実際の大きさは K6Aよりもひと回り以上に大きい
F6Bエンジン分解準備、そして待つ
さて、F6Bエンジンの発注を済ませたわけで、到着を待つばかりとなりました。
やっと見つけた貴重なF6Bエンジンです。どんな形をしているのか、本体の状態は本当に良好なのかといったことを考えつつ楽しみに待っておりました。
着予定日はある程度分かっていたものの、しかし待てど暮らせど一向に届かないのです。
不安に思った俺は、Iさんに連絡をとってみました。Iさんの回答は「何時いつに発送しているとのことでそろそろ到着してもよいのではないか」とのことでした。
Iさんの解体業者はとても親切であり丁寧な仕事と取引をモットーにしている会社さんです。ですので嘘偽りはないと思います。
発送伝票番号を検索してみますと「配達中」になっている。「配達中」であれば近所の配達店から持ち出されていると判断できそうなのでもう少し待ってみることにしました。
早々に到着するものとばかり思っていたのですが、結局予想に反してさらに2日以上時間経過。
まだ、到着しない。考えた結果、その配達業者に連絡してみることにしまして内容確認したところ、聞いてみて大正解、というか予測していた回答が返ってきたのです。
「エンジン重量が大きいために一人では持ちきれない」というのが理由でした。
「何やってんだか・・・」だから地方業者はアホ扱いされるのよ。すこし連絡もらえればこちらから引き取りに行ったのに。
重量物って分かってんだからさ、最低でも人員二人は用意するのは常識だろう。それに人員用いて運ぶなんてできないから、機械的にリフトアップするのは当然だろう。
フォークリフトがなくても最低300kg対応の小さいリフターくらいあるだろって話だ。
それに俺はその免許も取得しているし、個人で対応もできるっての、アホ。
どうやって、降ろしたらよいでしょう・・・なんて泣きが入っているのも分かったが、そんなもんはお宅さんが考えればよいだけね。
重量物を取り扱う業者なんだから。
俺は、そのF6Bエンジンを持ってきて貰えれば自分で何とか運びますよと念を押しておいた。
しかし、何故重量物を作業員一人で持たせるのだろうかと、大いに疑問に思った。相当な重量(とはいえ軽自動車のエンジンだから軽い方)であるのにトラックにリフターつけなければ品物運べないよ、それ。と返答したが
「リフター付きのトラック、うちは持っていないんです」(大嘘発言、言い訳)
で、そんなやりとりをしていた次の日に、ボロいトラックで作業場の鼻先まで持ってきたんですね。馬鹿面丸出しで。
予測通り、作業員一人で持ってきましたわ。可哀そうに。どうなっているのやら、もはや見当もつきません。発送業者というのは、無理難題を解決できる強靭な体力と精神力をもっていいらっしゃる。ということなのでしょうか?
未だに謎、理解不能のままです。
その時の実況中継開始
困ったことに、ボロいトラックで荷降ろし場所に到着。問題はここから・・・。かなり年食ったおっさんが一人降りてきて困惑したのだそうだ。
俺はその日仕事でその荷降ろし場所にはおらず家族が見ていたのだが「このおっさん、大丈夫だろうか・・・」と思ったそうです。
「リフター付きのトラックは持っていない」としながら、到着時のボロトラックにはリフターがついている
ああ、やはり嘘ついたな。この嘘つき大臣め。
しかし、そこから問題発生。
パレッタで運ぶにも通路が砂利になっているため移動ができる状況ではなかった。(俺がいれば、違う乗り物で対応できたが家族は免許もっていないから無理)ミニフォークかユニックがあれば簡単荷降ろしとなるが、用意はできても操作できる人がいなければすでに詰んでますね。
結果的に中型台車で運べば問題は起きませんが・・・念のため用意はしておきましたけどね。この運転手、アホで気が付かない。台車に乗せれば簡単なのになぜか結局あえて苦難の道のりを選択したのである。
完全に地面と固定されているパレット+F6Bエンジンとそのた補器類。そのおっさん運転手がせっせと一人で少しずつ引きずりながら舗装されているガレージの隅までもっていったのであります。その証拠に床側に引きずった痕跡がくっきりと残っていました。
ったく、コンクリ床に専用ペンキを塗布したばかりなのにどうしてくれんの?ボケカス。
どうして、こう輸送業者って頭悪いのかね。無茶ばかりするんでしょうかね。ま、いずれにしてもペンキはいつでも塗布できるし良しとする(予備ペンキも持っていたし)
運転手のそのおっさんは、超汗だく、息切れ状態で酸欠。だったそうな。
でも、それは仕事しています!という表現方法だっただけに過ぎない。俺は宅配業者はある程度信じるが、輸送業者は一切信じない。何度も物をぶっ壊されてるため信じないようになったのである。
ついにエンジン到着
仕事から帰宅して、すぐ「エンジン到着してるよ」の言葉に感動しつつ、作業場に行ってみた。
「おお、見える見える。4発エンジンのF6Bがある」
実は、仕事中作業場の前を通りかかって、その様子を一瞬だけ見たのを分かっていたのだが、春先の4月、桜が咲く少し前くらいだった。やはり現物があるとないとでは感動の深さが違うってものだ。
その時の写真、どこかにまだあるはず。HDDを探せば出てくる可能性はあるように思えるが気が付いたときに探してみたいと思います。
エンジン到着直後の状態、センサーを外しているところである。
問題は山積みで、ここからエンジンをどうやってさらに分離していくか。それ以前に徹底的に各部寸法を計測してデータ化することが先作業になる。
F6Bエンジン分解(心構えで終わる日々)
木パレの上に載ったままのF6Bエンジン、これを今度はエンジンスタンドに載せなくてはなりません。この作業に移行するまで2週間後になりホルダーに装着することができました。本当はすぐにでも搭載作業に入りたいところですが、寸法採寸や作業時間、スタンド移行するまでの手順を考えるとどうしてもできない状況でした。
もっとも、F6Bエンジンをポン付けでカプチーノ本体にドッキングできるわけもなく、焦ったところで良い結果は出ないと思います。やっと見つけたF6Bですから時間を見ながら、今後必ずK6AからF6Bという強心臓を搭載すべく意気込みながら、実際に載っているK6Aと単体のF6Bを眺めながらイメージしつつ。
いわゆる仮想寸法やら各部機能詳細を考察したりと、完全によその世界、異世界に転生した整備人となっていた俺である。
どのように整備修理加工作業を進めるか検討していた。
単体のF6Bエンジンを眺めていて思ったことは、コンパクトなK6Aと比べ大きさが異なり、かなり大きく感じるところ。
FF車特有のインタークーラーの配置方法からも分かりますが、さらに大きく見えてしまいます。
1気筒増えるということはやはり各パーツの寸法も大きくなりますのでK6Aとのパーツ単体寸法を考慮しながら整備手順や加工方法を考察していきました。
マジ難題が山盛りです。
容易に想像がつくこと、それは簡単に搭載できるほど甘くはないということ。
日本国内でこのF6Bエンジンをカプチーノに搭載することを計画し実行した人間が何人いてそして成功したのだろうか?
現時点成功者はいない(裏側にはそれなりにはいるでしょう)俺が、求めているのは「公認」をおかみからもらった車両のこと言う。
仮に誰か成功した人がいれば、その人が苦労した部分を理解することができる。
搭載までの近道になるはずですが、そんな身近な人はいません。特殊すぎるしF6Bエンジンそのものが、超マイナーすぎるからです。
これから紹介するページでたくさんの苦労と作業対応が出てきます。それで大体分かることでしょう。
よって経験者を頼りにすることも、ネタ情報を聞くこともできず独自の経験と手法を用いてカプチーノ+F6Bエンジンを実現しなければなりません。
まして、一般的なユーザーがエンジンスワップ(ポン載せ)であっても相当な「アツサ」が必要。つまり熱い心が必要になる。
通常のK6AからF6A、もしくはK6AからVVT付きK6Aであれば作業は簡単でしょうね。しかしポン載せであっても細かい場所を加工する必要があるから難易度も高くなる。
今回はK6Aと比べてF6Bは基本設計と寸法が全く違います。一部を除いて流用も皆無に等しいです。実際に採寸してK6Aとは大きい違いが明らかになるたびにため息が出ました。だけど、諦めは不要です。現物をすでに買って目の前にF6Bエンジンがあるのですから。ここで諦めてしまってはF6B搭載計画は終了となる。
絶不調となったただのクソK6Aのままの訳にはいかず、修理手直ししても回復の見込みはもうありません。それでは今後のカプチーノ生活は面白くもない。
リングには強制的に上がってしまっている以上、そのまま負けを認めるわけにはいきません。
自分自身との闘いなのですから。いろいろ述べているが、地味なことばかりの連続。寸法計測してはどのような加工や追加整備が必要かイメージしておりました。
できなかったらどうしよう。なんて言葉を吐いている暇はなかったですわ。
F6Bエンジン分解中
前回の採寸作業から少々野暮用で数週間経過してしまいました。相変わらず、俺のカプチーノにはクソK6Aが載っています。エンジン不調からくる、またノーマル時にも発生していた一次回転振動が半端なくボディを痛めつけています。ただ、ここ数か月カプチーノに乗る機会がなくて放置プレイ状態、週1で数時間乗るのが精いっぱいでした。
よって、ボディへの攻撃は最小限に。今、思い出せることは燃費も最悪で部品購入のためにあるところに向かうまでの道のりがとても不明瞭でエンジンストールした後に再起動できない可能性があったことが大きいのです。
プルンプルン言っているクソK6Aにはほとほと飽きていた。もう完全に圧縮も終わっておりブロー傾向にあることは分かっておりました。金食い虫のクソK6Aってことです。
今日は、土曜日ということもあり詳細な採寸作業が出来そうです。タイトルはエンジン分解ですが、採寸作業に時間を費やした方が結果的に後々に発生する初期整備不良への対応が簡単になるわけです。どちらにしても作業するのは俺独り。いろいろとイメージしつつ缶コーヒー片手に作業クリーパーに座ってあれこれと思いを馳せる
こんなにも楽しい時間はF6Bエンジンが目の前にあるということに尽きます。今後の辛い経験は後の資産になるということが分かるからこそ楽しくなるというものです。
どちらにしても、コツコツ作業を進めるしか方法はなく、メモに書いた記録を今度は一部図面に起こしなおして保存する。そんな時間を過ごしておりました。
このあたりで、やっとヘッド分解作業に進みつつ、スズキ自動車の解説書にはエンジン寸法等の記載はなく実寸採寸するしか方法はありません。丁度そのころあたりからクソK6Aは駆動状況が悪化し瀕死状態に。
行動の足が無くなるのはやはり痛いため、スペアパーツを使用して修理、整備に時間を費やしていたことも無駄な作業ではあったが、F6Bエンジン分解まで手が回らなかったことも大きいです。
採寸を細かく行わなければ、搭載最後の段階で失敗します。なんか違うんだよな・・・になるのは避けたいです。ですから目の前に物はあるのですから詳細を的確に見極めていかなければ異種エンジン搭載は不可能と思います。
解説書におおまかにでも寸法記載があれば大した苦労にはなりませんが、イラスト図だけのイメージではK6AとF6Bとの寸尺が1%でもずれていれば終わりなのです。少しは苦労しとけということなのでしょう。もっともこうした寸法は社外秘ですから設計者側だけしか見れないものですので結局自分自身で寸法を割り出しして作図するしかないわけです。
F6Bエンジン完全分解
ある土曜日の午前中スタンドに載っているF6Bエンジンを完全に分解まで進んだ。
電装品から始まり、まずはフライホイールから取り外し、見えてきた部分を実測寸法測定作業、一部分解、そして測定作業こんな感じの繰り返しで一日が終わる。
休日でもあったことから時間もあるし、今日は晴天で風も少しあって空はいつも以上に青かった。こうした作業を継続できるのは家族に感謝の一言に尽きる。
趣味であってもそれが本職であっても時間を作れるということは生きている証拠。個人の時間を作りだすのも自由ではあるが、何気ない時間経過を楽しむことができるのは人として心に余裕があるからということに気付いてほしい。人の人生時間は有限、そして辛いことも楽しいこともワンセットになっているということに。
たくさん苦労した人が最後に報われる人生であることを願って。
この調子を崩したカプチーノにF6Bエンジンが搭載され心地よい音を奏でながら走る姿をイメージしつつ
もうそこに秋の気配を感じながら作業継続。ヘッド、ブロックへと分離作業が進み、保管用の袋に詰めて仕事部屋に運びました。
細かな部品も全て保管用の袋に入れてまとめておきます。いわゆる錆や埃、異物混入対策です。
搭載作業に入るにしても即エンジンを載せることはできません。
取り外した各パーツ、ヘッド、クランクシャフト、カムシャフト等々のハード部分は摩耗も少なく以前にこのF6Bエンジンを使っていた人は大きい負荷をかけることはしなかった個体であると分かります。よくあるチューンドパーツも一切くっついていませんでしたのである意味「当たりくじ」を引いたものであると感じます。
後に測定してみたところ、ブロックの歪もなく結果としては良好。電子パーツ系で一部整備の行き届かなかった部分も確認できましたが、俺の考えの中では合格エンジンでした。
大切にされていたかどうかは、その人の価値観にもよるものの、機械的精度寸法から割り出せるものとしては合格範囲だと考えています。
完全分解しますと元ユーザーの使用環境やクルマそのものに対する思い入れというものがすぐ分かります。
(良くない例として例えば別ページに記載したSW20のエンジンとか)
3Sエンジンの初期整備中。これは酷すぎ。エンジン不調を招く要因になる。
こうなったら最後、修理整備に余分な費用がかかるのである。
F6BエンジンはK6Aエンジンというコストダウンの塊となったクソエンジンとは大きく異なり、高耐久のパーツが使用されています。例えば高周波焼き入れのグレードが数段違うとか高い次元で構成されているのがF6B、F6Aエンジンです。
歪に関しては本当に皆無でして、相当コストをかけて開発されているエンジンと思わせる、納得できるスペックであることを確認することが出来ました。
F6Bエンジンは確かにリッターカー以上の普通車用に開発していたという話でもあるし、どうせ作るのならばこの仕様でという思惑があったことは匂いで分かりますね。
排気量若干アップしてロングストローク化したら?ということ。まだ国内規格では少し中途半端ですが海外仕様であったとしたら・・・。といったところでしょうか。
いわゆる高品質、高耐久であることが現状の使用に耐えたということになります。
分解した各パーツですが、本来ならば作業場に保管します。なぜ仕事部屋に保管したかというと空調の効いている部屋であれば大きい対策になるためでしょうか
第三者がその部屋の状態を見たら、汚ギャルの部屋(懐かしいワード)を思い浮かべるほどに汚い状況になりました。
俺自身、その光景を見たときかなり悩みましたが、誰も来ないから心配無用であり、ヘッド加工を優先する意味では正解であると察しての行動です。