海外トラム紀行

 ヘント
ベルギー国旗
 Gent/ Belgium
 
撮影: 1995/7, 制作: 2014/12, 改訂: 2019/11 

ベルギーの3回目はヘントです。実は、この都市については旅行前にその名前も知りませんでした。ブリュッセルからオーステンデへ向かう列車に乗っていて、偶然にも車窓からトラムの姿を発見して飛び降りた次第です。駅前は普通の田舎町でしたが、トラムに乗って旧市街に入った途端、あっと驚く中世の城下町の風景が眼前に広がっていました。知らなかっただけに、その時の感激は筆致に尽くせないものがありました。
ヘント(Gent)はオランダ語の読み方で、ほかにフランス語のガン(Gand)も使われています。英語ではゲント(Ghent)です。

Gent trolleybus 
Korenmarkt, Gent

 Gent tram   Ghent tram route 1


ブリュッセルから北西へ約50kmのところにあるヘントの玄関口、国鉄St.Pieters(シント・ピーテルス)の駅前です。駅前広場の西側へ[1]系統のトラムがやって来ました。

 Gent tram   駅前の東角にはお城のような形の建物がありました。トラムは石畳の駅前広場を一周します。
ヘントのトラムはアントワープと同じくLijn(レイン)の運営で、軌間は1,000mmです。車両は1970年代前半に製造されたBN製のPCCカーですが、両運転台方式です。水色とクリーム色の塗り分けはLijnに統合される前のMIVG時代の塗色です。

 Gent tram   駅前から[1]系統に乗って10分ほどで、ヘント旧市街の中心地Korenmarkt(コーレンマルクト)に着きました。大変賑やかなところです。
 Gent tram   振り返るとびっくり!! 忽然と中世の街並が現れました。背景は聖ニコラス教会、右奥に見えるのが絵画「神秘の仔羊」のある聖バーフ大聖堂、いずれも12世紀からの歴史があります。
 Gent tram   コーレンマルクトの広場をPCCカーが次々と通り過ぎます。比較的小さな4枚折戸の車体に、大きなパンタグラフがが良く似合っています。
背景に見えるギザギザの三角屋根の建物は、この地域特有のギルドハウスです。
 Gent trolleybus   ヘントにはトロリーバスの路線も1系統だけありました。1989年にトラムの[3]系統を置き換えたものです。車両は地元ベルギーのヴァンフール(Van Hool)製連接車AG280Tで、20台が在籍していました。残念なことに2009年に廃止され、ブリュッセル、アントワープ、ブリュージュを含む4都市で走っていたトロリーバスは、ベルギー全土から姿を消しました。
 Gent tram   コーレンマルクトから北へ向かって歩き、レイエ川を渡るとフランドル伯の居城(Gravensteen)に至ります。左に見えるのが鎧戸のついた城門です。線路はここで二手に分かれ、城の両脇をトラムが走っています。
 Gent tram   側塔のある城壁の上には凹凸状の狭間があって、今にも城兵がラッパを吹いて出てきそうな感じがします。絵物語に出てくるような西洋のお城を間近にしてトラムが走ります。まさに遠来の旅行者を歓迎するような雰囲気です。
 Gent tram   Gravensteenから[40]系統に乗って、市街地の北へ向かいました。ここはランゲスティーン通り(Langesteenstaat)です。大きなアーチ状の窓がある建物は改修中のカルメル会修道院で、現在は地域芸術文化センターが入居しています。
白を基調とした車両のカラーは、1991年に統合発足したLijnの塗色です。

 Gent tram   さらに奥へ進むと石造りの建物に挟まれた狭い路地を通り抜けます。単線区間のように見えますが、右側の線路がアスファルト舗装されている複線区間です。
 Gent tram   路地を抜けたところがSluizeken(スライゼケン)のカーブです。サイケデリックな塗色の42号に出会いました。
 Gent tram   [40]系統はここMuideburg(マイデブルグ)で向きを変えて南へ向かいます。この系統は後年の路線再編で無くなりましたが、現在は[4]系統がほぼ同じルートを走っています。
ヘントのPCCトラムは6200型ですが、写真の49号のように車体には下2桁のみが表示されていました。
 Gent tram   マイデブルグ周辺は一方循環の単線区間で、ヘント・ブルージュ運河に沿って水辺の景色の中をトラムが走ります。
 Gent tram   [40]系統は市街地の西を大きく迂回してシント・ピーテルス駅に向かいます。Blaisantvest(ブレザントフェスト)通りを走る[40]系統をTolspoort(トルスポート)で撮影しました。最近日本でも軌道に芝生を植える例が見られますが、この旅行で初めて見聞しました。
    ところ変わってここは、市街地の南東方向にあるブリュッセルセポールト通りです。Stelplaats(ステルプラーツ)行きに乗ったところ、だんだんと淋しい郊外の風景が広がっていきました。夕方になって時間の都合もあり、写真のKeizerpoort(カイゼルポート)の電停で引き返しました。後で調べたところ、ステルプラーツとは車庫のことで、しかもあとわずか2つ先の電停でした。まことに惜しいことをしました。

References:
http://en.wikipedia.org/wiki/Trams_in_Ghent
http://archief2009.blogspot.jp/2009/06/zondagvoormiddag-nam-gent-definitief.html 


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