自由落下のパラドックス  

(2014年9月28日)


  地面反力のパラドックスは不評でしたので、標題から創り直しました。


パラドックス: 自由落下をしている物体には力が働いている!

説明: 自由落下をしている物体を観測すると、物体は加速度運動をしていることが判ります。これはガリレイの発見です。ニュートンの運動の第2法則によると、力は加速度に質量を乗じたものですから、自由落下をしている物体には力が働いていると言わざるを得ません。実際、ニュートン力学では、重力と慣性力が釣り合っていると説明します。力が働いているのは当然であり、パラドックスにもなりません。
 ところが、自由落下している物体に力が働いていることは実証できません。その物体に応力・ひずみの発生がないのです。
 同じ加速度運動でも、ロケットが推力飛行を続けているときのペイロードには応力・歪が発生しますので、確かに力が働いていることを検知できます。
 
 アインシュタインは自由落下する物体には重力が消えている(つまり力は働いていない)ことに気が付きました。これをきっかけに、一般相対性理論を確立しました。現在はアインシュタインが正しかったことが認められています。従って、「自由落下している物体には力が働いていない」のです。

 アインシュタイン自身も「「自由落下している物体では重力が消えている!」は当時のパラドックスであり、当初は誰も信じてくれないと考えたのでしょう。このことに気が付いたのは1907年のことであり、「生涯最高の発見」であったと語っているのは、アインシュタインの名声が確立した後の各地での講演先です。

 重力が「力」であるということの実証はされていないのですから、重力場にある物体が他のものと触れていない限り、力が作用しているわけではないのです。
 
(了)


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