ナイアガラの滝の冒険者になる  

(2013年9月26日)


 カナダと米国の境界にあるナイアガラの滝は最も有名な観光地の一つである。特に上から見ると滝の落ち口が馬蹄形をしているカナダ滝が見ごたえのある滝である。 落差は55mで、日本の華厳の滝や那智の滝より低いが、水量の多さでは比較にもならない。


 この滝を落ちて生還することを考えた人たちがいた。最初に試みた人は何と62歳の女性教師、アニー・テーラーである。1901年のことであった。樫の木のタルに気密を保てるようにして自転車の空気入れで30Psi(約2気圧)の空気圧にしたそうである。タルの形状はウイスキー樽を少し伸ばし、足元には錘を入れて上下を保てるように工夫している。黒猫1匹と一緒にタルに入ったのは精神安定のためであろうか。アニー・テーラーは見事に成功し、40分足らずで無事に回収された。幸い大した怪我もなかったが、最初の一言が「もう誰も試みてはいけない」とのことで、恐怖は相当なものであったらしい。アニー・テーラーがこんな冒険を試みた理由は、有名人になって金儲けをすることであったが、この目的は果たされなかった。20年後に極貧の内に死んだ。当時はTV報道もなく、すぐに忘れ去られたのであろう。



 その後、この冒険を試みた人は100年間で10数名いる。全て男性であり、2度も試みた人が2人いる。死者が出てからは禁止されたが冒険者(Daredevil)たちは罰金は気にしないものらしい。球形の金属のカプセルに入ったり、タイヤのゴムを連ねただけのものもあった。

 死者は5名。死因を分析してみるとどのようなカプセルに入っていれば生還できるかヒントが得られる。カプセルは丈夫であることが必要であろう。12番目にカヤックで挑戦したジェシー・シャープは行方不明になってしまった。15番目にジェットスキーで挑戦したロバート・オーバーラッカーも行方不明である。3番目の挑戦者、チャールス・スチーブンスは樽が岩にぶつかったのであろうか壊れたらしく、樽の中には右腕が残っていただけだった。次に、滝壺は深さが60mもあるから浮くことが必要である。そして、回収して貰うまでの空気が必要である。アニー・テーラーは40分足らずで回収されたから良かったが、5番目の挑戦者、ジョージ・スタトカキスは回収まで14時間かかり酸欠で死亡していた。

 冒険者というのはこれまでの知識から生命を失うおそれがあるが何らかの工夫により生還の自信を持って挑戦する人達である。
私は勇気がないから自分でやる気はないが、どなたか挑戦することを考えている人がいたら次の方法をお奨めする。生還の可能性が高いだけでなく、衝撃もほとんど感じない筈である。

(0) カプセルの形状はアニー・テーラー型とする。底部を重くする。
(1) カプセルは落下時に岩にあたっても凹む程度で済む丈夫さを持たせる。
(2) ウエット・スーツを着てアクアラングを付けてカプセルに入る。(ウエットスーツで寒さもしのげる)
(3) カプセルには水を満たす。(これが大事)
(4) 落下の後に排気を貯めて浮くように排水用のバルブを下部につけておく。(底まで沈んでもゆっくり浮いて来られる)

(了)


戻る