・はじめに
2022年4月27日、朝日新聞に掲載された上田知華さんの訃報は、私たちに大きな衝撃を与えました。膵臓がんのため、64歳という若さで亡くなられたことはもちろん、昨年9月にすでに亡くなられていたという事実を、7カ月もの間、知らされずにいたことに驚きを隠せませんでした。
このまま命日もわからないまま、9月が過ぎてしまうのかと思っていたところ、先日、ご命日が22021年9月17日であることが判明しました。これで、ようやく胸のつかえが下りたような気がしています。
そこで遅ればせではありますが、追悼の意味を込めて、樋口さんと知華さんの最後のお仕事となった「上田知華 40周年記念コンサート」開催までのお二人の共同作業の道のりをご紹介します。なお、知華さんのプライバシー保護の観点から、資料等の開示は限定的なものとさせていただきますことをご了承ください。
********************
・復活!上田知華
長いこと表舞台から遠ざかっていた知華さんが、自身のルーツであるクラシック音楽のフォーマットに、伸びやかなメロディと清潔感あふれるハーモニーを載せた「歌曲集 枕草子」(一倉宏作詞、上田知華作曲、兼松衆編曲)をリリースしたのは2014年のことでした。5月26日には、サントリーホール ブルーローズで、知華さんも出席し、リリース記念コンサートも開催されました。
また、その年の11月には、カリフォルニア・ワインの試飲会とライブを組み合わせた「ワインと音楽」というイベントを開催し、25年ぶりにアーティストとして私たちの前に登場してくださいました。その後、シリーズ化された「ワインと音楽」は、新型コロナウイルスの流行に見舞われる直前の2019年12月の第7回まで続きました。
次へ
|