小型のフーコーの振り子
(2015年3月18日) 地球の自転を直接に実証したフーコーの振り子です。同じ原理のものは博物館や天文台で目にすることがあります。私はずいぶん昔に上野の科学博物館で見た記憶があります。その時の印象では振り子は減衰も少なくゆっくり静かに振れているというだけでした。周囲に並べて置いてある置物がいくつか倒されてはいました。振動面が回転した証拠であることは判りましたが長く見ていた訳ではありません。振り子の振動面が回転しているという実感はありませんでした。 上野の博物館は北緯35度の地点にありますから、フーコーの振り子の振動面が1回転するのには41時間かかるそうです。フーコーの振り子は北極か南極の上にあれば1日で丁度360度回転し、赤道上なら回転しないのですから、北緯35度ですと41時間もかかるわけです。この値は10分間観察してやっと1.5度の回転です。数時間をかけて観察しないと回転している実感は得られないでしょう。博物館では他にも見るべきものは多いのです。次の置物が倒されるまでじっと見ている暇はありません。 科学博物館に修学旅行で来た子供たちもきっと同じでしょう。振り子の振動をじっと見続けているわけにはいきません。フーコーの振り子を学校に作れば良いのです。しかし、博物館にあるような大掛かりなものはどこの学校にも置けないでしょう。
そこで小型のフーコーの振り子を小型に出来ないものか考えて見ました。1581年にフーコーがパンテオンで行った振り子はケーブルが67mで錘の質量は28kgあったそうです(図-1)。上野の科学博物館ではケーブルが約20mで錘の質量は50kgほどあるそうです。フーコー自身も最初はケーブル長2mで実験しています。 (図-1) フーコーの振り子 空気抵抗を無くすためなら、円錐型の真空容器をつくりその中で振り子を振らせたらどうでしょうか。真空にするため容器は少し丈夫につくり透明なガラスかアクリル樹脂で窓も作っておく必要があります。ケーブルは1mですと周期は2秒ぐらいでしょう。容器の高さは1.1mぐらいで済むでしょう。真空ポンプと気圧計は付けたいところですが、真空ポンプは大げさです。電気掃除機を上手く利用すれば1/10気圧ぐらいまで落とせるかもしれません。空気抵抗も1/10に落とせるでしょう。 支点も抵抗が少なく回転できるようにボールベアリングを使う必要があります。真空中の潤滑は宇宙開発でも難しい技術要素です。昔は2硫化モリブデンのような固体潤滑しか使えませんでしたが、近年は蒸発が少ない潤滑油もあります。しかし、入手困難かもしれません。真空中で動かす振り子は作るのにお金が掛かりそうです。 それでは別の案を考えましょう。
振り子と言えば振り子時計があります。一度ネジを巻くと1日動くではありませんか(図-2)。振り子の柱時計を利用すれば出来そうです。振り子時計は毎回振れるたびにゼンマイの力で振り子の減衰を補っています(図-3)。 振り子のケーブルを1mほどの長さにして、錘もある程度重くした方が良いでしょう。ゼンマイのある機械部分も一緒に回転させる必要があるからです。機械部分の重心がケーブルの中心にくるように調整の錘も必要でしょう。振り子に対する空気抵抗による減衰分はゼンマイの力で補填できますが、支点の回転に対する抵抗はゼロにはできません。この抵抗文は振動面の回転周期を遅らせるでしょう。回転に対する抵抗が大きいと41時間で1回転より遅くなることは避けられません。 この機械式振り子を1日でも観察すれば振り子の振動面が回転していくことは実感できるのではないかと思います。
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