲気です。 |
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Pza. Brescia 環状線を越えてさらに西へ進むと、市街地から離れていきます。ここはブレシア広場、ここからレールは専用軌道になります。 写真の上部に交差するトロリー線が写っています。これはあとでご紹介するトロリーバスの架線です。 |
Stadio San Siro Piazza Axum [24]系統の終点、アクスム広場に到着しました。右の大きな建物は、サッカーの名門・ACミランの本拠地、サンシーロ競技場です。目の前に何本もの線路があって、試合がある日はトラムで観客を運ぶ体制ができています。 |
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参考までに、Google Mapsの航空写真で見た終点の状況を貼っておきます。何と、8レーンもの線路が用意されていて、それぞれに複数の乗り場が造られています。 |
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Pza. Brescia (Filobus [91]) 最後になりましたが、ミラノのトロリーバスをご紹介します。 トロリーの路線は、トラムの環状線のさらに外側にある外周道路を一周する形で設定されています。元々はトラムを敷設する予定でしたが、現在も実現していません。 環状左回りの[91]系統を、トラムの[24]系統と交差するブレシア広場で撮影しました。 (3枚前の写真参照) |
Pza. Lorezo Lotto ブレシア広場から少し北へ行ったところに、トロリーバスのターミナル、ロレンツォ・ロット広場があります。 IVECO2480シリーズのシャーシにSOCIMI製8843型の車体を架装した、連接トロリーバスです。全長18mの低床構造で、1991年から33台が導入されました。方向幕に、CIRCOLARE DESTRA (環状右回り)と書かれています。 |
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Stazione Centrale Via Tonale トロリーバスは外周道路を通って、ミラノ中央駅にも姿を見せます。この写真は駅東口のトナーレ通りにあるターミナルで撮影しました。 車両はIVECO2470/SOCIMIの12m車で、1980年代に70台が導入されましたが、現在その多くがブルガリアのルゼ(Ruse)へ転出しています。 |
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Fiat2472/Viberti CGE 同じく東口で撮影した超年代物、フィアット2472の連接トロリーバスです。車体は1950年代後半から60年代中期にかけて、ヴィベルティで架装されました。少々見にくいのですが、前部の車体は3軸、後部の車体が1軸の珍しい構造です。撮影当時の車令が、何と30年を超えるヴィンテージ・カーです。車体メーカーのヴィベルティは、現在バスの製造から撤退しています。 以上で、ミラノの巻はおしまいです。 |
References: |
http://www.atm.it/it/Pagine/default.aspx |
http://en.wikipedia.org/wiki/Trams_in_Milan |
http://en.wikipedia.org/wiki/Trolleybuses_in_Milan |
http://fr.wikipedia.org/wiki/Iveco_2480 |
http://fr.wikipedia.org/wiki/Fiat_2470 |
http://it.wikipedia.org/wiki/Fiat_2472_Viberti_CGE |