10.この手のひらの上で遊べ

ご褒美という言葉を俺が使うと、途端に時任は変な顔をした。

まあ、いつもなら”お仕置き”とか、”躾”とかそんな言葉ばっかり使うし。
聞きなれない単語だったから、変な顔をするのもなんとなく分かる。


「優真、奥に行こうか」

「奥って・・・」

「そこでたっぷりご褒美あげるからさ」

「それって本当にご褒美なのか」

「ご褒美に決まってるよ」


時任は文句を言いながらも、素直に俺に付いてくる。

”奥の部屋”

もちろんそこは前に時任を犯した部屋だ。
時任だって忘れているわけない。
部屋の前で足が止まってる。

だから俺が引っ張る形で部屋に入ることにした。


「ここは」

「そう、この部屋だよね俺と優真が初めて結ばれたのって」

「結ばれたって・・・」

「間違えてないでしょ。
ま、これからはここだけじゃなくって、いろんなところで犯るつもりだけど」

「そ、そんな」


部屋には前と変わらずソファが設置されている。
ただ、あの後ソファをもう少し大きいものに変えた。

やっぱり何人かには俺が時任をこの部屋に連れ込んだのを見られていたみたいだった。
あの後この部屋を使いたいなんて言ってきた奴もいた。
まあ却下したけど、俺が使う時のためにもうちょっと座り心地のいいソファは入れた。

時任はそんな小さな変化には気づいてないだろうな。
あの時だって、今だって余裕はまったく感じられないし。

俺は時任をソファまで引っ張っていく。


「座りなよ」


俺が勧めても時任は「いや、そんな」とか言いながらいっこうに座ろうとしない。
仕方なく俺が先に座る。

で、俺は立ったままの時任の腕を掴む。

「うわっ」

軽く腕を引っ張るだけで時任は俺の膝上に転がってきた。

「優真、ちゃんと座って」

「分かったから」

時任は俺の膝から離れようとする。

「違うよ」

「何が」

「俺のココに座って」

俺はココと言いながら自分の膝をポンポンと叩く。
それでやっと時任も俺の言いたいことが分かったみたい。

「そ、そんな」

「早く」

迷い、なかなか行動しない時任に

「このままだとお仕置きするよ。ま、優真がして欲しいなら俺もしてあげないことはないけど」

と言う。
俺の言葉は絶大のようだ。
時任はすぐに俺が開いた膝の間に体を滑り込ませてきた。

「これでいいんだろ」

言葉自体は投げやりな感じだったけど、俺はそんなことで怒ったりしない。
逆に時任が可愛くて、よしよしと頭を撫でてやる。

「な、お前、年上に対して」

「優真、ここでは年上とか年下とか関係ないから」

「関係ないって、お前な」

時任はまだ何か言いたいみたいで、小さく呟いていた。
でも、俺はそんなこと構わない。

「そんなことよりご褒美欲しいでしょ」

「あ、そうだった」

ようやく時任も本来の目的を思い出したみたいだった。
首だけで振り返ると、俺のことを見る。

「何くれるんだ」

そんな態度に笑いをかみ殺しながら、

「優真って年上だとか年を気にする割にご褒美とかは欲しいんだね」

きっとそんなことを言えば時任の神経に触るって分かってる。
分かってたけど、あえてそんな言葉を選んで話す。

時任のちょっとした怒り顔や、拗ねた顔が気に入ってるんだから仕方ない。

で、時任は俺の予想通りの反応を示してくれるわけで・・・

「俺は別にそんなご褒美とか欲しいなんて・・・帰る」

言いながら俺の膝から離れようとする。


「ダメだよ」


俺はそれを再び力業で引き寄せると、今度は時任を後ろから抱きかかえるようにした。


「おま・・・ぇ、は、離せ」

「ダメだって」

「なんでだ」

「んー、俺が嫌だから」

「何だそれは」


時任は俺の腕の中で暴れようとする。
だから、

「ごめん、ごめん」

俺は時任に謝る。
ただ、どうしても時任の可愛さに笑いがこみあげてくる。

「ごめんって。ごめんなんかで」

時任には伝わらないけれど、俺が謝るなんて滅多にないこと。
まあ、笑いながらだったら仕方ないか。

仕方なくまだ暴れようとする時任を黙らせるため、少しだけ強硬手段に出る。


「ぅっ」


効果はてきめん。
時任はすぐに黙った。


「優真の乳首、可愛いよね。
ちょっと触ってあげただけなのに」


さっきまでの抵抗が嘘みたいに時任は大人しくなった。
それだけじゃなく、代わりに可愛い声を聞かせてくれる。


「くぅ・・・あ・・・」

「やっぱり優真は感じやすいね」

時任の声をBGMに俺は時任の胸をいじり続ける。
シャツの上から弄るだけじゃなく、ボタンを外すと乳首に直接触れる。

「直に触る方が好きかな」

「ぃ・・・あっ」

ただ触るだけじゃなく、キュッと捻り潰すように刺激を与える。
そして身体が跳ねると同時に指の力を緩めてやる。

右の乳首だけを執拗に繰り返す。

すると右側だけが赤く腫れたようになり、左の乳首との差がはっきりする。


「ねえ優真、見て」

「ば、バカ・・・そんな・・・」


時任はそんなことを言ってるけれど、たったこれだけの行為に興奮しているのは分かる。
可愛いと思いながらも、

「ひぁ・・・あぁ・・・」

右側の乳首をまた指で潰す。

時任はその刺激から逃げようと身体が前に倒れていく。


「優真」

「ぃや・・・だ、止めて・・・くれ・・・」

「ふーん、本当に止めていいの」

「そんな・・・あたり前だ・・・ぁ」

「本当に」


俺が耳の奥に息を吹きかけながら話すと、


「・・・ふぁ」


時任の変な声が漏れ聞こえ、身体から一瞬力が抜けたのが分かる。

俺はそれを利用して離れかかっていた時任の身体を引き戻す。

そして、時任の足の間に俺の足を潜り込ませた。


「な、・・・ぅわぁ」


時任はすぐに我に返り、自分の置かれている状況に戸惑いを見せ始める。


「あ、足・・・、足」

「そうだよね、俺がこうすれば自然に優真の足も」


言いながら俺はゆっくりと、時任にはっきりと見えるように足を開いていく。


「こんな・・・、こんなの・・・恥ずかしすぎる」


時任は足を閉じようと力を込めているみたいだけど、それも俺に言わせれば演技に近い。
2人の体格差は明らかで、本気で時任が力を入れていないっていうのが分かる。

それを時任が意識的にしているのか・・・たぶん、違うんだろうな。


「じゃあ、この格好がマシだって思えるぐらいに恥ずかしい格好しようか」

「お前、それってどんな発想」

「さあ、ベルト外して」

「や、やめ」


俺がベルトを外すのを阻止しようと時任は手を伸ばしてくる。
でもそれよりも俺の方が早かった。

ズボンの前を寛げる俺の手に時任の手が重なる。


「優真も一緒にする」


俺は反対に時任の手に自分の手を重ね直す。
指と指を絡ませることもする。

それはまるで時任自らペニスを解放しようとするようにも見える。


「こんな・・・こんな・・・」

「何、優真のココは喜んでるよ」

「それ、それは」

「それは」


時任は俺の言葉に何も言えないって感じだ。
否定したくてもできない。
だからって肯定もしたくない。


「ほら、こんなに大きくなってる」

「ぃや、だぁ・・・ぃ」

「嫌だって言いながら優真のココは喜んでるけど」

「ぁ、・・・あぁ」

「ほら、先から溢れてきてる」

「やめ 、・・・ゃ、・・・ぁっ」

「グチョグチョって音、聞こえるよね」


部屋の中には卑猥な音が溢れていく。
でも、そんな音を時任は聞きたくないんだろう。
首を左右に振って、それで音を聞かないつもりらしい。


「この汁、後ろまで伝ってるかもね」


そんな時任はそのままに、俺は片手をペニスから離す。

雫を辿るように指を後ろへと移動させる。
時任は俺が次にどんな行動をとるのか分かったみたいで、力の入らない手を必死に伸ばしてくる。

俺は本当に予想通りの行動をする時任が面白くて、何度も目の前にある項にキスを落とす。

一方で時任をあやしながら、一方で時任の手を掴むと、


「自分の中がどんな感じか味わってみてよ」

「え、・・・お前・・・ぅわあ」


ペニスへの刺激で身体が緩んでいたお陰か、俺と時任の指は案外すんなりと入っていく。


「ほら、優真の中は熱いでしょ」

「あつ・・・なんだ、なんだ、これぇ」

「そうだ、優真のイイとこを教えてあげるよ」

「イイ、とこ」

「そう、1人でする時にそこを擦ればいいから」

「あ、ふぅ・・・、あっ」

「ココ」


俺が前に見つけた場所を教えてやるつもりで指を進める。


「そこ、・・・そこぉ」

「ちょっとコリコリしてるでしょ」

「やめ、・・・そこ、や・・・」

「感じやすい優真はすぐにイきたくなるかもね」

「やぁ・・・だ、め・・・ぁあ」


後ろの刺激に耐えられず、時任が指を抜こうとする。
そこに俺の指をもう一本、さらに入れることで阻む。


「ひぃ・・・」


時任の指ごと中をグチャグチャにかき混ぜる。
中は俺の指を喜んで受け入れ、それ以上のモノを望んでいるようにも感じる。

「そろそろいいかな」

時任の指はそのままに、俺の指だけ抜く。


「ふぅ、んん」


時任は俺が指を抜いた後もユルユルと自分の指を出し入れしている。
もしかして俺の指が抜けたことが分かっていないのかもしれない。

「いい眺め」

俺は舌舐めずりしながら、自分のモノを取り出す。

冷静にと心の中で思っていたけれど 、体は正直だ。
時任を馬鹿にできないくらいには俺自身も勃起しているし、先走りも。

「な、何」

もう一度時任を抱え直すと、俺はまだ時任の指が入ったままのソコに俺自身をあてがう。


「ひぁ、あ、ぃあぁぁ」


最初はゆっくりと、でもある程度まで入ったら一気に中へと捩じ込む。

時任は身体をピクピク痙攣させながらも、傷付くことなく俺の全てを呑み込んだ。


「ぃう、うごく、な・・・ぁ」

「やだ」

「な、や・・・、や、ぁあ」

「きもちい」

「ひぃ、・・・そこ、そこは・・・、くぅ」

「優真も気持ちいいでしょ」

「く、くるし」

「嘘だ。気持ちいいって言うまでイかせないようにしようか」

「そ、そん・・・な」


イきたいのにイケないことの辛さを時任は十分理解しているはずだ。
俺が言うと同時に、時任の分身に絡めていた手に少し力を込める。
それだけでいい。


「ぃ・・・、気持ち・・・ぃい・・・だから」


時任は要求した言葉をすんなりと口にする。

「やっぱり優真はいい子だ」

「ぃ・・・った、言ったから・・・はぁ」

「分かってる。イかせてあげる」

俺は時任の腰を支えると、下から何度となく突き上げる。

「ぁ、・・・あ、いぃ、・・・きもち・・・ぃ」

「優真、中に出すから」

「ん・・・、ぅ・・ん」

「くっ、・・・・ぅっ」

「あ、あつ、ぁつ・・ぃ」


中に射精し終わってもしばらく中に留まっていたら、

「ちょっ、・・・抜け・・・よ」

時任がもぞもぞと身体を動かし始める。

「んー、もうちょっと気持ちいいからこのままがいい」

「な、お前っ」

時任の身体をホールドするように抱き締めると、途端に時任が大人しくなった。

「優真」

「なんだよ」

「そのうちフェラ覚えよう」

「ふぇ・・・」

「フェラ。で、みんなに披露しようか」

「・・・・っ」

「あと、優真もちゃんと俺のモノだって自覚するぐらいになったら、ピアスもしよう」

時任は期待してるのか、それとも不安に思っているのか身動きしない。

「大丈夫、今はしないから」

「今はって・・・」

「優真が自分からして欲しいって言うまで待つから」

「そんなこと、俺が言うわけ・・・」

いつまでも何かしら言ってくる時任に、

「俺が待つって言ってるんだからそれでいいんだよ」

と冷めた口調で話す。
すると時任は俺を怒らせたんだと思ったらしく、口を噤んでしまった。

それを合図に俺はようやく時任の中から出ていく。

「ぅっ・・・」

時任が小さな声で呻いたけれど、気づかないふりをする。
2人とも何も言葉を発しない時間が過ぎる。

俺は時任のシャツのボタンを留めてあげるし、時任はズボンをきちんと穿き直す。

「帰る」

時任は俺が支度を整えてやると、立ち上がる。
俺もそれを止めない。

ただ、時任が歩き始めるとすぐにその歩みを止める。

「あー、また中に出しちゃったからね」

「くっ・・・」

「送っていくよ」

前の時とは違い、疑問形では聞かない。

「いい」

時任の答えは変わらないけれど、今日は「そう」とそのまま帰さない。


「優真。送って行くって言ってるんだから、”ありがとう”だよ」


俺もソファから立ち上がり、時任の傍まで行く。






その後、時任を家まで送ると

「歩いてる途中、俺のが流れてきたんじゃない」

真っ赤な顔をして否定する時任に

「見せて。じゃなくても中から掻き出さないとまたお腹が痛くなるよ」

そういって風呂場で時任を四つん這いにしたままで後ろからまた犯した。




ペットかペットじゃないかなんて、俺が”ペット”だと思えばそれでいい。

時任は否定し、逃げ回るかもしれない。
でも、それはペットが主人の気を引くためにしてるんだと思えば可愛いもの。

本気じゃなければいい。


「優真は俺の手のひらの上で遊んでいればいいんだよ」


俺はベッドの上、疲れてぐったりしている時任の頭を撫でながら囁く。




*あとがき*

ここまで読んでくださってありがとうございました。
どれだけの方がこのお話を気にいってくださっていたのかは分かりませんが、私個人としてとっても満足しました。

調教モノが読みたい、でもあんまり痛くないもので、そこはかとなく愛がないと・・・
と読む立場でも色々注文したくなる私。

そんな私が書いているので、そんなにSM色は強くないと思います。

ただ、エロは満載にと思って書いたのですが・・・・どうだったでしょうか。

自己満足してるけど、少しでも他の人にも気に入っていただければ嬉しいな。


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