拍手文集



 ※拍手に置いていた小話のログまとめです。



1.※パラレル設定。社会人リヴァイ×学生エレン。


 いったい、どうしてこのような事態になったのか判らずに、エレンは内心で首を傾げていた。

「あの、リヴァイさん」
「何だ」
「その……重くないですか?」
「全然。むしろ、軽すぎる。もっと、肉つけろ、お前は」

 ふにっと、腹の横の肉を掴まれて、うひゃあっとエレンは素っ頓狂な声を上げた。色気がねぇな、もっと可愛らしい声でも上げてみたらどうだ、とからかうような声をかけられ、そんなもん出せるか、と言いたいのをぐっとこらえて、エレンは先程から疑問に思っていることを口に出した。

「あの、何でこんな体勢なんですか?」

 こんな体勢――いわゆるソファーの上での膝抱っこだ。仕事から帰ってくるなり、リヴァイは着替えもそこそこにエレンを連れてソファーに移動すると、少年を膝の上に抱え上げたのだ。
 エレンの言葉にリヴァイは怪訝そうに眉を顰めた。

「お前、俺とイチャイチャしたかったんじゃねぇのか」

 言われた言葉がどういう意味を持つのかエレンは数瞬の間判らなかった――が、遅れてその意味を悟り、顔から火を噴き出しそうな程真っ赤になった。謂れのないことを言われたからではなく――それが、図星だったからだ。

「お前の幼馴染みどもはうるさくてかなわん。釣った魚には餌をやらないつもりですか、とか、あんなに寂しそうなエレンを放っておけるなんて、あなたは鬼ですか、とか」

 そんなことは言われなくたって判ってるんだよ、と忌々しげにつぶやくリヴァイにエレンは男の膝の上で縮こまった。
 リヴァイはこのところ仕事が忙しくて自由な時間が作れず、エレンと一緒にいられない日がずっと続いていた。エレンは決して寂しい――とは口にしなかったけれど、エレンのことには殊更目敏い幼馴染み達はエレンが何も言わなくても気付いたのだろう。元々、エレンを悩ませる相手など一人しかいないのだから。

「お前も寂しけりゃ寂しいって言え」

 くしゃり、とリヴァイはエレンの頭を撫ぜた。

「これでも、お前のことは見てるつもりだが、言われなきゃ判らねぇことだって、あるんだよ」

 お前は特にわがままを言わねぇから、うっかり見逃しちまう、と男は続けた。

「リヴァイさん……」

 それでも躊躇うエレンをリヴァイが言ってみろ、と促した。

「………寂しかったです。お仕事だって判ってましたけど、それでも……」
「悪かったな。もう仕事は落ち着いたから大丈夫だ」

 さあ、それでどうしたい?とリヴァイが尋ねると、エレンは顔を真っ赤にさせて俯きながらもしっかりと答えた。

「いちゃいちゃ、したいです……」

 その答えを聞くと、リヴァイはよく言えたとばかりに笑って、ご褒美だ、と唇に口づけを落とした。


2013.8.18up


リヴァエレをいちゃつかせたかったんですが、そうしたらパラレルしか思いつきませんでした…。





2・※原作設定リヴァエレ。くっついている二人。


 ぱちん、ぱちん、と硬質な音が辺りに響いていた。何の音か、と問わなくてもエレンには判っていた――これは最近では聞きなれてしまった、男が自分の爪を切る音だ。両方の手の爪を切り終わると今度はやすりで丁寧に磨きにかける。男の手は定期的に手入れされているので、その爪はいつも綺麗で清潔だ。
 これは、男の潔癖のせいではなく――いや、やすりで丁寧に磨きまでかけているのは男の性格かもしれないが――、兵士なら爪の手入れをするのは当然のことなのだ、と訓練兵になった早々に教えられ、爪の手入れなど女性のすることだと思っていたエレンは驚いたものだ。勿論、それまでも伸びてきたら切ってはいたのだが、きちんと定期的に切るようにと言われるなんて思わなかったのだ。
 そう指示した教官によると、剣を握るときに爪というものは意外に気になるのだそうだ。立体起動装置を使うときにも指先の感覚は大事だし、爪が欠けたり割れたりすると、力の調整が狂うこともある。だから、そうならないように兵士なら定期的に爪を切っておくものなのだと。そんなことにも気を使うのか、と当時感心したのを覚えている。

「オイ、エレン」

 男が爪を切る様子をじっと眺めていた少年に、男は呆れたようにそんなに見られたら穴があきそうだなと呟いた。

「大体、俺が爪切るのなんて何度も見てるだろうが。何が楽しいんだか」
「あ、いえ――手際いいし、見ていて面白いですよ。それに意外に兵長の手って大きいんだなって……」

 そこではっとしたように少年は口を噤んだが、男がそれを見逃すはずがない。

「ほう、俺の手が大きいのがどうして意外なんだ?」

 エレンは答えたくなかったが、男に睨まれたら話すしかない。

「あ、いえ、その……幼馴染みが、手足が大きいと将来的に大きくなると言ってまして…それで……」
「ほう……だから、俺の手は意外だと」

 低い声にひいいっとなったエレンはひたすらにすみませんと言い続けたが、男は意地悪そうな笑みを浮かべて少年の手を取った。

「兵長?」
「そんなに言うなら、お前の手はさぞかし、立派なんだろうな? 俺が手入れしてやろう」

 勿論、少年に拒否権はない。内心で冷や汗をだらだらと流しながら、少年は男にその手を預けたのだった。


(お、落ち着かない……)

 男は殊更丁寧に少年の手を手入れしていった。少年の手を取ると、やわやわと揉んで確かめるみたいに指を滑らす。ついでだから、マッサージもしてやるよ、と笑う男はとてもそうは思えない手つきで少年の手に触れた。指先にやすりをかけた後は一本一本指に息を吹きかけ、丁寧に確認している。
 わざとだ、絶対にわざとだ、と少年は思った。こんなやり方が爪の手入れなわけがない――いや、勿論、きちんと爪は手入れされているわけで文句など言えないのだけど。男の長い指先が遊ぶようにくすぐって、少年は身を竦めた。

「エレン、お前よ、前から思っていたんだが、俺の手が好きだろう」

 唐突に言われて、エレンは言葉が出なかった。それは全くの図星だったからだ。男の手は意外に大きくてあたたかくて、それに撫ぜてもらうのが心地よくて少年は好きだった。その手で触って欲しいなんて恥ずかしくてなかなか言えないのだけれど。

「さっきだって、半分くらいは見惚れてたんだろ。素直に言えばいいのにクソガキが」
「う……でも、幼馴染みに言われたことは本当ですよ?」

 ここで、余計なことを言わなければいいのに言ってしまうのが少年なのだろう。男の指ででこピンを食らい、その地味な痛さに少年は額を押さえて呻いた。
 涙目で見上げる少年に躾には痛みが一番だからな、と男は言ってその頭をくしゃりと撫ぜた。心地好さに少年は目を細めた。

「あの、兵長」
「何だ?」
「……兵長の好きなとこ、手だけじゃありませんから。他にもたくさん、全部好きですから」

 判りにくい優しさも、自分に厳しいところも、部下思いなところも、ちょっと意地悪なとこだって全部ひっくるめて少年は好きなのだ。総ての要素があって今のこの男を構成しているのだから。
 男は真っ赤になってそう告げた少年に滅多に見せないとろけるような、笑顔を見せた。

「――ああ、知ってる」

 そう言って、少年の大好きな手で触れてくる男に、少年はずるいです、と唇をとがらせたのだった。



2013.9.12up



 甘くしようと思ったら、兵長がずるい大人になった気が……エレン、頑張れ(笑)。





3・※リヴァイ班ギャグ。


「今日はあの新兵について話し合ってみようと思う」

 真剣な顔でオルオが言うのに、他の二人も頷いた。――旧調査兵団の本部であった古城の一室に男三人、すなわちリヴァイ班のペトラと新人のエレンを除く三人は深刻な顔を合わせて話し合っていた。

「まずは俺からだな……」

 フッと鼻で笑ってオルオは話し出した。

「あれは俺が奴に新兵の心得を話してやっていたときだ……うっかり、そうついうっかりなんだが、舌を噛んじまってな、そのときのあいつは――」

 その時のことを思い出したのか、オルオは固く拳を握り締めた。

「あいつ、フッて鼻で笑いやがった! 堪え切れなかったみたいによ…!」
「いや、それは仕方ないだろう」
「ああ、それは仕方ない」

 頷く二人にオルオは不満を並べ立てているが、それを無視して今度はエルドに水を向けた。

「エルドはどうなんだ?」
「俺は…ほら、新兵のときってよく先輩達が本とかくれるだろ? そういうのに興味ある年頃だしな」
「ああ」

 覚えがあることだったので、他の二人も頷いた。いわゆる艶本とか呼ばれるそういう類の本は先輩から後輩へと渡される習慣がある。この閉鎖的な環境では女性とそういう仲にはなりにくいし、発散は必要だ。なので、そういったものが持ち込まれるのは黙認されている。先輩が後輩をからかいながら渡すのはちょっとしたコミュニケーションのようなもので、何も特別なことではなかった。

「そう、だから、軽い気持ちで渡そうと思ったのにエレンは――」

 エルドは目頭を手で押さえながら続けた。

「何かこう、汚いものを見るような目で見られたというか、蔑みきった視線が突き刺さったというか……年頃の娘にお父さん不潔って言われたような気分を味わったよ……」

 それはきついな、と後の二人は同情を含んだ目でエルドを見やった。

「で、グンタはどうなんだ?」
「俺は―――」

 グンタはどこか遠くを見るような目をして、あれはついこの前のことだったな、と話し出した。

「エレンに何か俺は懐かしい感じがすると言われてな」
「別にいいじゃねぇか。何が問題なんだ?」
「……その後、判りました、親父と同じ臭いがするんです、親父の身体からもこんな臭いがしてました、って続けられた」
「…………」
「…………」
「なあ、俺ってそんなに臭うのか……親父臭がするのか?」
「そ、そんなことないぞ! グンタ、お前はまだ加齢臭がするには早い年だ!」
「そうだ、あのガキはきっと嗅覚が敏感すぎるんだ! お前は別に臭わねぇ!」

 二人の慰めも届かずグンタはどんよりとした空気を漂わせている。加齢臭か……そう呟くその姿に二人の目頭が熱くなった。

「とにかく、これでやることは決まったな」
「ああ。俺達の心は一つだ!」
「エレンに俺達が頼れる先輩だと認めさせなくてはな…!」

 このままでは先輩としての沽券に関わる問題だが、三人は何もエレンをいじめたいとか、嫌っているとかいうわけではない。むしろ、その逆だった。折角入ってきた初々しい後輩だ、可愛がってやってやりたいのだが、少年はリヴァイにばかり懐き、あとは彼を可愛がってくれるペトラといつも一緒にいる。自分達だって少年に、先輩達はすごいです、とか何とか言われてみたいのだ。
 だが、どうしたら、彼は自分達の上官を見るようなキラキラとした目で見てくれるのだろうか。

「よし、こうなったら、エレンの弱点を探そう」
「弱点? どういうことだ?」
「あいつの弱点を探し出して、それを俺達がさり気なくカバーしてやる。そうすれば、きっと頼れる先輩とエレンだって思うだろう」

 作戦は決まった。後はエレンの弱点を探すだけとなった三人は、固く手を握り誓い合ったのだった。


 ――だが、ことはそう上手くはいかなかったのだ。
 何しろ、エレンは監視対象でありいつもリヴァイとともにいる。リヴァイがいないときはたいていペトラが一緒にいて業務をこなすか、ハンジの実験の手伝い、後は複数人との行動で彼からそれとなく苦手なものを聞き出すことが出来ない。エレンが一人きりにならないので、彼らは中々行動を起こせずにいた。だが―――。

「エレンが一人きりになったぞ!」

 たまたまエレンが一人きりになったのを発見したエルドが他の二人に声をかけた。三人で話し合いながらこっそりと後をつける。

「どこに行くんだ? エレンの奴」
「それより、どうやって探るか……」
「酒でも飲まして聞き出してみるか? 先輩からの誘いならそうそう断れないはずだし…」

 見ると、エレンはシャワー室に向かったらしい。成程、ここなら確かに一人で入るだろう。特に女性のペトラでは一緒には来られない場所だ。

「どうするか…出るのを待つか?」
「あなたたち、何をしているのかしら…?」

 今、考えていたばかりの女性の声がして、男三人はぎょっとして振り返った。
 ペトラは三人を見て微笑みを浮かべていたが、目がまるっきり笑っていない。

「最近、こそこそエレンをつけ回して何をしているのかと思ったら、三人して何の相談かしら…?」
「イヤ、違うんだ、ペトラ! これには事情が!」
「ただ、俺たちは新しく入った後輩を可愛がりたかっただけで……」
「そう、入浴中のエレンをわざわざ三人で可愛がるっていうのね…?」

 絶対零度の空気がペトラから届き、三人は違う、可愛がるの意味が違うんだ、と言いたかったが、般若と化したペトラにそれが届くことはなかった。

「こんなこともあろうかと、助っ人を呼んでおいて良かったわ。――ハンジ分隊長、ミカサ、よろしくね」
「無理やりはよくないよ、君達……判ってるよね?」
「エレンに仇なす害獣には然るべき報いを……!」

 ――その日、古城中に男三人の悲鳴が響き渡った。



「エレン、ごめんね。これからはもっと私が気をつけて一緒にいるからね」
「やはり、エレンは私が守らないと。これからも害獣には然るべき報いを」
「私も迂闊だったよ。でも、大丈夫。私達もリヴァイも団長もエレンの味方だからね!」
「………? えーと、ありがとうございます?」

 女性三人にひしっと手を握られ、真剣な顔で言われて、わけが判らず首を傾げながら礼を言うエレンだった。



2013.10.7up



 三人組が哀れに……。エレンって年上の女性に可愛がられてそうなイメージがあります。なのでこんな話に(笑).





4・※リヴァエレギャグ。


 兵士にだって休息は必要だとエレンは思う。先輩達が与えられた休憩時間に歓談しながら過ごしているのを見るのは少年も楽しかった。そこに誘われて加わることもあったし、滅多にないが、彼らが酒を酌み交わす場にも居合わせたことがある。エレンは勧められてもなるべく飲酒は断るようにしていた。
 酒などの嗜好品と呼ばれるものは高級品に当たる。エレンも飲んだことはあるがまったくもって美味しいとは思わなかった。そのうえ、どうにも酔わない体質らしく、そんな高級品を自分が頂くのが勿体なく感じるのだ。味の判らない自分よりも美味しいと感じる人が飲めばいい――それが素直な感想だった。
 それでも、酒席の場の楽しそうな雰囲気は好きだったし、先輩方はカードゲームなども良くしていたから、それにはエレンも参加させてもらっていた。エルドが上手にイカサマをする方法をエレンに教えようとしてペトラに注意されたり、オルオが負けて罰ゲームをさせられたり、入手した酒を賭けて真剣勝負をしたり、一日の終わりの少しの間だけではあるが、少年にとって、それは楽しい時間だった。
 だが、それも自分が罰ゲームの当事者にならなければ、である。


「はい、エレンの負けね!」
「新兵が図に乗るからだぜ。俺は余裕だったが?」
「オルオ、お前、ビリから二番目のくせによく威張れるな……」
「まあ、運がなかったな、エレン」

 カードゲームに関しては自分は結構強いと思っていたのだが、このときはエレンが負けてしまった。仕方ないので、ここは潔く罰ゲームを受けよう、と内容を訊ねると、うふふふ、と笑いながらペトラは一枚の紙を少年に渡した。

「罰ゲームはぁ、これを〜リヴァイ兵長に言ってもらうことです!」

 うふうふと笑うペトラはすでに出来上がっているようだ。先程からがばがば飲んでいたものは水ではなく酒だったらしい。
 渡された紙を見てエレンは硬直していた。その様子を訝しんだのか、エルドが少年の後ろからその紙を覗き込み、書かれた言葉を読んでうわあ、と声を上げた。

「おい、ペトラ、これはちょっと……」

 他のにしてやれ、という男にペトラはダメよ、とにっこりと笑った。

「ダメよ、それにしなきゃ。出来るわよね? エ・レ・ン」

 据わった目でそう言われ、エレンは本能的に危険を感じてこくこくと頷いていた。それに満足したように笑って命令の遂行を促すペトラに、酔ったペトラには逆らわないようにしよう、と少年は心から思った。


 部屋の戸を叩くと入室を促す声が聞こえたので、エレンは遠慮がちに失礼します、と言って中に入った。

「エレンか。何かあったのか?」
「兵長、実は折り入ってお願いがあります」

 深刻そうな顔の部下に何だろうと男が思っていると、少年はすっと一枚の紙を差し出した。
 何だろうと思いつつ受け取って眺めると、そこには一言だけ言葉が書かれていた。
『エレンたん、マジLOVE1000%』

「……………」
「……………」

 しばし、無言で二人とも動けずにいたが、エレンはすみません、と頭を下げた。

「お願いします。それを言ってもらわないと、ペトラさんに殺されるんです!」

 殺されるというのは大げさかもしれないが、ダメでした、と帰れば彼女にどんな目にあわされるのか判らない。それくらい酔ったペトラは恐ろしかったのだ。酔った彼女には逆らわないようにしよう、と心に決めてしまうくらいには。
 やがて、リヴァイは溜息を吐くと、少年に手招きした。

「オイ、エレン、ちょっとこっち来い」

 やはり、こんなくだらないことを頼んでしまって怒らせたのだろうか、躾されるのだろうか、とエレンが恐る恐る近付くと、男はグイッと少年を引き寄せその耳に一言囁いた。

「エレン、本気でお前を愛してる」

 ふうっと少年の耳朶に息を吹きかけ軽く噛んでから解放した上司に、エレンはズササッとその場から離れて男と距離を取った。

「へ、兵長、な、な、何して……っ!」

 真っ赤な顔で噛まれた耳を押さえ、涙目で見つめてくる少年に男は肩を竦めた。

「そう言ってくれって言ったのはお前だろ」
「書いてあるのと違うじゃないですか!」
「意味は同じだろ。……何なら」

 男はにやりと笑って少年の方へと一歩足を進めた。

「もう一度、耳元で言ってやろうか?」
「―――――! 失礼します!」

 バタバタと足音を立てて部屋から逃げ去っていく少年は耳まで朱に染まっていて、男はそれを見送りながらくつくつと笑った。
 これでも本気で言ったんだがな、と呟いた男の言葉は誰も聞いてはいなかった――。



2013.10.14up



 進撃世界でマジLOVEは通じないと思いますが、そこはスルーで。この後、真っ赤になって帰ってきたエレンには、どんなすごいことを言われたかの追及が待っていると思います(笑)。




5・※リヴァエレ。ベタなネタです(汗)。


 訓練兵時代にはそれこそ、その名の通りに日々訓練に明け暮れていたエレンだが、調査兵団に入った今でも訓練は欠かせない日課として一日のスケジュールの中に組まれている。休息は必要だが、訓練を怠れば身体は鈍るし、技術は磨かなければ向上しない。特に壁外遠征で直接巨人と対峙し、戦闘を行う調査兵団の兵士にとって腕が落ちることは死に直結する問題だ。常に身体を鍛え上げ、腕を磨いておかねばならない。
 この日もエレンは訓練を終え、訓練場近くの水飲み場に咽喉の渇きを潤しにいった。水飲み場は特に男女別になってはいないのだが、何となく男と女は別れて使うのが習慣になっている。その場に男しかいなければ上半身を脱いで身体を拭いたりするのはよくある光景だ。勿論、シャワー室はあるのだが、使用時間が決められているため、午前中の訓練の後はここで身体を拭いてさっぱりさせるものも多い。夏場の気候が良い時には頭から水をかぶるものもいる。

「あ、エレン。エレンも訓練終わったんだ」
「アルミン、お前も訓練終わりか」

 調査兵団に入団してからはエレンは監視対象となり、別の班に所属しているアルミンと顔を合わす機会が少なくなった。リヴァイ班の面々とは今では打ち解けたが、気心の知れた幼馴染みと会えるのはやはり嬉しい。
 アルミンとお互いの近況を話しながら、エレンも汗を拭おうと、ジャケットを脱ぎシャツをまくりあげて汗を乾いた布で拭き始めたときだった。幼馴染みから強い視線を感じたのだ。

「アルミン?」
「えーと、エレン、それ、虫とかじゃないよね? イヤ、僕は虫であって欲しいんだけど」
「何だよ?」
「エレンからは見えないかもしれないけど……背中とか、首筋とか、赤い跡がいくつかあるよ。虫刺されの跡みたいなの」

 幼馴染みに告げられた直後にはその言葉の意味が判らなかったエレンだが、遅れて意味を悟り、ばばっと、素早くシャツを下ろして、ジャケットを着込み、羞恥でか涙目になりながら、違うからな!と叫んだ。

「ち、地下室には虫が出るから、それに刺されただけだからな! 勘違いすんなよ!」

 耳まで真っ赤になりながらそんなことを言われても信憑性は全くない。逃げるように走り去っていく幼馴染みを見送りながら、アルミンはこのことはミカサには絶対に黙っていよう、というか、血の雨を降らせないために知られないようにしなくてはと決意したのだった。


「兵長! 失礼します!」

 ノックもそこそこにリヴァイの執務室に飛び込んできた少年に、男は目を通していた報告書から顔を上げ、眉を寄せた。

「どうした? そんなに走ってきたら埃がたつじゃねぇか。掃除させるぞ」
「どうしたじゃないですよ! つけないでくださいって、オレ、あれ程言ったじゃないですか!?」

 涙目で少年に言われ、男はああ、気付いたのか、とこともなげに言った。

「気付いたのか、じゃないですよ……」

 少年はもう半泣きだ。シャワー室で着替えているときや、水飲み場で身体を拭いているとき、人とすれ違ったり話したことはよくある。そのときには何も言われなかったのだが、もしや今までも人に見られていたのだろうか。相手が虫刺されの跡だと思ってくれたのならいいが――男につけられた跡を見られていたのかと思うと顔から火が出そうだ。

「恥ずかしくて死にそうです……」

 もう人前で着替え出来ないじゃないですか、と文句を言う少年に男は何言ってやがる、と呆れた声を出した。

「俺だってお前のせいで人前で着替え出来ねぇんだぞ?」

 そういう男に少年は首を傾げた。自分は男に所有印をつけるような真似をした覚えはないのだが――エレンが首を傾げていると、男は座っていた椅子から立ち上がり、エレンの前で徐に服を脱ぎ出した。

「兵長、何して――」
「ほら、見てみろ」

 言われて見せられた男の肩口から背中にはくっきりと判る爪痕が残されていた。

「―――――」
「誰がつけたか、判ってるよな? しがみついて爪立てて可愛い声でおねだ――」
「うわあああああああああ! 言わないでください!」

 耳を押さえてぶるぶると少年は首を横に振った。いつも夢中なので判らなかったが、しがみついている覚えはあるので、確かにその爪痕は自分がつけたものなのだろう。あれやこれや恥ずかしい場面が頭に蘇り、少年の頭は爆発寸前だった。今、自分に出来ることはただ一つ。
 敵前逃亡――真っ赤な顔で半泣きになりながら、少年は失礼しましたーとその場を逃げ出したのだった。
 男は少年の足音が遠くなっていくのを聞きながらくつくつと笑った。

(いつになったら気付くのかな、あいつは)

 男がわざと、少年には見えない場所や、服を着ても見えるか見えないかのきわどい場所に所有印をつけていることを。はっきりと判る場所につけてしまったら、少年は羞恥に駆られて隠すであろうから、それでは意味がない。少年に判らないように散らされる赤い跡はリヴァイの主張だ――この少年は自分のものなのだと。
 虫除けのために始めたことであったが、存外に効果があったようだ。少年に手を出すようなバカはもういないだろう。

(もう、やめてもいいんだが)

 だが、先程の真っ赤になって恥ずかしがる少年の顔は悪くなかったのでもう少し続けようかと男は思う。
 服を整え、その上から少年につけられた爪痕をそっと撫ぜて、自分はつけられても全く構わないんだがな、と呟き、また仕事を捌くために机に向かったのだった。



2013.10.27up



 誰もが思いつくようなベタなネタ(汗)。兵長は跡を楽しそうにつけてそうなイメージがあるのでこんな話に。





6・※リヴァエレ+リヴァイ班ギャグ。兵長が壊れてます。


 旧調査兵団本部であった古城の一室に、リヴァイと彼が選び抜いた精鋭のメンバー達……通称リヴァイ班の面々が集められていた。彼らはリヴァイに重要な話がある、と告げられ、つい先日入ってきた新人、エレンを除く他の班員達が全員ここに呼び出されたのだ。いったい、どんな話がされるのか――彼らは上官が口を開くのを固唾を呑んで待っていた。

「今日、集まってもらったのは他でもない。エレンについて話し合いたいことがあるからだ」
「エレン、についてですか?」

 班員達はこの場にはいない新人の顔を思い浮かべた。入ってきた当初は強張り緊張していた少年は、先日の巨人化実験の失敗の後、わだかまりがなくなり互いに打ち解け、今では笑顔を見せてくれるようになっていたのだが、彼に何か重大な問題でも起こったのだろうか。

「ああ。あいつは何で俺に懐かないんだと思う?」
「…………」
「…………」
「あの、リヴァイ兵長、それに何か問題でも……?」

 思わず無言になってしまった班員達の中から、エルドが勇気を出してそう訊ねた。それに対して大問題だと男は続けた。

「作戦を遂行する上では上官と部下の信頼関係が大事だ。それがなければ上手くいくものもいかなくなってくる。連携が取れずに作戦が失敗する可能性だってある」

 成程、と頷く班員達にリヴァイはそれに、と続けた。

「俺だけ懐かれないなんて、俺が寂しいだろうが!」

 くわっと、目を見開いて言うリヴァイにそっちか、そっちが本音なのか、と班員達は心の中で叫んだ。

「あの、兵長は少し……表情が乏しいというか、不機嫌そうに見えることが多いので、笑顔で話しかけたりしてみるのはいかがでしょう?」

 ペトラが遠慮がちにそう言うと、そうか、と頷き、リヴァイは笑みを浮かべて彼らを見た。

「こんな感じか」
「…………」
「…………」
「あの、兵長、もう少し爽やかというか、にこやかな笑顔というかそういうので……」

 表現するなら、にっこりではなく、にやり、もしくはにたぁという、たった今人を一人殺してきました、というような笑みに、班員達は慄きながら、アドバイスをした。

「こうか?」
「…………」
「この作戦はなかったことにするか」
「ええ、そうね……」


「あの、エレンに格好の良いところを見せるというのはいかがでしょうか?」

 沈黙を破り、今度はエルドが提案した。

「どういう風にだ?」
「例えば、エレンが暴漢に襲われているところに兵長が現れて、颯爽と助けるとか……」
「そうか。悪くないな」
「でも、暴漢役はだれにするの?」

 ペトラの言葉に視線が一斉にオルオに向いた。

「え? 俺か? 俺がやるのか?」

 急に役を振られ、焦るオルオにグンタが思い出したようにぽつりと言った。

「だが、あいつの対人格闘術の成績は今期の一、二を争うものだったと聞いているぞ? 暴漢に襲われたら、腕の一本や二本折る気で向かってくるんじゃないか?」
「…………」
「まあ、いい休みが出来たと思えばいいさ、オルオ」
「そうね、後は私達に任せて休めばいいわ。というか、腕だけじゃなく足も折られればいいのに」
「戦友に向ける冗談にしては笑えねぇな、お前ら……!」

 結局、この作戦も暴漢がオルオだとバレたときが面倒になりそうなので、却下となった。


「中々いい案が浮かばないな……」
「そうですね……もう、ここは直接エレンに訊いた方がよくありませんか?」
「エレンに?」
「エレンが格好いいとか、憧れるな、と思う男性像を訊いてみて、それを参考にしたらどうでしょうか?」

 ここで自分達が話している格好良いと思える人物像がエレンのそれと合致するとは限らない。エレンから訊いてみて、それから作戦を立てた方がいいのではないかというペトラの意見にその日は落ち着いたのだった。


「憧れる人、ですか?」

 ペトラの質問にエレンは掃除をしている手を止めて、首を傾げた。そのエレンとペトラから少し離れた場所でリヴァイ及び他のリヴァイ班の面々はこっそりと聞き耳を立てている。

「そうですね、調査兵団の先輩の方々は皆さん、凄いなって思います。新人のオレはまだまだ皆さんには追いつけないので、これからもっと頑張らなくちゃって思います」

 素直にそう笑う少年は可愛らしい。だが、今は皆さんなどではなく具体的な例が訊きたいのだ。

「えーと、例えばどんな感じの人とかが……」

 ペトラの言葉にそうですねぇ、と考えてから少年はきっぱりと告げた。

「エルヴィン団長とか、凄いですよね。皆から慕われてて、兵団のトップに立って、皆をまとめられてて。審議所の後もオレを気遣って、言葉をかけてくださったし……」

 やっぱり、上に立つ人は違いますよね、とエルヴィンを誉め続ける少年にゆらり、とリヴァイは歩き出した。

「兵長?」
「兵長、どちらへ?」
「ちょっとシメてくる」

 シメるって、何を……いや、誰を、と青くなる班員達に男はにやりと笑った。

「大丈夫だ、生かさず殺さずは得意だからな……」

 ちっとも、大丈夫ではないです、と心の中で叫ぶ班員達を置いて、リヴァイは歩き去っていった。

「エレン、オイ、お前!」

 ようやく恐怖の金縛りから解かれた班員達は少年に詰め寄った。

「何で、団長なんだ! 兵長はどうしたんだ!」
「そうだ! 人類最強だぞ! 普通は憧れるだろうが!」

 先輩達に詰め寄られて、わけが判らないながらも、エレンは理由を述べた。

「兵長は……何というか、凄すぎて、オレなんかが語るのすらおこがましいっていうか……今更言わなくったって憧れで目標なのは当然な人なので」

 少年の言い分に成程、と納得するが、それについて詳しく話している時間はなく。

「エレン、今すぐ一緒に来い!」
「え? でも、オレ、掃除が……」
「いいから、一刻を争うんだ! 掃除なんかしてる場合じゃない!」
「調査兵団の未来がかかってるんだ! 急げ!」

 事態が呑みこめずに首を傾げながら引きずられてるようにして連れられて行く先で。
 男の悲鳴と怒声が響き渡っていたのだった――。



 2013.11.10up



 唐突に思いついて書きたくなったギャグです。兵長が壊れてますが、ギャグなので大目にみてくださいませ〜(汗)。





7・※現代パラレルリヴァエレ。社会人同士設定。


「エレン、それはそこじゃねぇ。そっちに置け」
「えーと、ここですか?」
「ああ。後、その箱はあっちだ」
「はい、判りました」

 雲一つない晴天の行楽日和の休日だというのに、肉体労働をしている自分は何なんだろうと、エレンはひっそりと苦笑いを浮かべた。
 エレンは春に大学を卒業した、まだまだ新人の一年目社会人である。そして、先程から自分にあれこれ指示しているのは、エレンが入社し配属された部署の自分の指導員でもある上司――主任であるリヴァイだ。仕事がバリバリ出来る男のリヴァイは同性の目から見ても格好良くって、その仕事振りを目の当たりにしたエレンは彼に憧れていたが、同時に彼はスパルタでも有名だった。鬼教官のごとくエレンを教育したリヴァイに何度も泣きそうになったが、ぐっと堪え頑張って仕事を覚えた。おかげで今ではエレンは期待のホープだと言われているし、鍛えてくれたリヴァイには感謝している。厳しいながらも彼は丁寧に判り易く自分を指導してくれ、何か失敗した時のフォローもきちんと忘れずに見守ってくれた。
 そんな上司が突然引っ越すから手伝え、と言ってきたのはつい先日のことだ。部屋はもう見つけてきており、契約も済ませたから後は越すだけなのだという。有無を言わさず休日をつぶされることになったエレンだったが、尊敬する上司の引っ越しを手伝うことに異論はない。なかったのだが。

(まさか、引越しの手伝い要員がオレだけとは思わなかったな……)

 当然、自分の同じ部署の先輩にあたるエルドやグンタあたりにも声をかけていると思っていたのだが、引っ越し当日指定された場所に行ったのは自分一人だけであった。リヴァイに他の方はと訊ねてみたら、彼はあっさりと自分にだけしか声をかけていないと言ったのだ。驚いて固まった自分に大体の荷物は運び入れてあるから安心しろ、と彼は告げたのだ。
 確かに引っ越し先に着くと、ベッドや家電などの大きな荷物はすでに中に運ばれていた。上司に話を聞いたところ、引っ越しの際にいい機会だから家具などを大方買い換えたらしい。運ぶのは衣類や食器や本などの日常の細かなもので、二人だけでも何とかなった。
 だが、何故、自分だけに声をかけたのだろうかという疑問は残る。

「粗方、片付いたな。少し休憩するか」

 男に声をかけられたので、エレンも頷いた。

「それにしても、広いですね。ここ、オレんとこのワンルームとは比べ物にならないです」

 エレンは一人暮らしの住みかである自分のワンルームマンションを思い出して溜息を吐いた。会社から遠くはないが、近くもない、狭いワンルームはマンションとは名ばかりの物件だが、社会人になったばかりの自分が一人で暮らしていくのにはそれくらいのレベルが精一杯であった。エレンは社会人になったのだから自立したい、と家を出たのだが、当然仕送りなどは受けておらず、生活は厳しかった。

「ああ、二人で暮らすからな、広いところを探したんだ」

 あっさりと言われた言葉にエレンは固まった。確かに3LDKのこの物件はファミリータイプだと思ったので不思議だったが、彼にそういう相手がいるとは思わなかった。

「駅からは徒歩5分、社には電車で15分、まだ新しいし、いい物件だったから即決した」
「あの……主任はご結婚されるのですか……?」

 訊ねる声が震えた。自分は何故こんなにショックを受けているのだろう。リヴァイはもう三十を過ぎたと聞いている。別に結婚してもおかしくない年齢だ。

「ああ。そいつとはしたいと思っている。そいつの意志次第だが」

 言われて、目の前が真っ暗になる前に、とんでもない爆弾発言が上司から落とされた。

「そういうわけだから、来週の休みはお前の引っ越しだからな」
「は?」
「手続きはさっさと済ませろ。住民票の移動とか転居届とかあるしな」
「あの、オレが引っ越すって、どこにですか?」
「ここに決まってるだろうが。何のために俺が引っ越し先を決めたと思っている」
「はぁ!?」

 驚きの余り頭が働いてくれない。何故、自分がこの上司と一緒に住まなければならないのだろうか。確かにこの物件は魅力的で自分もこういうところに住んでみたいな、とはここを見た瞬間に思ったが、この上司と自分は一緒に住むような間柄ではなかったはずだ。どうしてですか、と思わず呟いてしまったエレンに、男はあっさりと告げた。

「だって、お前は俺のことを好きだろうが」
「…………」

 言われた瞬間には咀嚼できなかった言葉が、時間の経過とともに理解出来て、エレンは真っ赤になった。
 自分がこの男を好きなんて有り得ない――そう、言い切れれば良かったが、言われて気付いてしまった。この男が誰かと暮らすと知って、結婚したいと言うのを聞いてショックを受けたのが何故なのか。ずっと憧れと敬愛だと思っていた男に向けるこの感情にはそういう意味も含まれているのかもしれない、と。
 だが、かといっていきなり同棲とはハードルが高すぎる。

「あ、あの、いきなり同棲ってハードルが高すぎますよ、主任」

 素直に心情を吐露したエレンに、男は不機嫌そうに眉を顰めた。

「あんなセキュリティも何もねえ、ボロアパートにお前を置いておけるわけねぇだろ。いいから、黙って越してこい」
「そりゃ、確かに古いですけど……オレ、男ですよ? 心配要りませんよ」
「いいや、変な男に目をつけられたらどうする。職場も危ない。エルドやグンタは絶対にお前を狙っている」
「いやいやいや、そんなことありませんから! 大体、告白もなしでいきなり同棲はおかしいですってば!」

 エレンの言葉にそうか、告白の問題なのか、と男は納得したように頷いて言葉を続けた。

「エレン、お前が好きだ。だから、一緒に住め」
「――――」

 真顔でそんなことを言うなんて反則だとか、先回りするなんてずるいとか、言ってやりたい台詞は色々あったのだが、エレンの口からそれらは出てこずに、ゆっくりと頷いたのであった。


 取りあえず、同棲ではなくてルームシェアってことで、とエレンは真っ赤になって告げたが、男は嬉しそうに笑うばかりで判っているのかいないのか定かではなかった。

「そういや、今日呼ばれたのがオレだけだったのって……」
「自分の家を自分で片付けるのは当然だろう。他人をこの家に上げる気は元々ないしな」

 配送会社のものは仕方ないが、他人を入れる気はないと男は言う。男が潔癖症のきらいがあるのはわりと有名な話であったから、他人を入れたくないと言う話には納得出来た。そんな中、一緒に住もうと宣言された自分は特別と公言されたもの同然のことで、エレンは顔を赤らめるしかなかった。

「ほら、エレン、持っていけ」

 部屋の片付けも終わり、帰り際にエレンの掌に落とされたのはマンションの合い鍵で。
 その重みにこれが現実のことなのだと実感して浸るエレンに、隙ありとばかりに男は口づけを落としたのだった。



2013.11.18up



 またしてもベタな話に(汗)。リーマン萌えが全くない結城ですが、設定考えたら社会人同士にしか出来ませんでした……。エレンがリヴァイに食べられるのはすぐだと思います(笑)。




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