(2009年10月27日) 価値とは広辞苑に物事の役に立つ性質・程度を言うとあります。原宣一によると、価値とは物質以外で人類が定量化にほぼ成功した唯一の心理量です。 価値は一般的には金銭的価値で「ドル」や「円」という単位をつけて表します。人類が大事である、貴重である、欲しいものである、と思う度合いであり、同じものに対しても価値は人によって異なります。 絶対的な価値というものはないにも関わらず、少なくとも短い時間の内には変わらずに、また人によっても可能な限り変わらずに同じ量であると考えるものが価値です。そして物品と金銭との交換が日常的に行われています。 人間が一番大事だと考えるのは人命でしょう。人命を金銭単位で表すことには、非常に強い抵抗があります。しかし、事故の賠償など保険業では人命も金銭単位で評価せざるを得ないことも確かです。 英語でも貴重なという意味でinvaluableという用語があります。直訳すると価値が付けられない(ほど貴重な)ということです。 価値はもともと二つの要素を合わせたものと考えられます。つまり、人間にとってより必要度が高く、かつ手に入りくいものほど価値が高いのです。 人間にとって空気は生命の維持に一時も無しでは済まされませんが、地上では至るところにあるので価値は低いのです。宇宙ステーションでは空気も途端に価値が高くなります。 ダイアモンドや金などは人類に取って有用であり、かつ入手も困難なので価値が高いのです。正確に表現すると、ダイアモンドや金は人々が共通に価値が高いものとみなしているということなのです。ダイアモンドや金はサルや犬にとっては鉄と変わりないでしょう。価値はあくまでも、人間が「価値がある」と思う量なのです。 人類に取っての必要度は尺度を決めるのが非常に難しいでしょう。入手性も同じく、尺度は決めにくいのです。それを二つの要素を分解せずに、価値という概念でまとめて比べることが出来る量として捉えているのです。価値を定量化することにより、分業が可能となり、人類は進歩したのです。 私が考える人類の最大の発明は「価値に単位をつけたこと」なのです。
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