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集音器製作〜はじめに

家族(老人)が補聴器を3年ほど前から使い始めました。
市販のものをすでに2台も購入しましたが、どちらも、不満足。

不満の主な内容は、
音量が小さい、ピピー鳴る(ハウリング)、シャーという音(ノイズ)が聞こえる
などです。

それならば満足できるモノを作ってしまえ、
ということで、創作意欲に
がつきました。


< 製作コンセプト >

○携帯電話用イヤホンマイクを使用
 携帯電話用イヤホンマイクを使うことにより、音量を上げてもハウリングが起きないものを 作ります。
 この場合、マイクに自分の声が入り、自分の声が巨大に聞こえてしまうため、 その対策としてALC機能(オートレベルコントロール)が必要になります。

○電源は単4乾電池を使用
 単5電池やボタン電池仕様とした場合、小型化のメリットはありますが、 電池が使い捨てになってしまい、個人的にはこれを避けたく思います。 充電式電池として市販されているものは、単4より大きいもののようなので、 単4またはそれ以上の乾電池を電源とします。

○特定個人専用で製作
 使用者(私の家族)の意見、感想などを聞きながら音量や音質、その他を調整しながら 完成させていきます。したがって、第三者が同じものを使っても、良好とは限りません。


< ご注意 >
 補聴器と呼ばれるものは、いくつかの法律で定められた規格、基準に適合する必要 があります。そのためこの作品は補聴器ではなく、 集音器 になります。
 集音器と呼んでも、身体(特に耳)に悪影響を与える可能性も考えられます。 この記事を参考に同様のものを作成、使用する場合、充分な注意が必要です。


 これまでの数々の実験 〜写真集〜



集音器 実用レベル作品1

< 外観 >

 基板は通常の2.5ミリピッチのユニバーサル基板を加工して使いました。
 SW付きボリュームは1連のものが入手できず、2連を使いました。

 単4乾電池1本で動作します。約5Vへの昇圧電源回路を使っています。
 ケースは100円ショップで購入した、旅行用の小型石鹸箱を使用しました。

 イヤホンマイクは、スマートフォン用のステレオイヤホンマイク(エレコム EHP-SMIN100) を使用しました。信号はモノラルでも、両耳で聞くと非常に違和感が無くなります。


< 回路の説明 >  回路図はこちら(別ウィンドウ)

 ICは3個使用しています。
 TA7300P はALC(オートレベルコントロール)機能の 備わったプリアンプICです。5番ピンへの電圧により、増幅率が制御できます。
 TA7300P から出力された音声信号は、オペアンプ NJM4580DD(IC2-A)で約90倍に増幅し、 イヤホンを鳴らします。
 同時に、音声信号を NJM4580DD(IC2-B) で増幅し、整流、平滑し、直流電圧として TA7300P の 5番ピンへ印加し、ALC機能を働かせます。
 電源部分は DC/DC コンバータ と呼ばれる、HT7750A を使い、1.5V を約5V に昇圧しています。 正確に調べていませんが、実際には4.8V 程度のようです。また、電池が消耗して電池の電圧が 低下しても、ある程度まではICが動作できるだけの電圧が得られるようです。

 どのICも、ほぼデータシート通りの使い方をしています。音質などを確認しながら、 コンデンサや抵抗の値を変更、追加等しています。

 昇圧電源の出力はDCといっても、かなりギザギザ波形のようです。直接つなぐと激しい ノイズが聞こえてしまいます。電源出力に100Ωを入れると、ノイズが目立たなくなります。

 コンデンサマイクへの電圧供給は、5.1kΩ-5.1kΩ(R1-R2)の間にコンデンサ(C1)を入れています。これにより ノイズが大幅に低減されます。

 オーディオ関係の製作記事などでは、音質を追求するため、部品の配置や仕様などにコダワリが あります。この作品の場合は、いろいろと実験した結果、コダワリによる効果は無いようです。 回路によるノイズに比べて、マイクから入る風の音や周囲の雑音の方が遥かに大きいためでしょう。
 このような理由から、IC 1、IC 2 の電源近傍に付けた470uF はもう少し小さく、または省いても 影響ないかもしれません。(確認はしていません)

 
< 完成して、その後 >
 完成後、実際に使ってもらった感想としては、音質は聞きやすく、 市販品(29000円程度)より良い。ピーピー、シャーシャーならない。 ということで、大成功!でした。
 が、数週間ほど使い、慣れてくると、
 両耳にイヤホンをつけると、うっとおしい。動くとガサガサ音(マイクが衣服に触れる音) がしてうるさい。などと新たな不満が出てきました。

 そして、次の対策
 ○両耳式は聞きやすく、疲れにくいと思いますが、シブシブ片耳式に変更。
 ○マイク位置を、現行では胃のあたりでしたが、アゴのあたりに改造。


 今回使った スマートフォン用ステレオイヤホンマイク を切断、改造するのが惜しいので、手持ちのイヤホン とコンデンサマイク(WM-61A)を使って作成。
 マイク部分のケースは100円ショップで購入したイヤホンマイクのものを使用。(写真上)

 写真下が スマートフォン用ステレオイヤホンマイク エレコム EHP-SMIN100

 改造したイヤホンマイクはステレオプラグ(3極プラグ)なので、本体のジャックも ステレオジャックに交換。(EHP-SMIN100 は4極プラグ)

 改造したイヤホンマイクを使用することにより、不満は全て解消です。
 イヤホンとマイクを別なものに変えたため、若干音質が変わってしまいました。 どちらが良いかは、好み(使用者の聴覚)によると思います。
 よろこんで使ってもらえているので、バンバンザイという結果です。めでたしめでたし。

 ですが、創作意欲の
はまだ消えていません。
 小型化、ローコスト化、トーンコントロール追加、などなど。(実は2作目、製作中です)