もしもあの場面で・・・・・

みずいろ&パシスト編

 

 

パシフィックストーム外伝<真田中佐は戦争を愛する>より

 

「後檣・・・・後部艦橋で配置につきます」

樺山は言った。<綾瀬>の場合、そこは応急指揮所も兼ねている。

「そうだな」

当然といわんばかりの口調で真田は答えた。

 

 

(1)片瀬雪希の場合

 

「お兄ちゃん、私は後部艦橋に行くね」

雪希は言った。

「ああ、気を付けるんだぞ。何かあったら高声電話で連絡しろよ」

健二は雪希を気遣う風に話しかける。

「うん」

雪希は、頷くと後檣へと向かった。

数分後

「艦長!後部艦橋からです」

伝令が電話を取り次ぐ。

「雪希、どうした?」

「えっとね・・・・・お兄ちゃんの声・・・聞きたかっただけなんだけど・・・・・・」

「・・・・・・・・・」(まいシスターよ、恥ずかしいこと・・・・)

「ごめんなさい。迷惑だったよね」

雪希は申し訳なさそうに謝る。

「いや、そんなこと無い。この電話はいつも繋いでおくから、安心しろ」

「うん」

雪希は嬉しそうに頷いた。

そして、艦橋と後檣の見事な連携で<綾瀬>は多数の敵機をたたき落とした。

 

 

(2)早坂日和の場合

 

「健ちゃん〜後部艦橋に行って来るね〜」

日和はのんびりした声で言った。

「日和、同士討ちに注意しろよ」

健二は日和に注意を与える。

「そんなことしないよ〜」

「いや、日和はへっぽこだから<綾瀬>自身を撃ちかねん」

「う゛〜う゛〜う゛〜〜」

日和は不機嫌そうに非難の声を挙げる。

「はいはい、俺が悪かったから、早く配置に付け。」

「うん」

健二が謝ったので、日和は機嫌を直して艦橋より出ていく。

そして、

「わっわ!にゃう〜〜!」

ごろごろごろごろがっしゃーーーん

派手な音が聞こえてきた。

「副長負傷!」

「にゃ〜〜〜〜」

「航海長が替わりに配置につきます」

「おう」

日和は負傷したが、健二は何事もなかった様に戦闘指揮を執った。

そして、足手まといがいなくなった<綾瀬>は無事に帰還した。

 

 

(3)神津麻美の場合

 

「健二さん、後檣で配置につきます」

麻美は言った。

「先輩、大丈夫か?」

「はい・・・・・勉強しましたから」

健二の心配に、麻美は自信満々で答える。

「それじゃあ、頼んだぞ」

「頼まれました」

麻美はそう言うと、艦橋より出ていった。

10分後、後檣より電話があった。

「艦長、副長がおられないのですが?」

「なに?10分も前にここを出ていったぞ・・・・・・いや、まさか」

 

その頃の麻美は

「・・・・・・・・・・・・」

水兵達が忙しく行き来する通路を横断できないでいた。

 

その後、麻美はさらに15分をかけて後檣に到着し戦闘指揮を執った。

その指揮ぶりは勉強しただけあって、見事なものであり敵機を蚊蜻蛉のようにたたき落とした。

 

 

(4)進藤さつきの場合

 

「先輩、後檣で配置につきますね」

進藤は言った。

「もしも、先輩が敵弾に倒れて指揮が執れなくなった場合も安心してくださいね。あたしが、ちゃんと指揮権を継続してこの艦を守りますからね」

進藤の口からは機関銃のごとく早口でまくし立てる。

「それよりも、早く配置に」

「そして、そして、艦長がいないにも関わらず副長の的確な指示により大戦果を挙げちゃったりして」

進藤の言葉はさらに早くなり、防空艦<綾瀬>の長10センチ砲の全力射撃のようである。

「それで、作戦終了時に勲章もらって昇進して、肝心なときに役に立たなかった先輩は降格されちゃうんですね」

「おい、どうしてこうか」

「とうことは、次の作戦ではあたしが艦長で、先輩が副長になっちゃ」

トス

「う゛っ・・・・・・」(ぷるぷるぷる)

「静かにしろ。それより配置に付け」

健二は額に血管を浮かばせながら言い放つ。

「はっ、先輩酷いですよ!痛かったんですからね!いくら今はあたしの方が階級は低いけど、次の作戦からはあたしが艦長で先輩がふくちょ」

トストストストス

「う゛っう゛っう゛っう゛っ・・・・・・・」(カクッ)

「やはり、延髄が弱点か」

健二は4連発でチョップをたたき込んだ。

「いいから、早く後檣へいってくれ」

「・・・・・・・・・・・・・」(ぷるぷるぷる)

「艦長。副長が白目をむいて、反応しないのですが?」

「よし、副長負傷!航海長、副長の代わりに応急指揮を執れ」

「艦長?」

「航海長、復唱!」

「はっ!副長に代わり後檣楼にて応急指揮を執ります」

「よろしい」

こうして<綾瀬>は、副長不在のまま対空戦闘に突入した。

そして、ストレスから解放された健二が指揮を執る<綾瀬>は約1名の負傷者を出しただけで帰還した。

 

 

(5)小野崎清香の場合

 

「私は、後檣で配置につくわ」

清香は言った。

「清香、おまえの配置は後檣じゃないぞ」

艦橋から出ようとしていた清香を健二が呼び止める。

「えっ?副長の配置は後檣でしょ?」

「おまえの配置は、マストだぞ」

「マスト?」

「そうだ。清香、おまえの役目は敵機までの距離と高度を精測することだ」

「それって・・・」

「もちろん、対空射撃電探のアンテナだ」

対空射撃用の電探(レーダー)は、パラボラアンテナを用いている。

「そうだ!その頭の立派なアンテナをもちい」

「なに言ってるのよ!!」

ドカッ

「ぐはっ」

清香は健二を思いっきり殴り倒した。

「艦長負傷!!」

健二は、清香に殴られて意識を失っている。

「あたしが指揮を執るわ」

健二に代わって清香が<綾瀬>の指揮を執ることになった。

そして、<綾瀬>は対空射撃電探が不調だったために大きな戦果を挙げることはできなかった。

どうやら、原因はアンテナにあったらしい。

 

 

 

 

 

あとがき

二束三文さんのKanonキャラの『もしも彼女がアレだったら』をねこねこキャラとパシストの場面を組み合わせて、作ってみました。

みずいろ&パシスト編となっていますが、シリーズ化するかどうかは未定です。

(注)即興SSなので、苦情・意見などは受け付けません。あしからず・・・・

フランク疾風


二束三文の感想
相互リンク記念でいただいたSSです。
う〜っ、まさかリンクしていただいた上にSS頂けるとは……感涙ものです。
内容は……すいません、私「パシフィックストーム」は読んでますけど「みずいろ」やったことないので詳しく知らないんです。
やってみたいとは思っているんですけどね。
でもそんな私でも十分面白いです。
このようなすばらしいSSをくださり、どうもありがとうございました。


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