海外トラム紀行

ブリュッセル
ベルギー国旗
 Brussels/ Belgium
 
撮影: 1995/7, 制作: 2014/12, 改訂: 2019/11 

ダイヤモンドとチョコレートで有名なベルギー王国を訪問し、4つの都市でトラムに乗りました。首都ブリュッセルから順にご紹介します。
1995年当時、ブリュッセルには15本のトラム系統がありましたが、トラムを運営するSTIBのH/Pを見ると、現在は19本になっています。昔から欧州を代表するトラム天国と申せましょう。特徴的なのはプリメトロ・トラムと呼ばれるシステムで、市街地の中心部ではトラムが地下を走っていることです。トラムとは別に本格的な地下鉄もありますので、トラムが地下1階でその下の地下2階を地下鉄が走る区間があります。


Belgian tram 
Bossaert-basilique, Brussels, 1995/7/7

    Brussels tram route 92


国鉄Schaerbeek(スハールベーク)駅前です。1913年に完成したネオ・ルネッサンス様式の建築物です。重厚な感じがする石積みの駅舎が、王国の栄光を伝えています。
停まっているのは連接車の7752号、Fort-Jaco行きの[92]系統です。

    この駅はブリュッセル市街地の北側に位置し、空港から比較的近いので最初に立ち寄りました。駅前のプランセース・エリザベート広場には3本のループ線が敷設されていて、それぞれの行き先別にトラムの乗り場がありました。
    駅前広場に進入する[93]系統の3連接車です。Bombardier(ボンバルディア)のT2000型低床車で、前年(94年)に導入されたばかりです。3台車3車体の構造もユニークですが、新奇なデザインのフロントマスクがどこかオバQを連想させます。ドア部分のみ青く塗った黄色の車体色は、1990年代のカラーです。
    Schaerbeek駅から300mほど南へ行った交差点に、Princesse Elisabethの電停があります。写真は駅に向かう[56]系統で、黄色の塗色ですが1970年代に造られた車両です。
この[56]系統は市の南北を貫いて走っていましたが、2003年に南西側の終点Erasme(エラスム)まで地下鉄が延伸されたのをきっかけに、最近廃止されました。

    地理的な情報を持ち合わせてなかったので、プランセース・エリザベートから適当に選んだ[52]系統に乗車しました。
ここはその終点、Esplanade(エスプラナード)です。奥に見える歩道橋に登ってみましょう。

    何と!!、終点の奥には何本もの電留線があり、それらを囲むように造られたループ線がありました。
軌間(線路の幅)は、標準軌の1,435mmです。細身の車体が線路幅いっぱいに載っている様子がよく分かります。

    ループ線を回る7909号です。7900型は4台車3車体の連接車で、前後にパンタグラフを装備しています。1970年代の後半に造られました。尚、この型式は両運転台車なのでループ線は不要ですが、ループを使うと転換作業が楽にできます。
    Esplanadeから公園の中を西へ500mほど歩くと、別線の終点Heysel(エゼル)に至ります。ここへは[23]と[81]系統がやって来ます。背景にある不思議なタワーは、アトミウムです。1958年に開催されたブリュッセル万博のモニュメントで、鉄の結晶構造即ち体心立方構造を表現しています。ちなみにこの万博は戦後初めての開催で、テーマは「科学文明とヒューマニズム」です。
    アトミウム展望台からの眺めです。右側にトラム終点のホーム、2面4線が見えます。また中央に写っているオレンジ色の車両は地下鉄です。当時はここHeyselが終点でした。路線番号1Aと称していましたが、現在は系統番号で6番と呼ばれています。画面奥では、地下鉄の延伸工事が始まっていて、ここから地下区間になることが分かります。
    次に乗ったのは[19]系統です。この路線も適当に選んで乗ったのですが、市街地の中に大きな森があり、その中を走るトラムはまさに感動ものでした。
ここはコクルベール地区にあるエリザベート公園の森、Besme(ベム)という電停です。冒頭の写真はその西隣にある、Bossaert-basiliqueで撮影しました。
    すぐ近くにコクルベールの国立大聖堂があります。国王アルベール1世の命により1905年から建設が始まり、1969年に完成しました。アール・デコ様式の寺院としては世界最大級の偉容を誇っています。
    オピタル・フランセ通りをGoffin(ゴファン)に向かって走る[19]系統です。後方に、緑青で覆われた大聖堂のドームが美しく輝いています。
車両は7900型、先頭のパンタグラフがスマートな連接車体に良くマッチしています。

    炎天下、美しい街並を求めて歩きました。ここはジョス・ゴファン通りです。右側にギルドハウス風の建物が写っています。
 
    さらに進むとSchweitzer(シュバイツァー)の交差点に出ます。「密林の聖者」と呼ばれた博士の名を冠した広場があります。奥の建物は由緒がありそうですが、単なる事務所と住宅でした。
写真の車両はちょっと古めかしいPCCカーの7062号、全席が前向きシートのボギー車です。片運転台ですが後部に小さなコントローラがあり、入れ換え作業をすることが出来ます。



ブリュッセルの路線網は余りにも広大で、北西部のごく一部のみの訪問となりました。行き当たりばったりの乗車でしたが、十分満足することが出来ました。
 
上掲の[82]系統に乗って街の中心部へ戻りました。ここは国鉄Midi(南)駅の駅前です。南駅は高架になっていて、その下にトラムの乗り場があります。丁度[56]系統が画面手前のターミナルに入って来るところです。
尚、この先の南駅とNord(北)駅の間は地下区間になっています。
 

References:
http://www.stib-mivb.be/index.htm?l=en
http://www.simplonpc.co.uk/T_Brussels1.html


Next ContentsTop Page


Copyright© 2014 railbus All Rights Reserved.  
写真及び文章の著作権はrailbusに帰属します。無断転載を禁じます。