放射能の恐れのない原子力開発を  

(2011年4月20日)


 3月11日に発生した東日本大震災は大津波を引き起こし、東北地方東海岸一帯に未曾有の被害をもたらした。まだ1万人を越える行方不明者の捜索すら間々ならない時期に、もう一つの重大事故が加わっている。福島第一原子力発電所の6基ある原子炉の内、第1号基から第4号基まで制御不能に陥ってしまったのである。5号基、6号基も同じ事態になることが危ぶまれている。

 今だ事故対策に追われていることもあり、ここで事故の詳細を述べることはしない。今、一番心配なのはこれらの原子炉からチェルノブルイリ事故のときのように放射能が付近一帯に撒き散らされることである。

 今後のエネルギー問題を考えれば、日本で50基以上も稼動している原子力発電を直ちに停止することは出来ない。核融合発電もまだまだ実現の見込みが立っていない。太陽電池発電や風力発電は規模が小さくなかなか、現在の原子力発電を置き換える規模にはなりそうもない。水力発電も既に増やせる余地はない。

 まったく八方ふさがりのようであるが、トリウム・サイクルによる原子力発電は原理的に放射能による問題がないそうである。これまで実際の原子炉になるまで研究されて来なかったのは、全く歴史的な理由で、兵器の原料になるプルトニウムが作れるウラン原子炉の方が都合が良かったからに過ぎないということだ。詳細は次の本に書いてある。

 「原発革命」、古川和男著、文芸春秋、2001年

 日本の原子力関係者が何故この本に書かれていることを無視しているのか理解できない。世界でも南極基地用電源として小型の原子力発電機の開発が進められているが、どうもこのトリウム・サイクルらしい。日本も直ちにこの原子炉の研究・開発を進めるべきではないだろうか。
(了)

 (追加) 友人が経緯を記したHPを教えてくれた。
http://homepage2.nifty.com/w-hydroplus/info00b2.htm#Label0

 (追加2) 古川氏はアイテムスという会社を作って実験炉の製作を目指されていたようだが、何故かその会社のHPへはアクセスできなくなった。代わりに、国際トリウム・エネルギー機構のHPを紹介しておく。
http://itheo.org/

 (追加3) トリウム熔融塩国際フォーラムがあった。資料が多くアップされている。
http://msr21.fc2web.com/index.html


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