第一話 飛翔
3ページ/3ページ
グイッ
「……あれ?」
おかしいな、体が前に進まない。
首の辺りを何かに引っ張られているような・・・。
そのとき、アリアは自分の回りに何か力が働いているのに気付いた。
後ろの、あの猫の方から。
ふわあっ・・・
アリアの足が地面から離れた。
「え・・・えぇっ!?」
それと同時に、背後からする猫の気配も上へ上がる。
一人(と一匹)は、そのまま天空へ向かって、共に上昇していく。
……あれ、上へ上がっている…?
幽霊と一緒に…上へ……!?
「ちょ、ちょっと待って!私、まだ死んでないよ!?」
アリアはもがいて抵抗したが、首根っこをつかまれているかのように、首から下の体はむなしく宙に揺れるだけだった。
「やだ、離して!降ろして〜〜っ!!」
そうしている間にも、世界は一人と一匹から静かに遠ざかっていった。