潮汐力は重力加速度に起因する力  

(2011年3月3日改)


 重力は力であるという反論によく持ち出されるのが潮汐力の存在である。木星に小惑星が衝突した時にその小惑星は木星の重力によってばらばらにされて衝突していった。土星の輪が円盤ではなく小さな星屑の集合体である理由は円盤では重力によりばらばらにされてしまうからである。 これらの力は潮汐力と呼ばれている。

 潮汐力が発生するのは重力が決める加速度運動に逆らっているからである。木星に衝突した小惑星で説明すると、小惑星が木星に近づいたとき、木星の重力により木星に向かってどんどん加速していく。しかし、小惑星の木星に近い側はもっと早く加速しなければならないのに遠い側からブレーキを掛けられる状態になっている。逆に、木星に遠い側はもう少し遅く加速しなければならないのに引っ張られる。従って、小惑星の内部では木星に向かう方向に引き張り応力が発生する。この応力が小惑星を構成する物質の材料としての許容応力を超えればばらばらになってしまう。

 潮汐力が発生する原因が、重力加速度が距離の逆二乗則に従って発生するからである。大きな物体では重力場を作っている物質(木星)に近い側と遠い側で加速度の大きさが違うからである。力は、重力が決める加速度に逆らうと慣性力が発生する。潮汐力は物体内部での慣性力の違いにより生じるものである。重力が力であるから潮汐力があるのではない。

 地球の表面で働く太陽の重力は月の重力に比べて170倍も強い。それでも潮汐力としては月の半分程度である。


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