(5) 河南省建材廠の小火車 |
荥阳(シンヨウ)市 / 中国 |
撮影: 2011/1, 制作: 2015/6 |
ナローゲージ(窄軌)の蒸気機関車を紹介します。場所は、中国河南省・鄭州の郊外にある荥阳 (シンヨウ)です。日干し煉瓦の原料となる粘土を輸送するために造られた軌間762mmの専用軌道で、C2型と呼ばれる小さな蒸気機関車が活躍していました。 |
Xingyang Brickworks Railway (Henan province) 2011年1月9日、まだ夜が明ける前ですが、建材廠の機務段(機関区)を訪問しました。C2型蒸気機関車がすでに仕業準備に入ってました。 |
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余りの寒さに給水栓が凍り付いていました。藁束を巻き付けて、火をつけています。 |
東の空が少しずつ明るくなってきました。給水栓が使えるようになるまで、もうしばらく時間がかかります。 |
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やがて、勢いよく水が出てきました。テンダー(炭水車)にたっぷりと補給しています。 |
職員の皆さんが入念に準備をしています。昨日は機関車の調子が悪くて午後から運休だったそうですが、どうやら幸運にも今日は走ることが出来そうです。 車体には乾いた土埃が付いていて、フラッシュの光を受けて白く光っています。 |
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一番列車が索河大橋を渡るところを見に行きました。採土場から粘土を満積して、工場の方向へ走っていきます。少々暗かったのですが、本日のメインエベントです。冒頭の写真もここで撮影しました。 |
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←とにかく寒い朝でした。橋梁の下の池は氷が厚く張っていて、氷上で作業が出来ます。 |
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C2型機関車を機務段で撮影しました。全長10.9m、軸配置0-D-0の小さな機関車です。 当日は、この機関車1両だけが稼働していました。本体の車号は07号ですが、207号のテンダーを連結しています。 正面に森林鉄路局のマークが付いています。蔵重信隆氏の文献※によると、この機関車は、1984年に貴州省貴陽市の林通砿務局から購入したものです。 |
これが製品の日干し煉瓦です。乾燥させるための穴が たくさん空いています。これで果たして強度が保てる のでしょうか? |
製品を運ぶのにオート三輪が使われていました。山東省にある農業機械メーカー、五征集団の製造で、2008年製です。 |
機務段の近くにある踏切を、テンダーファースト(逆向き)で列車が通り過ぎていきます。道端に無造作に煉瓦が積んでありました。 |
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採土場から次の列車がやって来ました。昨日の運休分を取り戻すかのように、機関車はフル回転です。 |
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貨車には、人の頭ほどある粘土の固まりが積まれています。近くで撮影しているとバラバラと落ちてきて、大変危険です。 貫通ブレーキが無いため、要所要所に作業員が乗り、手動でブレーキを操作します。 |
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採土場へ向かう線路は、途中で渓谷のような場所を通ります。ところどころに、煉瓦で造ったアーチ橋があります。 |
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アーチ橋をくぐって、列車が近づいてきます。 深い谷底になったこの場所へ降りるのに、大変苦労しました。 |
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こちらは上掲とは別の場所にあるアーチ橋です。文化大革命時代のスローガンが書かれています。「提髙警惕保卫祖国」(警戒心を強め、祖国を防衛しよう)と言われると、ちょっとびっくり、身構えてしまいます。 |
アーチ橋の上から逆光で列車を俯瞰撮影しました。力行する機関車は、車体全体が蒸気に包まれています。迫力のあるシーンが撮影出来ましたが、配管に漏れがあるのかも知れません。 |
↑撮影中に列車が停まり、貨車に乗せてもらいました。これは貨車からの眺めです。 ←貨車の上には先客が居ました。地元のTV局「鄭州電視台」のレポーターとカメラマンです。尚、帽子の4人は作業員です。 |
終点の採土場の風景です。蒸気がいっぱい立ちこめて、なかなか良い雰囲気が出ていました。 |
ドレインを目一杯放出しながら、上り列車が 採土場を出発していきます。 |
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中国の運転士さんたちは、大変フレンドリーです。笑顔で挨拶して下さいました。 |
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最後に、夜の機関庫を訪問しました。ここにも文革時代のスローガンが掲示されていました。「鞍钢宪法万歳」、1960年代の鞍山鋼鉄の生産管理方式(憲法)を称える文言です。建材廠が
国営企業だった時代にタイムスリップして、今にも紅衛兵が現れそうな気がします。 予備の機関車が置いてあって、よく見ると207号と書いてあります。昼間稼働中だった機関車に連結されていたテンダーと、本来ペアとなるべき機関車の本体です。 ※207号, 07号の2両の他に、かつて007号が在籍していましたが、すでに廃車されています。 |
河南省建材廠の専用軌道は、訪問の翌年、2012年11月に廃止されました。観光鉄道として保存する計画がありましたが、残念ながら実現せずに廃線となってしまいました。 訪問に際しては、丸谷洋一氏並びに一路順風!氏の両先達に大変お世話になりました。お名前をクリックすると、お二人のホームページにリンクします。ぜひご覧下さい。 References: http://www.sy-country.co.uk/ ※ 蔵重信隆 「河南省建材廠専用線」 レイルNo.69, プレスアイゼンバーン, 2009年7月 |