これは昔、BaseSonのHPに置かれていた望月あやめ(望月綾芽ではない)の設定SSです。

設定改変に伴い削除されてしまいましたけどね。

HDDクラッシュの際に消失してしまいましたが最近Web上で発見したのであげておきます。

ところで没ネタって著作権等に引っかかるのでしょうか? 警告あったら削除しますです、はい。




「ONE2〜永遠の約束」はBaseSonの商標です。

(c)BaseSon 2002













和弘「早いんだな」

オレはあやめに声をかける。

あやめ「お待たせしたら申し訳ありませんので……」

デートどころかお見合いに来たような物言いをする奴だった。

和弘「そうか」

あやめ「……」

和弘「それで、どこに行く?」

あやめ「えっ?」

びっくりしたような声で、あやめは言う。

和弘「どこか行きたいところはないかと聞いているんだ」

あやめ「あの……和弘さんの行かれたいところで……」

和弘「……」

なんか調子が狂うな。

和弘「おまえ、男を付き合わせているんだから、どこか自分の好きなところに行けばいいんだぞ」

あやめ「ですが……」

和弘「『ですが』じゃない」

あやめ「はい……」

和弘「……」

あやめ「……」

なんで話が続かないんだ?

和弘「行きたいところとかないのか?」

あやめ「行きたいところ、ですか……」

あやめは少し考えるように言う。

あやめ「……県立図書館」

和弘「だーっ! それだとオレがいてもいなくても一緒だろうがっ!」

少なくとも、せっかくいい天気の連休の初日を、本とにらめっこでつぶしたくはない。

あやめ「すみません」

消え入るような声で、あやめは言う。

和弘「ま……まあ、謝る事はないぞ。怒ってはいないからな」

ちょっと興奮しただけだ。

和弘「ほら、今まで行った事がないところでもいいんだぞ? どこか行きたいところとかないのか」

あやめ「行った事がないけど行きたいところですか」

もう一度あやめは考え込む。

あやめ「……国会図書館」

和弘「なんでやーっ!」

何故か関西弁。

デートのボルテージが上がる前に、血管のボルテージが上がってるぞ。

オレの怒りを前にあやめはしょんぼりとうつむく。

あやめ「すみません、やっぱりダメですよね。……国会図書館は、20歳以上の人でないと入館できませんから」

いや、そういう問題じゃないぞ。と言うかそういう事は初めて聞いた。

和弘「いいか、あやめ。まず図書館という発想から離れろ。それは健全じゃない」

あやめ「健全ではありませんか……」

和弘「そうだ。いいか、オレ達は今、連休の初日を迎えているんだぞ。晴れやかな連休だ。今日一日騒ぎまくっても、それでも明日もあさっても休みなんだ」

あやめ「はい……」

和弘「空を見ろ。この連休を祝福するかのように、いい天気じゃないか。この暖かな日差し。心まで暖かくなってくるだろう?」

あやめ「はい……」

なんだ、そのやる気のないリアクションは。

和弘「いいか、こういう晴れの祝日だ。そういう日に図書館という発想は良くない」

あやめ「良くありませんか」

和弘「そうだ。良くない。いいか、図書館という発想から離れろ。そしてよく考えるんだ。どこか行きたいところはないか?」

あやめ「図書館以外で行きたいところ、ですか……」

もう一度あやめは考える。

あやめ「……神保町ですとか」

和弘「じ……神保町?」

とりあえず図書館という言葉が出てこなかった事にホッとして、オレは言う。

和弘「そこにはよく行くのか?」

あやめ「ここからは遠いですから、しょっちゅうではありませんが……でも、たまに」

和弘「楽しいところか?」

あやめ「はい……」

よし。それがどんな所にあるのか知らないが、とりあえず行ってみよう。

オレはそう決めた。

和弘「よし、そこに行こう」




「ONE2〜永遠の約束〜」・・・発売前先行SS  【望月あやめ編】


 

 

↓これは望月あやめの初期設定です。ゲームとはずいぶん変わっちゃったな。

 




内気でおとなしい性格で、あまり人と話をしない。

ただし、本の話は好きで、その話が持ち出されるととたんに口数が多くなる。

読書好きで、最低1日1冊本を読む。

読書範囲も広く、最近の新刊から古典まで、一通りの本に手を出している。

休日には図書館に出かける事も多く、市立図書館だけでは飽きたらずに県立図書館まで足を伸ばす事もある。

文芸部で小説を書いていて、その話をするのが好き。

ただし、あまり多くの人に話を見せるのは恥ずかしがり、自分のまわりの友達にしか、小説を見せない。

交友範囲は非常に狭く、話をする相手と言えば、小菅奈穂か、角田公子か、主人公くらいである。

しかも1対1で話をする時は、まだ会話が成立するが、3人以上で集まって話をするとなると、ほとんど口を開かず、まわりの人が話している事を、ただ聞いているだけになる。

劣等感が強く、自分にできる事は数少ないと考えている。

自分の小説に対しても、技術的にはほとんど評価しておらず、ただ好きで書いているだけである。

ただし客観的に見れば、素人の書く小説としての技術は高い。本人が不当に低く評価しているだけである。

国語の知識には精通していて、語彙も非常に豊富であり、古文も漢文も原文で一通り読みこなしてしまうほどであるが、本人はまだまだ知らない事だらけで、大したものではないと考えている。