(6) 芭石鉄道 その1 |
四川省犍為県 / 中国 |
撮影: 2013/3, 制作: 2015/6 |
四川省の省都・成都から180kmほど南にある犍為県に、芭石鉄道があります。1938年に英国との共同出資による嘉陽(Jiayang)煤砿が開発され、産出された石炭を運ぶための鉄道が1959年に、芭溝(Bagou)と石溪(Shixi)の間に開通しました。以来、運炭だけでなく地元の人々の貴重な足となっています。国鉄線に接続しない山奥の独立路線で、地図にも記載が無く、その存在はほとんど知られていませんでした。2003年に廃止の計画が発表されたのをきっかけに、にわかに保存運動が起き、現在は観光路線として脚光を浴びています。全長19.8km,
軌間762mmの狭窄鉄道で、嘉陽小火車と呼ばれています。 |
Jiayang Narrow Gauge Steam Train (Bashi railway, Sichuan province) Shixi 芭石鉄道の北端、石溪駅です。芭溝鎮で産出した石炭は、馬廟から馬辺河を使って船で運んでいましたが、1958年にダムが出来たためこのルートが使えなくなり、岷江のほとりにある石溪まで鉄道を敷いた歴史があります。ここには機関区がありますが、「謝絶参観」でした。 以下、線路に沿って南の奥地へとご案内します。 |
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石溪と躍進の間は電化されていて、凸型の電気機関車が貨物を運んでいます。 |
同じく、石溪と躍進の間の電化区間です。客車列車は、蒸気機関車が牽引しています。ターンテーブルがないので、下り列車は機関車が逆向きになります。 |
芭石鉄道は、沿線の炭鉱設備などとともに、四川省人民政府の工業遺産リストに登録されています。 |
Yuejin 沿線で最も賑やかな三井(Sanjing)の町にある躍進(跃进)駅です。駅名は、1950年代末の「大躍進時代」に因んで付けられました。 観光客が増えて、駅も立派になりました。 地元の人達は皆、大きな竹籠を背負っています。 |
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沿線の焦坝と黄村井にあった炭鉱はすでに閉山になってしまいましたが、躍進にある三井砿は現在も操業を続けています。先にご紹介した電気機関車がここまで入ってきます。 |
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三井は起伏の多い町なので、荷物の運搬に驢馬が使われています。その後ろを凸電が通り過ぎて行きます。 |
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躍進駅に観光列車がやって来ました。この便はここで折返しになり、再び山奥へ向かいます。 |
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観光列車を入れ替えしています。初代の観光用客車は、落ち着いた茶色に塗られています。 |
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機関車はC2型、軸配置0-D-0、補助輪の無い4軸構造をしています。 河北省・石家庄の動力機械廠で造られ、訪問時6輛が在籍していました。 |
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機関車の内部を見せてもらいました。中央に罐(カマ)が鎮座し、シンプルな配管とバルブ、圧力計が配置されています。 |
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何度も入れ換え作業が続きます。最近、欧州の機関車に似せて、車体に派手な色を塗るようになりました。 |
こちらは10号機です。流し撮りで撮影してみました。 |
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躍進から蜜蜂岩方面に歩いて行くと、竹藪があります。熊猫のふるさと、四川という雰囲気がします。 時刻表に無い貨物列車が突然現れました。 |
上掲の場所の近くです。菜の花が満開の写真を狙っていたのですが、残念ながら盛りを過ぎていました。冒頭の写真もここで撮影しました。 |
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しばらくすると、10号機に牽引された観光列車がやって来ました。 |
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客車は明るい水色の新造車です。どうしても機関車と不釣り合いな感じが否めません。 実は、この観光列車に乗る予定でしたが、満員で切符が取れませんでした。このため一般の定期列車に乗ることにしました。 |
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定期列車の運賃は5元です。切符は、左に写っている車掌さんから買いました。 |
定期列車の車内です。満員の乗客でほとんど身動きが出来ないすし詰め状態でした。 |
車内には座席が数席しか無く、乗客は立ちん坊です。 重い鉄の扉があって、まるで護送車のような感じです。しかし観光列車では味わえない、得難い体験でした。 「芭石鉄道 その2」へ続きます。 |