#1 神奈川県真鶴半島・安山岩中のカモメガイ
 Penitella sp. in andesite, Manazuru Peninsula, Kanagawa Prefecture


 軟質の砂岩や泥岩に穿孔しているカモメガイを各地の岩石海岸でよく見かけますが、実は硬質岩である安山岩や流紋岩といった火山岩にもカモメガイは穿孔しています。 他にも、カモメガイは、結晶片岩や頁岩等にも穿孔していると言われます。

化石では、仙台市の中新統の安山岩等から巣穴や貝殻が報告されており(Masuda,1968ほか)、一方、現生では、神奈川県真鶴半島の海岸に見られる安山岩から初めて報告されました(増田・松島,1969)。


#1-1 真鶴半島の三ツ石海岸にて Mitsuishi Coast in Manaduru Peninnsula

 まず、安山岩への穿孔例として神奈川県真鶴半島の沿岸に棲息するカモメガイを紹介しましょう。
真鶴半島は箱根ジオパーク Hakone Geoparkのエリアにあって、箱根火山の約15万年前の噴出物(溶岩流や火山灰等)Lava flow and volcanic ash of andesite, 0.15 Ma, Hakone volcanoが分布しています。
箱根ジオパークのガイドブックには地質の解説が掲載されていますので、御一読ください。

真鶴半島の先端(真鶴岬)の三ツ石海岸に降り立つと大小の安山岩レキが転がっています(図1)。
遠くに見える2つの三角形をした岩は三ツ石です。この位置では2つしか見えていませんが、右側の岩の裏にもう一つあります。図1では、好天のもと三ツ石の右側には約50km離れた伊豆大島が、さらに約11km先の初島が見えています。

この海岸は観光客以外に磯の生物学習や地質見学におおぜいの人たちが訪れます。なお、三ツ石へは干潮時に渡れますが、大小の岩の中を歩くのは沢歩きのように骨が折れますし、満潮となる前に余裕を持って戻る必要があります。


Fig. 1 Mitsuishi Coast, the southeastern tip of Manazuru Peninnsula, Manazuru Town, Kanagawa Prefecture. At this point we can see only two of triple rocks. This two rocks are connected each other by "Shimenawa":single sacred Shinto straw festoon.
Whenever offshore "Mitsuishi", triple rocks in Japanese, is linked to the coast on ebbing tide and Springtide, peopel can get there on foot carefully. Of course they have to come back before the flooding tide.
This littoral area is more suitable for not only sightseeing but also learning about sea creatures. A just righthand island over the Mitsuishi is Izu-Oshima, the top of which is an active volcano; Mt. Miharayama, about 50km away from here, a right-side flat island is Hatsushima.
Photo on the lunchtime of a geological excursion held by both branches of Kanagawa and Saitama in the Association for the Geological Collaboration in Japan, May 18, 2014



Fig. 2 The view of the Cape and the Peninsula from a small shrine at a northern rock of the Mitsuishi.
Red wooden frame is Shinto shrine archway. I have ever gone over to the Mitsuishi at the ebbing tide too, but people might not go over to there before 1923 Kanto Earthquake on foot.
See "Mystery No.4" in #2 pages.


#1-2 カモメガイの巣穴 Boreholes created by Penitella sp.

 火山岩の1種である安山岩は一般的に溶岩(溶岩流やその破砕物)という形態で地表や地表付近で観察できます。真鶴半島周辺でも同様です。 その溶岩にはふつう冷却時にできた、ガスの抜けた大小の穴が見られます。丸いこともあれば細長く伸びたり、お互いにつながって不定形をしています。ガスの穴は大きくても数mmと比較的小さいものです。
 一方、そのような穴とは違って、安山岩の岩盤やレキのいくつかには丸い穴、丸底の穴がたくさんあいています。たった1個の場合もあれば20個以上まとまってレキに見られることもあります。指が入るほどの深さのものもあります。
浅いお椀状からやや深い壷状まで入り口の直径や深さに幅がありますが、大きさはかなりそろっています。
このような特徴のある穴はカモメガイの巣穴です。すぐに見つかるでしょう(図3)。




Fig. 3 Many borings created by Penitella sp. in andesite boulder at Mitsuishi Coast, Manazuru Peninnsula. Holes are vareous, wide and shallow, or narrow and deep, but all bottoms are like hemisphere.
Rainwater or seawater remain inside only two holes. So, notice that these holes are deeper than other nearby holes. The hammer is ca. 32.5cm long.

なお、この海岸では過去採石が行われていて、ノミの跡(矢穴)が残っています。直線的に並ぶ四角形の穴は、カモメガイの穿孔痕との違いは明瞭でしょう(図4)。 



Fig. 4 Sevral square holes in andesite near shoreline are not created by boringshells but by stonecutters. Before cracking the rcok, stonecutter used to make these pits;"Ya-ana" with chisel and hammer. Most andesite block near shoreline were better for industrials to transport to Edo (right now, Tokyo) by ships . Therefore, the shoreline is greatly changed and the original rock with borings is quite few to scientist's regret. The localities of andesite rocks for stone industry move to the mountainside in Manazuru Town. a felt-chip pen is ca. 14cm long.

深い壷状の穴の中に貝殻が二枚とも残っていることがあります。掘り主兼居住者のカモメガイです。
岩を割ると貝殻が取り出せますが、ていねいかつ慎重に、詳しく言えばきちんと方向性を定めて平タガネを用いて割るという、やや難しいテクニックが必要です。
その結果、巣穴は奥が広く、全体的にみてイチジク状、ないしフラスコ状をしていることがわかります(図5)



Fig. 5 Longitudinal cutting of a boring created by Penitella sp. Left-hand piece shows the main chamber and the neck of boring distinctly, right-hand piece shows its shell and calcareous lining secreted by this mollusk on the inner wall. The shell is adult because of having the callum and the accessory plates. Boring made by P. sp. is like flask-shape. Black and white scale are 1cm width each other.

したがって、浅いお椀状のものは壷状の巣穴が波の侵食作用などによって浅くなったものとみることができます。入り口が広がる過程で貝殻は抜け去ってしまいました。

ただし、中には、マツカゼガイ Irus mitis トマヤガイ Cardita leanaといった二枚貝が入っている場合もあります。カモメガイの死後その巣穴にちゃっかりと入り込んだ貝類で、これらは穿孔貝ではありません。 つまり2次的に棲息する二枚貝 secondary habitant です。

図6は、カモメガイの巣穴に棲息しているトマヤガイの生貝です。この穴には壊れたカモメガイの貝殻が残っていました。また、生きているヨコエビも多数元気よく出てきました。
このように穿孔貝が残した穴は、他の生物の棲息場所−休息・隠れ家・産卵〜育児−になっています。NHKの番組ではツクエガイの穴がマダラギンポの生殖場所になっていることが映像で紹介されていました。


真鶴の海岸では、イソギンチャク、ヒザラガイ、オオヘビガイ、管棲ゴカイ等が穴に入り込んでいるのを干潮時にあちこちで見かけます。


Fig. 6 Secondary inhabitant; bivalve Cardita leana lives inside borehole of andesite boulder after the death of Penitella sp. This bivalve attaches own body to the inner wall by bysus. A small red crustacean on the left valve of P. sp. is a gammarid amphipod living also in this hole.
Most holes after the death of rock-boer become the life space for sea anemones, chitons, ragworms, other mollusks, etc. The surface of this boulder is little weathered and the inside of it is fresh comparatively judging from cross section.


#1-3 カモメガイの貝殻入り巣穴の見分け方
How to distinguish Penitella's borings from others


 穴からのぞく貝殻の一部(貝殻の後端)だけでも、カモメガイ・マツカゼガイ・トマヤガイでは成長脈や放射肋など違いがはっきりしているので確実に見分けがつきます。図7の左右の写真は、それぞれマツカゼガイ・トマヤガイです。

【Renewed】

Fig. 7 Secondary inhabitants. Irus matis (left) and Cardita leana (right)in each hole created by Penitella sp. from "a circle window" in andesite boulder. Manazuru Peninsula. These molusks may not be able to bore andesite lava or boulder because of lacking the adequate shell sculpture for hard rock boring.

カモメガイの貝殻の後端は、弱く膨らむとともになめらかにカーブを描き、殻の表面には弱い成長脈がみられます。これは、軟質岩に見ることの多いニオガイやニオガイモドキとも違う特徴なので、それらとも見分けがつきます。


ニオガイの後端はカモメガイと比較してずっと尖るとともに、貝殻の表面に棘をもった粗い成長脈があります。ニオガイモドキの後端はカモメガイに似ていますが、やや尖っています。そもそもニオガイモドキは軟質岩をカモメガイよりも深く穿孔しているので、穴・入り口から見えないことの方が多いですね。


実は、ニオガイ、ニオガイモドキ両者とも真鶴半島でもみられます。半島周辺にもそれらの貝類が穿孔できる軟質岩があるからです。 砂岩や軽石質凝灰岩といった軟質岩が安山岩の溶岩流にはさまれていて、その岩盤かレキに穿孔しています。 でも、安山岩には穿孔していません! カモメガイのように穿孔できないようです。


穴からのぞくカモメガイはどこかかわいらしく、「丸窓から微笑むイルカ」のように見えないでしょうか(下図)
みなさんお分かりのとおり、穴からのぞくカモメガイは実際は貝殻の後部・後端です。ですから、顔の例えは正しくないかもしれませんね。



Fig. 8 Posterior shell of Penitella sp. seen in a hole looks like "smiling dolfin from a circle window", I think. The face of the posterior part is defferent from that of other rock-borer. This bivalve is dead, of course, both shells may be closed in a lifetime. Many small holes are gas-holes without upper small hole, and this rock is a kind of porous andesite.


#1-4 生きているカモメガイ Living Penitella sp. in andesite

 最後に、生きているカモメガイを紹介しましょう(下図)。真鶴半島周辺の某所で見られたものです。 海水の入ったビニール袋の中ですが、水管を伸ばしているのがわかります。 真鶴ではかなり数は少ないのですが、潮間帯で生きているカモメガイが観察できます。 しかし、入り口は海藻や石灰藻におおわれていてとてもわかりにくいので、一般の方が探すのは相当困難でしょう。



Fig. 9 Living adult Penitella sp. in andesite from the Pacific Coast, Manazuru Town, Kanagawa Prefecture. Siphon protrudes a little from the posterior end of the shell for breathing in water. Siphon may be about three times as long in the original life position of andesite as in this position. The part of shell from anterior to center lack the periostracum.


 結局、カモメガイの棲息は軟質岩地域でも硬質岩地域でも変わらず、潮間帯の岩盤やレキがメインになります。
真鶴町に古くから住む、地元の人の話では昔、友人が尻掛海岸でこの貝を採って食べたそうです。
この話は数年前に聞いたものですが、穿孔対象の岩石は軟質岩ではないかと思われました。

 私は、数年かけて 湯河原町吉原の海岸・岩礁〜真鶴半島の普通に歩いていける海岸・岩礁ないし安全に降りられる岩場〜小田原市根府川の海岸・岩礁 といった相模湾沿岸部を調査しました。
調査場所は潮間帯から潮上帯にかけて、砂浜で言うところの前浜〜後浜の部分です。 その結果、カモメガイの穿孔痕はあちこちの安山岩の岩盤や巨レキ〜中レキにたくさんあることがわかりました。
しかし、死貝はたくさん見るものの生貝(成貝ないし稚貝)はかなり少ない状況でした。

その調査地の中で、根府川の駐車場付近の海岸では穿孔痕ももちろん貝殻(死貝)も、なぜか全く見られませんでした。その理由を次のように考えています。

 この海岸付近は大正関東地震で大規模な山崩れがあり、東海道線の軌道や駅舎・駅のホームが流出しました。犠牲者も多かったようで、根府川の駅には慰霊碑 memorial があります。 スキューバダイビングで駅のホームなどの「海底の遺物」を見学できるそうです。 このように海岸の先の海底まで岩塊等が達したところなので、この海岸にみる安山岩レキは角張っていてかつ新鮮です。 (地質的に見ても、真鶴半島とは異なる安山岩溶岩のようです。) したがって、新鮮で細粒・緻密、ガスの抜け穴が全くない、かなり硬い安山岩にはいくら真鶴半島の「カモメガイ戦士」でも穿孔できないようです。



Fig. 10 Nebugawa coast facing the Sagami Bay, the Pacific ocean. I was not able to find borings at all there. Penitella sp. may be unable to bore into it because andesite boulder is little weathered and hard. A huge landslide happened at the Kanto Earthquake in 1923. The platform of Nebugawa station and the railway of Tokaido line was submerged at that time. Only scuba diver can go to there.

 と言っても、比較的新鮮で(風化のほとんどない)、緻密な安山岩に掘っているケースが全くない訳ではありません。現生では#1-2の図、レキがその一例ですし、化石では、仙台市泉区堂所の中新統安山岩レキもそのような例がみられます(下図)。 皆さんが、これらの安山岩レキを手にしたらその新鮮さや硬さに驚くこと間違いナシです!!


Fig. 11 Miocene borings in andesitic cobbles or boulders on the floor of small valley, Izumi District, Sendai City, Miyagi Prefecture. Andesite gravel are comparatively fresh and very hard.
White flowers of Anemone flaccida are very beautiful in early spring. This plant is one of "Spring Ephemeral" ;


ガスの抜け穴の多く、やや風化した安山岩ではなく、このような緻密で堅牢な安山岩への穿孔 the fact of boring into hard and non-porous andesite が不思議でたまらず、真鶴半島のカモメガイに注目し続ける私の強い動機となっています。

このようにみてきて、安山岩中の生きているカモメガイは、貴重な穿孔貝 precious rock-borerと言えるでしょう。 さらには世界に誇れる、日本の岩石穿孔性二枚貝だと私は思うようになりました。 (注:あくまでも個人的な見解です。)

したがって、真鶴半島周辺の安山岩に穿孔するカモメガイについて、私は今後も貝殻形態や生態について調査・研究していくつもりです。

また、国内には、伊豆半島のように安山岩の岩盤やレキが海岸部に見られる場所も多いので、カモメガイが穴を掘っていないかどうか調査に出かけたいと思います。と同時に、皆さまからの情報をお待ちします。

さらに、大西洋のマカロネシア Macaronesia にある、Porto Santo島の東隣の小島(ポルトガル領)では玄武岩質基層 basaltic substrate にはイガイ科 Mytilidae  ニオガイ科 Pholalidae の二枚貝による化石穿孔痕Gastrochaenolites が見られます(A. Santos et. al., 2011)。地層の年代は中新世 Miocene とのことです。 玄武岩と安山岩、岩質の違いはあっても真鶴にみられる穿孔痕はとてもよい比較対象物になるのではないでしょうか。


#1-5 世界に羽ばたく、真鶴半島のカモメガイ
Penitella sp. in andesite, Manazuru Peninsula, Japan will become more famous all over the world.
【New section】


 真鶴半島の安山岩にみられるカモメガイを日本で初めて公表されたのは、#1-4 で既述したとおり増田孝一郎(宮城教育大学)・松島義章(神奈川県立博物館)両先生(所属は当時)の論文(増田・松島,1969;Masuda and Matsushima,1969は同じ)でした。その論文では、安山岩中にカモメガイやイシマテガイの穿孔痕と貝殻がセットでみられること、およびそれぞれの穿孔痕の形態や分布等について述べられていました。
ただし、両二枚貝とも死貝であり、生貝ではありません。

 ここ数年外国の論文がインターネットを通じてPDF形式で容易に閲覧できるようになったことで、外国の穿孔貝に関する論文に触れる機会が格段に増えました。
すると、驚くことに両先生方のその論文は、日本語で書かれたものにもかかわらず、英文アブストラクト English abstract によって価値を認められて引用 citation されているケースが3つ見つかりました。
 論文の題名と概要を次に記します。

@Ana Santos, Eduardo Mayoral, Markes E. Johnson, B.Gudveig Baarli, Mario Cachao, Carlos Marques da Silva & Jorge Ledesma-Vazquez, 2011, Extreme habitat adaptation by boring bivalves on volcanically active paleoshores from North Atlantic Macaronesia

【論文概要】(穿孔痕に関する部分のみ) #1-3に紹介してあるとおりなので省略します。

ARicardo S. Ramalho, Rui Quartau, Alan S. Trenhaile, Neil C.Mitchell, Colin D. Woodroffe, Sergio P. Avila, 2013, Coastal evolution on volcanic oceanic islands: A complex interplay between volcanism, erosion, sedimentation, sea-level change and biogenic production, Earth-Science Reviews, 127, 140-170
【論文概要】(穿孔痕に関する部分のみ)
火山島における生物侵食を考える場合、Masuda and Matsushima(1969)の報告は化石の報告例(Masuda,1968)とともに現生種による実例として取り上げることができる。

BFRANCISCO J. RODRIGUEZ-TOVAR, ALFRED UCHMAN & ANGEL PUGA-BERNABEU, 2015, Borings in gneiss boulders in the Miocene (Upper Tortonian) of the Sorbas Basin, SE Spain, Geol. Mag. 152 (2), 2015, pp. 287-297.
【論文概要】(穿孔痕に関する部分のみ)
スペイン南東部のSorbas盆地では、中新統の礫岩層に含まれる片麻岩巨礫 gneiss bouldersにはフラスコ型の穿孔痕Gastrochaenolites isp.が多数みられる。

 この他にも引用している論文があるかもしれませんが、調べ切れていません。
真鶴半島の安山岩に穿孔するカモメガイは、前述のとおり火山岩に穿孔する二枚貝 boring bivalves into volcanic rocks という観点から世界的に見ても大変珍しいものと言えますが、 貝の名前の由来である鳥のカモメ(鴎)seagull のように、これからも科学論文や研究者の世界を元気よく飛び回ることでしょう。



Fig. 12 A Seagul,"Kamome" in Japanese, folding its wing has a short rest at seaside standing on one leg.
Penitella spp. has the Japanese name; "Kamome-gai". Japanese words of"gai" or "kai" means a seashell. So, "Kamome-gai" are named after the Japanese name of seagulls because of the concordance of their morphology. The body area of greyish feathers in a seagull is very similar to the periostracum from midlle to posterior in Penitella sp.. And,the body area of white feathers is very similar to the anterior in P. sp., I think.
The paper in which Masuda and Matsushima(1969) mentioned about both Penitella sp. and Lithophaga curta in andesite are nowadays cited by a few papers.
Therefor, although Penitella sp. in andesite is a bivalve without an effective scientific name, this shell will continue to fly in the air of the world and the scientific community, I can imagin.

Photo by courtesy of Mr. T. Kasama. 【New photo】



 私は真鶴半島で安山岩に穿孔する現生のカモメガイを調べていますが、その目的の一つは生痕化石との比較です。現在の生物の行動を観察し、その痕跡を考察することが生痕化石の解釈(形態・成因・環境)にとても役立ちます。 このような学問を、化石を扱う生痕学 Ichnology に対して Neoichnology といいます。骨や貝殻など体化石を扱う場合に現生生物の知識が大いに役立つのと同じように、化石生痕を扱う場合にも現在の陸地や海底で起こっていることを知る必要があります。




私は現在も、カモメガイ類・イシマテガイ・モモガイ類等、真鶴半島周辺に棲息する穿孔貝について調査・研究しています。 皆様から穿孔貝に関する情報をお待ちしています。
I am investigating some rock-boring bivalves, Penitella spp., Lithophaga curta, Parapholas sp., and etc., at the seashore facing Sagami Bay around Manazuru Peninsula, Kanagawa Prefecture.



【生痕化石の情報】 お勧めのウェブサイトや図書 【New sentences】
○KU Ichnology → こちら
アメリカ・カンサス州にあるカンサス大学の先生方が作成しているページです。生痕化石に関する用語の解説から概念の解説までていねいに作られています。

○Life Traces of the Georgia Coast → こちら
エモリー大学 Emory University 環境科学学部 教授のアンソニー・マーチン先生のホームページです。 Prof. Anthony (Tony) J. Martin ; Professor of Practice in the Department of Environmental Sciences at Emory University
ホームページは先生自身の文章や写真と思われますが、出版社が関係しているようです。 マーチン教授は生痕学を専門とする古生物学者・地質学者で、以下のような著書がありますが、私はどれもまだ読んでいません。

"The Evolution Underground: Burrows, Bunkers, and the Marvelous Subterranean World Beneath Our Feet" (2017, Pegasus Books)
"Dinosaurs Without Bones: Dinosaur Lives Revealed by Their Trace Fossils" (2014, Pegasus Books)
" Life Traces of the Georgia Coast "(2013, Indiana University Press)

○巣穴の化石 → こちら
「生痕ゼミ」を主体的に運営している私の友人・小幡喜一氏のページです。

○『生痕化石からわかる古生物のリアルな生きざま』、2017、ベレ出版
フン化石の研究者である千葉大学教育学部の泉賢太郎先生が大学〜大学院時代の体験にもとづいて書いた本です。穿孔貝についてはほとんどご存じないのか全く記述されていませんが、それ以外の生痕化石をほぼ網羅しているので入門書と言えるでしょう。 増補改訂版や続編が可能であれば、穿孔貝などの穿孔性生物のリアルな生き様や生物侵食についても記述していただきたい。

○『Trace Fossil Analysis』
 古生物学者の R.Seilacher博士の生痕化石の本です。生痕化石の良いテキストですが、日本では全く産出しないか、なかなか産出しない生痕化石も記載されていて、勉強になります。
地学団体研究会の登録団研である「生痕ゼミ」では、2017年までに全訳を終えました。関心のある方はお問い合わせ下さい。
The member of "Trace Fossil Seminar" have finished to translate this book completely into Japanese on 2017.

○『Atlas of Trace Fossils in Well Core』
 石油地質学者かつ生痕学者の D.Knaust博士の手による本です。ボーリングコアに限らず露頭の写真も紹介されていて、ほとんどの生痕属が解説されています。もちろん、穿孔貝についても解説されています。
「生痕ゼミ」では、2017年よりこの本の輪読(和訳等)を進めています。 The member of "Trace Fossil Seminar" are translating this book into Japanese since 2017.



【お知らせ】
 私は、現役(高校教師)の頃から、そして退職した現在においても真鶴半島周辺における穿孔貝の調査、そして地質や地形の調査を続けています。 これらの調査と平行して、地学ハイキングの中で現地の案内をしたことがあります。
そこで、教育機関(小学校〜高校等、児童・生徒・学生・教師・保護者)や生涯学習の団体(自治体・任意団体・NPO等)に限りますが、御要望があれば真鶴半島において「現地解説」もいたします。 ぜひお申し出ください。(なお、営利を目的とする団体はお断りします)

また、私は2016年2月14日(日)、平成27年度第8回箱根ジオパークガイド講座(於:神奈川県立生命の星地球博物館)で「真鶴半島周辺の穿孔貝とその地質学・古生物学的意義」というタイトルで90分間の講演をさせていただきました。このように化石ないし現生の穿孔貝について、「教室での講義」もお引き受けいたします。

【Infomation】
Hakone is a representive site for sightseeing in Japan . Abundant hot spa, caldera, Ashinoko(lake), steam eruption, historical sites, and etc. are very nice. Hakone is located at the western side of Toyko, about one hour and half ride by train of JR line from Tokyo Station or Odakyu line from Shinjyuku Sation.
So, many international visitors come there all year around.

In addition to hearing "breaths of the earth" and seeing a breathtaking view of Mt. Fuji over Ashinoko,
I recommend you to discover marine life at the Pacific coast of Manazuru and Yugawara.

I strongly wish that many Japanese and foreign tourists would come to see Penitella sp. in andesite and its borings at Manazuru, Kanagawa Prefecture.
I will be able to walk along seaside of Manazuru Peninsula with you, talking about this shell, if you want.
The time of spring tide is quite suitable for your observation.

I am a retired high school teacher of Earth Sciences, and I was a parttime teacher for three years.
I will continue with research on fossil and living boringshells for my life.
I am waiting for your offer!


〇参考リンク

真鶴町の公式ホームページ  Manazuru Town → 
こちら:click here

真鶴町観光協会の公式ホームページ → 
こちら:click here

湯河原町の公式ホームページ Yugawara Town →
こちら:click here


湯河原町観光協会の公式ホームページ → 
こちら:click here


箱根ジオパーク推進協議会ホームページ Hakone Geopark Website → こちら:click here

神奈川県立生命の星地球博物館の公式ホームページ Kanagawa Prefectural Museum of Natural History
こちら:click here

真鶴町立遠藤貝類博物館の公式ホームページ Endo Shell Museum → こちら:click here


日本地質学会の公式ホームページ The Geological Society of Japan → こちら:click here


日本古生物学会の公式ホームページ Palaeontological Society of Japan → こちら:click here



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