アントワープ |
Antwerpen/ Belgium |
撮影: 1995/7, 制作: 2014/12 |
首都ブリュッセルから北へ、国鉄の普通列車で約30分のところにベルギー第2の都市、アントワープがあります。訪問した1995年当時、アントワープには10本のトラム系統がありました。現在の系統数は12本ですから、あまり大きな変化はありません。ブリュッセルと同様に地下を走るプリメトロシステムも1975年から存在します。トラムを経営しているのはLijn(レイン、英語のライン)という企業体です。ベルギー北部、フランドル地方の交通に関わる企業を統合して、1991年に発足しました。 慣れない言語で書かれた外国の地名を日本語の読みに置き換えるのは大変骨の折れる作業です。まさに「ギョエテとは俺のことかとゲーテ言い」の世界ですが、特にベルギーの場合には使われている言語が蘭、仏、独と複雑なため、カタカナ表記にはあまり自信がありません。多少の間違いはご容赦下さい。都市名の「アントワープ」は広く通用している英語式の読みですが、現在では「アントウェルペン」と現地語の読みで表記することも増えつつあるようです。 |
Antwerpen tram route 24 Carnot(カルノット)通りにあるアントワープ中央駅前の電停です。三角屋根に煙突のある古い建物が並んでいます。 この駅前には[3], [10], [11], [12]及び[24]、合計5つの系統が走っていました。 |
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同じ場所で少し東側から撮影しました。直進する[11]系統の車両は7151号、手前の線路は駅前広場へのループ線です。 |
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駅前広場のループ線を半周する7158号です。この駅前ループには[12]系統だけが入っていました。 右奥の古めかしいBillard Palace (ビラードパレス)Hotelには、その名の通りビリヤード場があります。 |
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中央駅から西へ100mほど歩くと、フランクライクライ通りに出ます。写真はこの通りを南北に走る[12]系統です。交差するライス通りの地下をプリメトロトラムが通っています。 背景のお城のような建物は、ファッション関係の店舗です。 |
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ここは中央駅の南西約2kmにあるHarmony(ハーモニー)の交差点です。右側のBelgiële(ベルギエレ)通りから2両連結の[15]系統が左折してきました。 |
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同じくHarmonyで右折する[15]系統を撮影しました。端面に連結器が付いているのが見えます。車体の高さと同じほどの大きなパンタグラフが、威風堂々とした印象を与えています。ちなみに軌間は1,000mmのメーターゲージです。 背景にある並木道を進むと、次の写真の場所に至ります。 |
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レオポルド広場にあるベルギー国立銀行、アントワープ支店の前です。この建物は建築家アンリ・ベイヤールの設計で、仏シャンボール城を手本に1879年に建てられました。ベイヤールは東京駅を造った辰野金吾にも影響を与えています。 7078号の赤と白の車体塗色は、Lijnに統合される前の運営機関、MIVAのカラーです。 |
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国立銀行前の広場には、レオポルド1世の銅像があります。1830年、オランダから独立した時の初代ベルギー国王です。 今回登場する車両は全てブリュージュにあるBN社(La Brugeoise et Nivelles)製のPCCカーです。1960~75年の16年間に5回に分けて合計166台が導入されました。7000番代の社号が付いていますが、MIVA時代には2000型を名乗っていました。 |
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ところ変わって、ここはウォルストラートにある狭隘区間です。単線区間になっていて、[3], [10], [11]の各系統が一方通行で走っていました。このうち写真の[3]系統は、経路変更されて現在はスケルデ川を越えるプリメトロになっています。 |
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こちらは[10]系統です。リスボンほどではありませんが、アントワープにはこんな路地裏の風景がたくさんあります。 |
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同じ場所にあるオープンカフェで昼食の合間に撮影しました。トラムを見ながら、ゆったりとくつろげる楽しい場所です。 |
ウォルストラートにはバロック建築のチャールズ・ボロメオ教会があります。たまたま結婚式があり、クラシックなバスがやってきました。英Bristol製で、ボンネットの右半分に運転席がせり出したタイプです。 |
流れるような美しい車体は、1950年頃のECWボディーと思われます。申し訳ありませんが、花嫁さんの写真は割愛しました。 |
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ウォルストラートの西にある[3], [10], [11]系統の終点、Melkmarkt (メルクマークト)です。東からやってきたトラムが狭い路地のループを通って、西へ方向転換します。 ところで、Melkmarktとは牛乳市場のことですね。童話『フランダースの犬』を読まれた方は、パトラッシュを連れたネロが牛乳を売りに市場へ来る場面を思い起こすのではないでしょうか? それから彼らは、近くにある聖母大聖堂に行くのが日課でした。 |
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聖母大聖堂は12~14世紀にかけて造られたこの地方最大のゴシック建築教会です。内部にはバロックの巨匠ルーベンスの絵画が飾られています。先程の童話にもその絵画が登場しますが、物語の結末はあまりにも悲劇的ですね。そのため、一番感銘を受けたステンドグラスの写真を代わりに貼っておきます。。 |
聖母大聖堂の前にあるGroenplaats(グルーンプラーツ)から[8]系統のトラムに乗って南の終点を目指しました。ここは終点のLambermont(ランベルモント)です。現在この[8]系統はさらに南のBolivarplaats(ボリファプラーツ)まで延伸されています。 |
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[8]系統の逆方向、Eksterlaar(エクスターラール)行きにも乗りました。先にご紹介した国立銀行の角を東へ曲がり、比較的狭い道を進みます。ここは途中にあるBerchem(ベルヘム)駅前の変則5叉路です。グルデンブリース通りを東へ向かうトラムがやってきました。 |
References: |
http://www.delijn.be/en/ |
http://phototrans.eu/24,1961,0,De_Lijn.html |