各バージョン状態を紹介する。
早速、紹介にうつる。先は長いからさ。
僕の手元に来た時の初期状態がコレである。(最初ということでVer.1とします)
こんなポンコツ見たことないわ!
というのが最初の第一印象です。
ただし、何か心の中で「光るもの」があったことは確かです。
直せるのではないかと思う、いわゆる直観力。

一見しても最悪以外の何物でもない。どこまでいっても埃、ゴミ、朽ち果てた状態。ボロボロ。タダ同然で入手した代物です。
こんなものは旧車なのだから普通レベルじゃんと言うだろう。朽ち果て色褪せ、不具合に発展する事象等々なんでも発生しているのが上の写真。
さらに分解が進んで最悪状態を決定づける事件が多数発生する。
冷却水は抜けきって、ガソリンもなし、ブレーキフルードもなし。油脂類は全滅。キャブもシートもフレームもタンクもダメ、ダメのオンパレード
フロントフォークオイル漏れもあり、まさに単なるゴミレベルの個体、それが改修整備前のFZR250Rだった。
少しでもおかしな点がある場合、マジに買ってはいけない領域の車両個体である。
それをあえて買ったのは結局安さ?ではなく付き合いというものです。
もっとも、書類付きでなければマジに買わなかったと思います。ここまでサビて汚い車両は結局工数を考えると赤字だからです。
後は、僕の過去の思い出をとるか、それとも捨てるか?といった選択肢の中で悩んだことくらいでしょうか。
そのあたりの気持ちをしっかりと受け止めてくれた個体であったことは確かでしょう。
現に今、走り出して元気いっぱいなのですから。
途中、中古部品をフル活用して走行できるようにしたのがVer.1.1でスラローム練習や一本橋練習を重点的に行う仕様としたのがそれです。
練習をする過程の中で、各パーツの損傷状態を確認することで旧パーツの動きを人間が学習できるという意味で途中復活させているという仕様になります。
この頃は、大型自動二輪免許を取得する頃だったこともあって、ある場所に練習に向かうのですが実に楽しかったと思っています。
仕事から帰って、夕方から数時間コソ練していましたね。誰にも称賛されるわけでもないですが、ライディングの基礎を学びだした頃とも言えます。
幼少のころ自転車に乗る練習をしたことと同じですね。ガムシャラになって練習して乗れるようになる。
スラロームや一本橋はマジに楽しかった。一生の宝物になるかもしれません。
Ver.2.0へ
作業着手から数年経過しているが、現在の仕上がり率は70%程度。おそらくこの時点で、Ver.2の完成領域に達していると思われるためこの辺でご覧に入れることにしましょう。
完成という言葉は実際にはまだまだ先です。(僕が死んでも完成は訪れない可能性があります)

フロントフォークボディのフルオーバーホールと塗装形態を変更したもの。コソ練Ver.1.1で学習した各パーツの能力。この状態では、サビを少し取った程度のお粗末仕様でして、ふにゃふにゃの足でした。正確にはスプリングだけの減衰でピョコピョコ跳ねてしまいます。
走行状態としても非常に危険だったため、ストレートであっても安定した走りは期待できませんでした。
Ver.2は、ライディングで変な癖がつかないようにするため、それからオイルシールからフォークオイルが漏れてきていますからこれを完全に修理したうえで載せ替えることにしたわけです。
フロントフォークの安定化はスラロームや瞬間的なブレーキングに大変効果的です。荷重変動を抑えることで(ゆっくり動くけどね)
4輪とは異なる動作をすることになる。そこを考えて走るようにすると、劇的に操作性が良くなる。
カンが戻りやすいという意味もある。
Ver1.1で慣れるといかにお子ちゃまクラスで走っていたか理解できると思います。
4輪でいうローダウンした感覚とでも言いましょうか。走ることが楽しくなります。
一度Ver.1.1へ戻ります

シートを外した状態で、どのように変化しているか分かるかと思います。
修復前はやはり「ボロ」です。修復しようとも思えないくらいの朽ち果て方です。
修復後は大分綺麗にパーツが収まっていると思います。バッテリーが装着されていませんが、日本メーカーのものを注文中です。
ボルトナットも最大限再使用しています。しかしサビているため、強度が保てないクラスのボルトナットは再使用せずSUSナットで構成変更してあります。
ハイテンボルトが用いられているところは当然、純正パーツを取り寄せてそれを活用しています。
外装になるカウル類も少し磨いてあります。
走りはやはりフォークオイルも抜けきっていますので練習にはなるものの、不安定さは隠しきれずちょっと危険かもしれません。

フューエルポンプ周辺とキャブ周り。この辺りは劇的に変わっているところかと思います。
サビサビの状態からここまでレベルアップできるのは、やはり実経験を生かす力だと僕は思います。
最近、ヤマハ純正パーツで再販したところもあるため、もちろん有効に活用させてもらっていますがそれでも他メーカー経由で頼んでしまいます。
値段が違いすぎるし、無理して純正にこだわらなくても別に問題は起きない。
Oリング、ホース類、パイプ類等ゴム系パーツは全てダメだったから規格に合うよう揃えておいた。
クルマ用パーツが流用可能だしあえてバイク用として購入する必要もない。
そうしたところが、4輪出身整備人の強みなのだと思います。
電装系も全くの不動で、バッテリーから正常電圧を供給しても微動だにしなかったです。
元が電子技術屋でもある僕です。いろいろ工作しながら突き進んでいってやっと各所が起動、駆動するようになったとも言えます。
燃料ポンプからのガス漏れ。これには困ったものの、対策品をすでに搭載してエンジン起動に成功している。

電装系もほぼ全てのパーツがNGだった。IGコイルは使えるかと思ったがそれもダメで、内部構造自体は問題はなかったもののプラグコードが硬すぎて再使用できない。一時的に中古パーツで対応したが後にそれは取り外して再整備に回す意味で保管中である。
今は、新品のIGコイルを載せ替えてある状況です。点火系は中古品はキツイと思います。
現在は、ヤマハ純正部品の入手は不可能です。廃番になっています。(別ルートはありますが、どうにか入手できるかもしれません)
インナーフレームに防錆処理対策を実施しています。末永く乗れるようにするためです。
僕にとって「本物」といえる防錆処理剤はひとつしかないと思っています。長年の経験とカンがそう言わせています。
分解前の状態は、マジに汚くサビだらけ。殆どの方はこれを見て修復を諦めるだろう。
サビが広範囲に及んでいるパイプ類が見えるが、このパーツはもう入手できない。だから絶対的な補修、修理が必要になる。
この補修方法が大変に難しい、難易度の高い技術を要求される。最終的には薄物溶接しかないかもしれない。
各写真を見て思うが、前オーナーはサビさせるプロと思わせる。野外路駐状態だったのだろうが、それでも個体を愛していない証拠が各所にあった。
この前オーナーのことを叩き殺してやりたい気分になるのは僕だけではないと思います。
冷却水に関しては、SLLC化することは当然ですが、希釈する水は必ず工業用精製水を活用すると良い。
エンジンに負担をかけることなく、防錆効果も向上します。
工業用精製水はAmazonなどで購入できますので、ぜひ活用願いたい。
過去競技業界では必須アイテムだった精製水だが最近になって一般人のレベルまで下りてきた感が強い。最近の仕様書にも整備解説書にもLLC交換の際は工業用精製水を用いるようにと記載があります。

エンジンハンガーもサビ付きが酷い。クラッチケーブルステイもサビで折れそうになっていた。ハンガーについては次回エンジンチューンを行うときに防錆処理を行い再装着する予定です。
ラジエター本体も最初からついていたものはあまりにも危険すぎたため、中古パーツを流用して取り付けた。かなりボロだったが最初の品よりはずっとマシです。
やはり、放置プレイは車体個体に悪影響すぎることが分かる。中古パーツを再生しつつ防錆処理も追加して対応すると後々の経年劣化は最小限で防げる。油脂類の交換も定期的に行うことが求められる。
通常整備、一般整備とは大きく異なり、エンジンや内部パーツ含め、内側から整備するのが当たり前に思えるかもしれないが、ここまで状態が悪いとサビ落としから始まり、外から内へ作業進行していくことをお勧めする。
いきなりエンジンオイルを抜いて、から始まると余計な心配が起こりうるし、オイルレベル窓から状態が見えるからそこからまず見極めるのが良いと思う。
この話はレストアをメインにしているプロはいろいろと工数を考えるが、かなり重要になる。
ある程度埃やゴミ、サビを取り去ったら、ここで初めてエンジンオイルを抜いて状態確認を進めています。それからオイルフィルターは必ず純正品を用いること。安いパチモンフィルターの場合、間違いなく油圧も低下しカーボン等々のフィルタリングは不可能です。
その点、純正フィルターはしっかり濾過してくれます。最低でも3個は欲しい。つまり3回は新油で洗ってほしい。
電装品やブレーキは?
電装品はほぼ再使用方向にしています。ただし、ポン付け交換はできませんので分解修理調整を繰り返しています。
クラッチスイッチは特に状態が酷かったため新品交換(中華のボケパチモンではない)、IGコイルも新品です。点火系、エンジンコントロール系に直結するところは徹底的にオーバーホールと調整を繰り返しています。

今日は、HPを書きながらコカ・コーラを飲んでいる。数年ぶりに飲んだような。何故こんなにもクソ不味いものを飲みたくなるのか分からないが、何故か数年に一度飲みたくなる。不思議だ。
上の写真はフレームやステップ、冷却水交換後(よく見ると内部スラッジが排出されている)ブレーキフルード、タンク類全て新品交換になっている。
また、単なる新品部品構成ではなく、リペアキットで殆ど対処しているため予算は限りなく少なく済んでいるのである。
良く見るとSUSボルトに交換されている箇所が多数あることが分かる。
前ページに書いたが、キャリパーは再使用できないためリアブレーキキャリパー新品、フロントキャリパーはbremboにした。
ブレーキホースもステンメッシュの特殊型を作成した。

フロントフォークのオイルは最初から漏れていた。オイルシールもひび割れ使い物にならない。
問題はかなり多く、早急にフルオーバーホールを実施しなければ走行安定性に支障が出るほどの不具合だった。
点サビどころのレベルでなく、修正も不可能である。メッキから終わっている状態だった。
パイプインナーになるのだろうが、メッキのグレードをもっと上げておくべき箇所であることは間違いない。アウターケースはまだ塗装修正していない。
ブレーキホースもまったく使い物にならないため、メッシュホースを特殊型として製作してそうちゃくしてある。
純正ホースが入手できれば、そちらを使用することになったと思うがすでに廃盤のため仕方なくだが専用品を独自で製作している。
バンジョー類もアルミは使用してはいけない。必ず強度不足でヤバいことになるからである。僕はアルミは一切使わずSUSを多用している。
アルミとブレーキフルードとの相性は最悪である。(水と反応したときがとくに不味い)

タイヤは練習で使い切ってそのあと新品タイヤに付け替える。その予定でホイールとタイヤそのままにしてある。ブレーキとローターは分解して修正してキャリパー自体も新品に付け替えた。ホイールについては後々塗装する。
ローターもいずれは新品に交換しなくてはならないだろう。
キャリパーもいずれはフルオーバーホールしなければならないが、リペアキットなどを用意しておくことで対処可能。
ローター本体は規定範囲内のため、もう少し使用したいと思います。
リアローターに関しては、メジャーなパーツがサードパーティ製で入手可能。しかも日本製である。中古パーツもあったため程度の良いものをストックしてある。
ブレンボはブレーキメーカーの中でもリペアパーツに特化したラインナップを展開しており、数十年前の部品でも入手可能なところが優れていると思う。
国内メーカーも見習うべきところだ。重要保安部品でもあるし、仮に生産廃止という言葉ではなく特注で製作可として対処できるようにするとか
方法はいくらでもあるはずだ。
それすらもしない自動車、バイクメーカーは良くないことの証明になると僕は思う。さっさと新しいものを買わせるための手法になっているのが分かる。
市場流通の原則とはそういうものなのだよ。と言わんばかりに。
違うわ。ソレ。日本はおかしな役人と政治家が多すぎる。新しいものは良い?それだけではない。古いものを大切にする心を認める姿勢がないのが日本。マジクソ日本と思う。
米国や英国にあこがれるわ。物を大切にする文化があるからさ。
税金優遇も受けられる。そんな世界があるのである。
この頃あたりから大分走り出す雰囲気を見せるようになった。しかし修復作業になかなか入れない日が続く。ボルトナットから手を加えるため修復作業も時間ががかかるというものだ。丁寧に仕事しないと正確には直ったことにはならないから、妥協せず突き進むことにする。
ホイールについては、塗装するため作業手順としては後になる。しかし、ベアリング関係、スピードメーターギアなどの駆動系は全部直してから組付けしないと正常には走れません。
ギアリンケージ
シフトシャフト系の整備も楽ではない。この部分はドライブチェーンやフロントギアの状態を確認するために何度か分解している。
見た目は大したことはないと思いますが、中身は結構それなりのパーツ数です。
ギア選択で重要な動作を示す部分だけにポンチマークを頼りにセットします。
ゴムパーツについては、新品交換です。部品自体が消耗して無くなっていたから、ここはあえて純正パーツを多用して修復。

Ver.1.1の終盤でおおよそ走行可能な状況に変化する。エンジンや新品タイヤ交換についてはもう少し後になります。
チェーンも元々はサビサビで動きませんので、ここも新品部品で対応しています。スプロケットもダメなので、一時的に再使用としていますが後に交換対応しないとかなりキツイ状況になります。
とはいってもアルミスプロケットでは消耗もしますから、あえてスチールスプロケットは予備部品として保管しておきます。
エンジン起動後、少しだけ走行してきたがラジエターホースは古くコシハリがないため冷却水の若干のモレがあったため最近の規格ホースを代用して取り付けてあります。
しかし、ウォーターポンプ直下のホースサイズが異形なのでここを大幅にカスタマイズして取り付けてしまう予定です。
この作業工数は必ず入れておくべき部分です。ヤマハ自体がなぜ異形ラジエターホースを採用したか?
それはコストダウンのため。昔はホース自体もワンプライで製造してパーツ一点でも削減していた。
でもね、そういう作り方は後々になってダメ設計と言われる。
そうならないように工夫して図面から始まらないといけないと僕は思っている。
いろいろ書いたが、走り出した結果、やはり修正箇所が山積みとなってきた。
フロントフォークのフルオーバーホールに、タイヤ交換、冷却水周りの改造、不安要素の残っているOリング、ガスケット交換。
エンジンの健康状態を図るべく、後付けメーターの充実。
そんなところです。
さらなるバージョンアップを実施します。
ヤマハFZR250Rver.7フルレストア 製作委員会