重力質量は不要の概念  

(作成:2011年1月30日)
(追加:2011年12月10日)


 重力が力でなく加速度であることを最初に認識したのはアインシュタインであるが、一般相対性理論を確立した後であった。ニュートンが重力を逆二乗則の力の式で表したため、アインシュタインはこの式出てくる質量、即ち重力質量、とニュートンの運動の第2法則に出てくる質量、即ち慣性質量、が同じであることに悩まなければならなかった。一般相対性理論の出発点に重力質量と慣性質量は等しいということを等価原理として認めることにしたのである。

  最初に重力が力でなく加速度であることに気がついていれば重力質量の概念そのものが必要なかったのである。重力質量が不要の概念であることを述べているのは、私の調べた範囲では、小野健一だけである。小野健一は重力質量の概念が不要であることもアインシュタインの思想の内であるとしているが、アインシュタイン自身はこのことに触れていないところを見ると気がつかなかったのかも知れない。

  重力が自然の法則としてあるのは質量のある二つの物体は加速度を持って合体する方向に運動するということなのである。二つの物体間で重力と言う力が働くから加速度を持って合体する方向に運動しているのではない。

  それでは力はどのようなときに働くかと言えば、重力が決める加速度運動と異なった運動をさせようとするときに慣性力が働くのである。この慣性力の大きさを決めるときに慣性質量の概念が必要になる。この慣性力に釣り合う力が外力であり、ニュートンの運動の第2法則で示される力である。ただし、ニュートンの運動の法則は重力場でないときの式であることに注意が必要である。

(注) 天文学には光学質量と重力質量という用語がある。これは天体の質量を推定するときにその天体の周囲を運動している天体の運動から決めたものが重力質量で、天体の明るさから推定したものを光学質量というものである。


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