海外トラム紀行

 リスボン (1)
Lisboa tram
 Lisboa/ Portugal
 
撮影: 1995/7, 制作: 2014/11, 改訂: 2019/11 

インターネットが普及する前の時代、我々が得られる海外の情報は極めて限られたものでした。2軸のポール集電のトラムが坂道を駆け登っている映像をTVのコマーシャルで見たことがあり、ただそれだけの情報を元にポルトガルを訪問しました。日本からの直行便が無いので、チューリッヒで飛行機を乗り継いでリスボンに到着しました。期待に違わず、リスボンにはオールドタイマーが走り回っていました。
最初に乗車したのは[18]系統です。この系統は、リスボンの中心地であるバイシャの南、テージョ川に面したアルファンデガから、カルヴァーリオを経由して西部の丘にあるアジュダ地区まで走っていました。トラムを運営しているCarris(カリス)のH/Pによると、起点がカイス・ソドレに変更されてますが、現在もほぼ同じルートで運転されています。


 
Ajuda, Lisboa, 1995/7/3

    Lisboa tram route 18


Alfândega(アルファンデガ)からテージョ川に沿って西へ進むと、「4月25日橋」のたもとにあるCalvário (カルヴァーリオ)に着きます。ここから[18]系統は右折して丘の上にある Ajuda(アジュダ)を目指します。電停に停まっているのは途中の Boa Hora(ボア・オーラ)行き区間系統です。TVのコマーシャルで見たコカコーラの電車が、目の前にいました。
    Calvárioから長い坂道を登ったあと、いったん下り坂になります。ここはアリアンサ・オペラーリア通りの坂下にある Rio Seco (リオ・セッコ)。 トラムの後ろにはクルマが数珠つなぎになって、まるで大名行列のようです。
777号は1980年代に車体更新されたワンマン車両です。進行方向の左側(道路中央側)には乗降口がありません。
    アリアンサ・オペラーリア通りの角を曲がると、再び急な坂道になります。遠くにテージョ川に架かる「4月25日橋」が見えます。自転車の少年が車体につかまって楽をしています。
坂道の多い系統で走っているのはすべて8.5m級の短尺2軸車ですが、強力なモーターを2個搭載しています。

    坂道を登り切った先で、教会のある小高い場所に出ました。ここは Boa Hora(ボア・オーラ)。待避線が設けられていて、ここで折り返す便があります。
欧州では多くの車両が片運転台タイプなので、方向転換にはループ線が必要ですが、742号は両運転台の車両なので折返しが可能です。

    Boa Horaから狭い道路を何度も曲がって、線路はピカ・ド・マルケース通りに入ります。無賃乗車する子供たちを見かけました。事故が起こっても自己責任なのでしょうか、良くある光景で誰も気に掛けていません。
    上記と同じ場所です。カーブを曲がってくるトラムの前を、悠々と老人が歩いています。一幅の絵になるシーンでした。
 Lisboa tram   カルサーダ・アジュダ通りの急坂を貸切電車が登って来ました。左にあるのはアジュダ宮殿、背景にはテージョ川がよく見えます。
この548号は1924年、日本式に言うと大正時代に造られた骨董品です。

 Lisboa tram   上掲写真の場所で反対方向を撮影しています。アジュダ宮殿の前の坂道がしばらく続きます。
 Lisboa tram   アジュダ・アスセナス通りの突き当たりにある[18]系統の終点、Cemitério Ajuda(アジュダ霊園)に到着しました。冒頭の写真もここで撮影しました。終点には片運転台の車両を方向転換するためのループ線が設けられています。
 Lisboa tram   ↓ここから先は[15]系統です。麓のCalvárioに戻って乗り換え、Belem(ベレン)を訪問ました。

[15]系統はテージョ川に沿って平坦な道を走ります。背景は有名なジェロニモス修道院です。この系統では12m級のボギー車が使われています。
 Lisboa tram   ジェロニモス修道院の近くには宮殿やベレンの塔などの観光名所があります。そのベレンにあるループ線で、トレーラ173号を見つけました。すでに現役では無かったようですが、動かせる状態でした。この車両は何と、今もこの場所に台車をはずして保管されています。尚、ループ線は現在使われていません。
 Lisboa tram   新しく[15]系統に投入されたばかりの低床式連接車が、ベレンのループ線に入ってきました。独Siemens製ですが、車体は日本の川重が担当しています。
 Lisboa tram   [15]系統の終点、Cruz Quebrada (クルース・ケブラーダ) です。右奥に見える狭い道を抜けてやって来ました。
この358号は1930年代に車体更新で造られました。リスボンは街全体が博物館のようなところです。

 Lisboa tram   森の中に造られた方向転換用のループ線にトラムが入っていきます。
当時、[15]系統はここQebradaが西の終点でしたが、のちに途中のAlgés(アルジェース)までに短縮されています。





リスボン (2) へ続きます。




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